Googleは引き続きニュース企業と提携し、後者のトラフィック/収益増に力を貸している。そして、同社でニュース/出版関係の分析および収益最適化を担当するディレクター、エイミー・アダムス・ハーディング氏には、ニュースパブリッシャーに関してひとつの持論がある。それは、「必ずeコマース的戦略を展開すること」だ。
Googleは引き続きニュース企業と提携し、後者のトラフィック/収益増に力を貸している。そして、同社でニュース/出版関係の分析および収益最適化を担当するディレクター、エイミー・アダムス・ハーディング氏には、ニュースパブリッシャーに関してひとつの持論がある。それは、「必ずeコマース的戦略を展開すること」だ。
「たとえ、ニュースパブリッシャーであっても、活動の基盤がジャーナリズムであろうとも、詰まるところ、彼らはそのジャーナリズムを販売しているのであり、その点を忘れてはならない」と、アダムス・ハーディング氏はDIGIDAY Podcastで語った。
コンテンツに対して大、中、小予算のオプションを用意するのもそうした戦略のひとつだと、氏は言い添える(中予算がもっともバイヤーを捕まえやすいという)。
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また、オファーには美意識も欠かせないと、氏は語る。氏のお薦めはオレンジ色の「スクオーバル」(四隅が丸い長方形)で、エンゲージメント率を高めるとともに、オファーを目に付きやすくする効果が高いという。
「右上の隅に、ごくごく小さな『サブスクリプションを申し込む』ボタンがあるだけのページは、山ほど目にしてきた。しかし、それでは読者から直接収益を得る戦略は立てられない」。
また、雇用に対しても、eコマース界の一員として臨むべきだと、氏は語る。
「ニュース会社のCEOたちとは、数え切れないほどミーティングを重ねてきた。彼らはたいてい、『読者から直接収益を得るマネタイゼーション戦略をローンチしたいのだが、どんな人を雇ったらいいだろうか?』と訊いてくる。私の答えは『そうですね、後生ですから、ニュース業界人は雇わないように。Amazonの人間を雇うこと、いいですか?』。自分はeコマース界の一員という意識が非常に重要となる。オンラインで成功しているのは、そういう人たちなのだから」。
無論、Googleのパートナーシップは簡潔なアドバイスを即時提供するだけではない。同社は新たなデジタルツール、 News Consumer Insights(ニュース・コンシューマー・インサイツ)を介して100を超える国々の数千におよぶニュース関連企業と提携している。 News Consumer Insights とは、Googleがこの夏にローンチした、ニュース企業のためのユーザー分析ツールだ。
「おかげで、我々なりのニュースに特化したユーザーエンゲージメントファネルを作ることができた」とアダムス・ハーディング氏。「つまり、Googleアナリティクスのデータをニュース業界のパートナーが有効活用できるように再視覚化した」。
以下に、注目すべき発言をいくつか紹介する。なお、読みやすさを考慮し、発言には多少編集を加えてある。
No.1ドライバー
「潜在的サブスクライバーの存在を教えてくれる一番[のツール]はニュースレターだ。ニュースレターのサブスクライバーは、コンテンツにお金を払う傾向がもっとも強い。少し考えればわかるとおり、ニュースレターは0ドルのサブスクリプションだ。つまり、読者はすでに何かをサブスクライブしていることになる。これまで数多くのパブリッシャーと仕事をしてきたが、ニュースレターがサブスクリプションのNo.1ドライバーにならなかったところは、ひとつとして思いつかない。だからこそ、我々はパートナーの規模にかかわらず、長時間をかけてニュースレター戦略に取り組む。ニュースレターはそれくらい重要なドライバーということだ」。
「数字の津波」を手なずける
「Googleアナリティクスは、すべてのニュースパブリッシャーに開放されている。ところが、彼らは我々の言う『数字の津波』から実用的な洞察を引き出せずにいた。ただただ圧倒的な量のデータがあるのみ。そんな声をくり返し耳にしていた。なかでもローカルニュースパブリッシャーはとりわけ、この問題に頭を悩ませていた。大半はデータサイエンティストを雇用していなかったからだ。つまり、彼らにはデータの活用法がわからなかった」。
郷に入っては……
「そうしたパブリッシャーと仕事をすればするほど、彼らにはまず、根本的な発想から変える必要があることにも気づいた。彼らには、eコマース業界にいるという自覚がなかったからだ。このさい、コンテンツのマネタイズ法は関係ない。ペイウォールでも、広告でも、サブスクリプションでも、コントリビューションでも、何であろうが、違いはない。そしてどこのパブリッシャーも、eコマース企業らしい活動はしていなかった」。
[原文:Google’s Amy Adams Harding on why digital newsrooms should ‘act like an e-commerce player’]
PIERRE BIENAIMÉ(翻訳:SI Japan、編集:長田真)