Google 確認クリック で、パブリッシャー収益は低下する? : モバイル広告の「誤タップ」防止する新機能

パブリッシャーがまたもや、オープンウェブの浄化を目指すGoogleのターゲットになっているようだ。

この半年間に、GoogleのAdSenseやDoubleClick Ad Exchangeを利用しているパブリッシャーのあいだで、Googleの「Confirmed Clicks(確認クリック)」機能によるペナルティが課せられたという報告が増えている。この機能は、ウェブのユーザー体験を向上させ、パブリッシャーが広告の誤クリックから利益を得られないようにすることを目指したものだ。だが、Googleのプラットフォームに追加された多くの機能と同じように、適用の基準がよくわからないとパブリッシャーらは不満を訴えている。

少なくとも2012年から存在しているこの機能は、パブリッシャーの広告ユニットで偶発的なクリックを大量に検出すると、「Visit site(サイトを訪れる)」というボタンをその広告に重ねて表示する。そのため、ユーザーがもう一度クリック操作をしなければページにリダイレクトされない。このような障壁はユーザーにクリックを思いとどまらせる効果があるため、CTRやパブリッシャーの広告料金を低下させる。実際、この記事のために取材した情報筋によれば、プログラマティック広告の収益が40~60%減少するという。

3月に増えた「確認クリック」問題

「人々がこの件について話したがらないのは、自分たちが不興を買っていると感じているからだ」と、パブリッシャーの広告収益化を支援しているOKOデジタル(OKO Digital)のマネージングディレクター、マット・ベネット氏はいう。

ベネット氏によれば、この機能の影響で問題に直面していると話したパブリッシャーは昨年からおよそ25社に上っており、そのなかには複数の国際的な大手ニュースパブリッシャーも含まれているという。ベネット氏の観測では、確認クリックによる問題がもっとも増えたのは、欧州や米国がロックダウンに入る前の3月だった。

「確認クリックを導入したのは、偶発的なクリックや不正なエンゲージメントの数が増えたときに、ポジティブなユーザー体験を維持するためだ」とGoogleの広報担当者は述べている。「また、この機能はパブリッシャーにもメリットをもたらす。この機能がなければ、広告ユニットの価格が下落したり、場合によって入札者によって自分たちのサイトが排除されたりする可能性があるからだ。クリック品質が向上すれば、この機能は自動的に無効にされる」と、この広報担当者は語った。

「状況は悪くなっているが、この問題が蔓延している様子は見られない」と、イールドバード(Yieldbird)の成長担当責任者として300社のパブリッシャーと仕事をしているシモン・プルシンスキ氏は話す。ただし、この2カ月間にパブリッシャー4社からペナルティの報告を受けたという。これは、新型コロナウイルス感染症による社会活動の停止と、隔離政策が続いているあいだに「トラフィックが急増したことと関係している」と、同氏は見ている。

気づくのはなかなか難しい

プルシンスキ氏と仕事をしているあるパブリッシャーの場合、偶発的なクリックに対するペナルティのせいで、プログラマティック広告のオープンエクスチェンジによる収益が、それまでの1日あたり1万ドル(約107万円)から3000ドル(約32万円)に低下したという。このペナルティは3週間解除されなかったため、カバーしきれないほどの損失が発生した。しかも、コスト削減と景気後退の打撃によって事態はさらに悪化している。

また、読み込み中のコンテンツが動いたり、広告の周りに十分なスペースがなかったり、一部のデバイスで広告がナビゲーションメニューに重なったりするなど、単純なサイトデザインの問題でペナルティを課せられることもあるとベネット氏は指摘する。もちろん、なかには詐欺目的で偶発的なクリックを誘発しているケースもある。パブリッシャーはソースコードをチェックすることで、自社のサイトがクリック確認機能の対象になっているかを確認できるが、気づくのはなかなか難しいようだ。たいていは、インプレッション数が変化していないのに収益が急落したことで発覚するという。

一部のユーザーは、サイトへのアクセスを確認するよう求められると恐怖心を抱く可能性があるとプルシンスキ氏は話す。マルバタイジングや広告詐欺への警戒心から、人々は機械的にそのサイトを避けるため、CTRは0.8~1%から0.1%にまで低下し、収益の一部を失うことになる。また、Googleの確認クリック機能が適用されたサイトではページビューの減少も見られるという。

さらに、デスクトップサイトの広告ユニットに問題があると判定されると、GoogleのDSP(デマンドサイトプラットフォーム)によってすべての広告ユニットの入札と売買が停止される。パブリッシャーがデスクトップサイトとモバイルサイトで最大15個の広告ユニットを利用しているのが一般的だとすれば、実に深刻な問題になる可能性があるのだ。

偶発クリックは誰のためにもならない

この機能の背後にあるのは、偶発的なクリックはユーザーのためにも広告主のためにもならないという考え方だ。この考えに異議を唱えるパブリッシャーはいないだろうが、ほかの追加機能と同じく、問題はコミュニケーションや告知が不十分なことにある。収益源をすべて遮断するという容赦ないやり方は独裁的で懲罰的なように思えると、取材したパブリッシャーらは述べている。

「パブリッシャーによっては、問題が8~10週間続くこともある」とベネット氏はいう。この発言は、Googleが偶発的なクリックをチェックするのに30日間の移動平均を利用していることを踏まえたものだ。「すべての問題を修正できたかどうかを完全に把握することはできない。我々が推奨しているのは、とにかく懸命に取り組んで大幅な変更を加えることだ。問題がなくなれば広告ユニットが復活し、徐々に収益を取り戻せるようになる」。

Lucinda Southern(原文 / 訳:ガリレオ)