グッド・マガジンとアップワージー、コマース事業に進出

パブリッシャーが、社会意識や倫理的な責任に取り組みながら、コマース収益を追求する方法はあるのだろうか。グッド・メディア・グループ(Good Media Group)は、それを解明しようとしている。

アップワージー(Upworthy)やグッド・マガジン(Good Magazine)の親会社であるグッド・メディア・グループは2018年6月19日、倫理的な製品を作るソーシャル・インプリンツ(Social Imprints)と共同で、衣料ブランドであるパブリック・サービス・アパレル・サプライ・カンパニー(Public Service Apparel Supply Company:以下、PSA)を立ち上げると発表した。

PSAは「ヘイトをヘイトする」といった態度表明のスローガンや中間選挙の投票を呼びかける「11月6日」という日付などをあしらったTシャツ(29ドル)、バッジ(10ドル)、トートバッグ(19ドル)など、6点の製品ラインでスタートする。

グッド・メディア・グループのマーケティング戦略グループの一環だが、PSAには、編集、マーケティング、クリエイティブ、デザインなど、ほかの部門からも人員が集まっている。保管とフルフィルメントはソーシャル・インプリンツが行い、クリエイティブ方面はグッド・メディア・グループのデザイナー、編集者、マーケターが担当する。

PSAが取り組む大義

PSAはさまざまな大義に取り組む。今後3カ月間、草の根の組織や活動家にトレーニング、リソース、ネットワーキング支援などを提供する非営利団体、ザ・センター・フォー・コミュニティ・チェンジ・アクション(The Center for Community Change Action)に収益の10%を提供する。ソーシャル・インプリンツの従業員は、薬物乱用やホームレス化に苦しんだことがあったり、高校を卒業していなかったりと、潜在的な問題を抱えている成人たちが中心だ。

グッド・メディア・グループは、Facebookがオーディエンス構築するところではなくなりブランデッドコンテンツ配信の費用が高くなるなか、収益を多様化し、インターネットを超えてブランドを拡大する可能性をPSAに見いだしている。現在は、ブランデッドコンテンツが収益の60%。あと、倫理的で持続可能な事業運営をクライアントに助言するコンサルタント業が25%あり、ほかにプログラマティックなどから収益を得ている。

「Tシャツやボタンやバッジを身につけるのは、FacebookやTwitterでシェアするのと同じだ」と、グッド・メディア・グループで戦略とマーケティングの最高責任者を務めるジェン・リンデナウアー氏はいう。「私たちが共有する価値を促進する機会だ」

プロモーションの方法

PSAは独立したデジタルストアと、グッド・メディア・グループの両サイトのストアでプロモーションを実施する。人々に製品を見てもらうため、両サイトが定期的にPSAのパートナーに関する記事を書いたり、Facebookなどのソーシャルプラットフォームで有料プロモーションを使ったりする。

グッド・メディア・グループはまた、PSAやPSAの使命に沿った事柄を扱った記事を読んでいるサイト訪問者に、プログラマティックによるターゲティングを実施する。たとえば、里子として育ち、里子にバックパックを提供する非営利団体を設立したロブ・シアー氏の記事などにPSAの広告を掲出する。

PSAの立ち上げによりグッド・メディア・グループは、ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)ザ・チャイブ(theCHIVE)といったオーディエンスのブランドへの熱意を利用して、コマースで収益拡大に取り組むパブリッシャーの仲間入りをする。PSAはいずれ、デザイナーや非営利団体などのサードパーティが慈善活動や問題提起の商品を販売するプラットフォームになるかもしれないと、リンデナウアー氏は語った。

「カルチャーは移り変わりが速い」と、リンデナウアー氏は続ける。そのうえで、「価値をシェアするという発想の優先度が低くなるとは考えられない」。

Max Willens (原文 / 訳:ガリレオ)