Googleのサブスクリプション、地方紙サイトでサービスイン:「ゲームチェンジャーの可能性がある」

サブスクリプション支援ツール「Subscribe with Google(サブスクライブ・ウィズ・グーグル)」をGoogleは、4月24日にローンチした。最初のローンチパートナーとして彼らが選んだのが、新聞チェーンのマクラッチー(McClatchy)だ。ローカルなニュースメディアをサポートするという、GoogleのこれまでのミッションのPRにもなっている。このツールを使うことで、ユーザーたちはオンラインのメディアにクリック2回のプロセスだけで、サブスクリプション登録をすることができる。また、検索結果に表示されたコンテンツのなかで、自分がサブスクリプション登録しているメディアのものをハイライトしてくれる。

マクラッチーは、彼らが抱えている30のローカルサイトすべてを対象に、Subscribe with Googleを導入している。彼らはGoogleと長年に渡り、コラボレーションをしてきたメディアでもある。本社がカリフォルニア州サクラメントに所在しており、Googleとも近いことも手伝っているのだ。サブスクリプションに関して、マクラッチーは2018年に入ってからずっと、Googleと密接に取り組んでいる。

「(Subscribe with Googleは)巨大な逆風にあえいでいるローカルなパブリッシャーたちにとって非常に重要だ」と語るのは、マクラッチーのプレジデント兼CEOであるクレイグ・フォーマン氏だ。マクラッチーは14州にまたがる、地方紙を運営。マイアミ・ヘラルド(the Miami Herald)といったタイトルがそこに含まれる。「面倒臭さを取り除くことで、サブスクライバー経済でこそ成り立つエネルギーが新しく注入される。ある種のゲームチェンジャー、もしくはゲームチェンジャーになるポテンシャルを持っている」と、フォーマン紙は語る。

Googleアカウントを使って

Subscribe with Googleでは、ユーザーが保有するGoogleアカウントを使って、支払いとアクセスを管理できる。複数のデバイスでのアクセスもGoogleアカウントを使うことで容易になるわけだ。これを導入することで、オンラインの新規サブスクリプション登録が増加するのか、また既存の登録者がより利用するようになるのかを、マクラッチーは確かめようとしている。

「Subscribe with Googleが登場するまでは、ペイウォールの内側にある、すでに購入した情報にアクセスするまでに面倒な作業がたくさん存在していた」と、彼は言う。

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マイアミ・ヘラルドのペイウォール制限に達すると、Googleユーザーにはこのウィンドウが表示される。

GoogleもFacebookもどちらとも、ニュースパブリッシャーたちがビジネスとして持続できる環境を生み出すことに貢献していないと、頻繁に批判されてきた。デジタルパブリッシャーたちは、オンライン広告収益ではなかなかビジネスを維持できていない。収益のほとんどがGoogleとFacebookに吸い取られてしまうからだ。最近になって両者とも、ニュースパブリッシャーとの関係を改善しつつある

Facebookのメディア貢献

1月にはFacebookはローカルニュースをニュースフィードでより促進していくと述べている。しかし、これはニュース全体の優先度がニュースフィードでは下げられると発表されたあとでのことだ。ユーザーとコンテンツのあいだにペイウォールという壁を作ることにFacebookもGoogleも反対していたが、最近になってサブスクリプションツールを試験的に展開しはじめている。Facebookはパブリッシャーのサブスクリプション販売を試験的に開始しており、収益のすべてをパブリッシャーへと渡している。しかし、それも当初はサブスクリプション料金をユーザーに請求する前に10件の記事は無料で読ませないといけない、という条件付だった。

Facebookのニュース・プロダクト部門責任者であるアレックス・ハーディマン氏は、eメールで米DIGIDAYに次のようにコメントを寄せた。「インスタント記事におけるサブスクリプションモデルの試験運用では功績が見られており、それに励まされている。しかし、このプロジェクトはまだはじまったばかりだ。過去数カ月間にわたり、iOSでこのテストを行ってきた。無料記事の数条件を柔軟にし、ユーザーがペイウォールにぶつかる前に提供できる、追加のアップセルなども試している。このプロジェクトを適切な形態に進化させることに尽力しており、対応範囲を広げる計画だ。パブリッシャーの方へと潜在的なサブスクリプション登録者を誘導するため、Facebookで何ができるか、パートナーたちと協力して対策を見極めたい」。

パブリッシャーのビジネスに貢献している、というアピールではGoogleの方が成功している。前述のサブスクリプションプロダクトでは18カ国に及ぶ59のパブリッシャーと協働してきたと、パブリッシャーとのコラボレーションの側面を強調している。ブルームバーグの報道によると、Google経由での最初のサブスクリプション購入からの収益の85%から95%がパブリッシャーに渡るという。これは以前の70%と比べて大きく上昇している。これはAppleと比べても競争力がある。Googleニュースイニシアティブ(Google News Initiative)の名のもとで、Googleが展開してきたパブリッシャー援助のプログラムの一環だ。

他プラットフォームともコラボ

Facebookでのサブスクリプションモデルを試験運用しているパブリッシャーにはマクラッチーは含まれていない。デジタルサブスクリプションを伸ばすための技術的なサポートをFacebookから受け取ってはいる。Facebookについて尋ねたところ、フォーマン氏は直接の言及を避けた。「我々はSubscribe with Googleの今後に期待しているとともに、深く練られたエンゲージメント戦略を持っているプラットフォームであれば、ほかのプラットフォームともコラボレーションをしたいと考えている」と言った。

GoogleはSubscribe with Googleのローンチ時のパートナーとして17のメディアを挙げている。そのなかにはニューヨーク・タイムズ(The New York Times)、フィガロ(Le Figaro)、ナシオン(Nación)といったメディアが含まれている。彼らのサービスは近日中に開始されるとのことだ。ニュースコープ(News Corp)が参加していないことは注目に値する。ニュースコープは長年にわたり、GoogleやFacebookといったテック大手企業に対する批判をしてきている。彼らはGoogleのサブスクリプションプロダクトに関してもそのデータと値段に関して反対意見を出しているが、詳細な理由などは出されていない。

Lucia Moses(原文 / 訳:塚本 紺)