パブリッシャーや業界の情報筋によると、Googleがアドブロック問題に積極的に取り組み、「受け入れ可能な」広告ポリシーを探っているという。
GoogleとFacebookは2015年、2社合算でデジタル広告市場の64%を支配した。その力をもってすれば、業界標準となる広告フォーマットに大きな影響を与えられるかもしれない。
アドブロックを使う読者が増えているのは、読み込みが遅く邪魔な広告のせいだとされている。Googleは事業の大半が広告で成り立っており、自社サイトでアドブロックを回避して広告を表示するために巨額の費用を支払っていると報じられることもあった。Webを広告にとって安泰な場所にするために、かなりの投資をしているのだろう。
パブリッシャーや業界の情報筋によると、Googleがアドブロック問題に積極的に取り組み、「受け入れ可能な」広告ポリシーを探っているという。
GoogleとFacebookは2015年、2社合算でデジタル広告市場の64%を支配した。その力をもってすれば、業界標準となる広告フォーマットに大きな影響を与えられるかもしれない。
アドブロックを使う読者が増えているのは、読み込みが遅く邪魔な広告のせいだとされている。Googleは事業の大半が広告で成り立っており、自社サイトでアドブロックを回避して広告を表示するために巨額の費用を支払っていると報じられることもあった。Webを広告にとって安泰な場所にするために、かなりの投資をしているのだろう。
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IAB&媒体社の取り組み
業界内部ではほかにも、ユーザー体験を改善しようという構想がある。IAB(インタラクティブ広告協議会)は、人々が広告をブロックしたくなる理由に対処することを目指して、「L.E.A.N.」という広告の基準を打ち出した。
パブリッシャー側も、この問題に個別に取り組んでいる。たとえば、広告を簡素にして読者にアドブロックを解除するように呼びかけたり、アドブロックユーザーはコンテンツ全体にアクセスできなくしたりといった具合だ。さらにアドブロック企業にも、控えめだと見なした広告が通過されるプログラムもある。
しかし、IABなどの団体の取り組みは強制力がない。また、パブリッシャーが個別に活動しても、消費者側でサイトをホワイトリストに入れてもらわない限り、アドブロッカーがすべてのサイトを同じように扱っている事実を変えることはできない。
広告主を説得する必要性
その一方、技術力とデジタル広告配信への支配力があるGoogleなら、パブリッシャーやIABなどだけでは不可能なことを行える。広告がブロックされる最大の理由である、目障りで迷惑な広告をやめるように求めることができるということだ。
Googleのスキームがどのようなものになるのかは見えていないが、おそらくは、同社の基準を満たす広告だけがGoogleやYouTubeに表示される。さらに、パブリッシャーがインベントリー(在庫)を売り出す同社の広告エクスチェンジ「ダブルクリック(DoubleClick)」にも、この基準が適用されるというシナリオだろう。
パブリッシャーは現在、読み込みが速くなるように広告を変える必要性を感じていない広告主たちの抵抗に直面している。Googleのような巨大プレイヤーがパブリッシャーの後ろ盾になれば、そうした広告主とパブリッシャーの関係を変えることができるだろう。「この状況を誰かがしっかりと握る必要があるのは明らかだ」と、Googleの計画を直接知るパブリッシャー幹部は話す。
パブリッシャーたちの意見
しかし、力も規模もあるGoogleの広告構想は、検閲的な監視も引き起こしうる。「受け入れ可能な」広告の判断に関しては、Googleに自由にされたくないと、パブリッシャー側は考えている。Googleの計画を直接知る別のパブリッシャー幹部は、「彼らは、パブリッシャーたちの意見を取り入れる必要がある」と話した。
Googleの広告幹部らはすでに公開の場で、「受け入れ可能な」広告の基準を決める必要性を語り、業界全体で取り組む必要があると話している。だが、Googleはこれまで記事化された発言を超えるコメントはしなかった。
Googleは2016年に入り、モバイル記事向けに、ページを遅くする広告の利用を抑制するプロジェクト「AMP(Accelerated Mobile Pages)」を立ち上げた。AMPは、Facebookの「インスタント記事」に対するGoogleからの回答だと見る向きが多い。「インスタント記事」は、Facebookのエコシステムから(おそらくはモバイルウェブへ)ユーザーを放出しないことを目指したものだと見られている。
アドブロックに関する調査研究
IABのランドール・ローゼンバーグCEOによると、Googleはアドブロックと消費者の分野について調査研究を進めている。
「IABには、広告に対する消費者の満足と不満の要素について深く研究している大手のパブリッシャーとテクノロジー企業が数多く加盟しており、Googleはそのひとつだ」とローゼンバーグCEOは話す。「そうした取り組みが貴重な力になって、我々は広告の原則である『L.E.A.N.』を打ち立てた。この原則が、マーケター、エージェンシー、およびパブリッシャーがよりよいユーザー体験を構築していく基盤になっている」。
Lucia Moses(原文 / 訳:ガリレオ)
Photo by Alexander Burghardt / Flickr