2018年2月、シェリル・L・ベッドフォードは、あるイベントを開催した。有色人種の女性たちの団結を訴えたこのイベントは、同氏が取りまとめる非営利団体、ウィミン・オブ・カラー・ユナイト(Women of Color Unite)を生み出した。
シェリル・L・ベッドフォード氏は2018年2月、あるパーティーを開催した。その招待状には、有色人種の女性が団結することが呼びかけられており、このイベントから、ベッドフォード氏が取りまとめるエンターテインメント業界の有色人種の女性を支援する非営利団体、ウィミン・オブ・カラー・ユナイト(Women of Color Unite)が生まれた。
「『慣れ親しんでいる存在かどうかを基準に人を排除するという考え方』を終わらせる、という信念に基づいてウィミン・オブ・カラー・ユナイトを作った」と、同氏は米DIGIDAYのポッドキャストで語っている。
アイデンティティや経験が自分に近しい人を雇う採用慣習は、有色人種の女性の就職を難しくしている。そうした現状との闘いのなか、ウィミン・オブ・カラー・ユナイトは有色人種の女性が業界に参入し、ハリウッドにおけるキャリアを構築するのを支援する、ふたつの施策を展開している。
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ひとつ目が、業界で働く4500人の有色人種女性のデータベースであるJTCリスト(JTC List)だ。これは、カメラマン、ライン・プロデューサー、脚本家などを企業が見つけるための無料ツールとして機能しているほか、同団体が有色人種の女性が経験する問題や課題を分析するツールにもなっている。
ふたつ目が、2020年5月にジョージ・フロイド氏が殺害されたあとにはじまった「#まず8人から始める(#StartWith8)」プログラムだ。このプログラムは、ハリウッドで大きな功績を残した大物業界人たちが、有色人種の女性8人を支援することを確約している。たとえば、ジョーダン・ピール(人気俳優・コメディアン・映画監督・脚本家)が率いる制作会社のプレジデント、モンキーポー・プロダクションズ(Monkeypaw Productions)の社長で、同氏も脚本家/プロデューサーを務めるウィン・ローゼンフェルド氏は、有色人種の女性8人と会い、彼らの脚本を読みフィードバックを与えることを確約した。「業界の人々が何を求めているのかを理解すること、どんなものが制作に繋がっているかを知ることは、業界に参入しようとする女性たちにとって非常に有意義なことだ」とベッドフォード氏は述べる。
以下、会話のハイライトだ。読みやすさのために若干の編集を加えている。
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親しみやすさによる排除
「もともと私は、被害を被っている人々が置かれているのは、単に『著名な知り合いがいない、学校の繋がりもない、ゴルフもしない(ので業界でコネがない、仕事が見つけられない)』、こうした要因によるものだと理解していた。しかし現在、この問題はそれより根深い問題だと考えている。(白人男性の業界人にとって、有色人種の女性は)自分自身に近い存在だとは思えないし、自分の家族の誰かを想起させたりもしない。友人にも想起させるような存在はいない、という状況を意味している」。
ネットワークの力
「2018年5月、私はロサンゼルスを拠点とする映画、およびテレビスタジオのオウサムネスTV(AwesomenessTV)で働いていた。オフィス移転をした際、私は「社内の繋がりを作る」というミッションを与えられたのだが、私は目的達成のために、ああるイベントを主催することに決めた。それが、ウィメン・オブ・カラー・ユナイト設立のきっかけだ。当初から、メンバーは約250人も集まっていたし、さらに驚くべきことにイベント当日に仕事を得るメンバーも見られた」。
「in-betweeners」の闘い
「業界で3年から10年の経験を持つ有色人種の女性たちのことを、我々は「in-betweeners(中間の人々)」と呼んでいる。こうした表現を用いるのは、彼女たちの30%から33%は、いまだに本格的な仕事を得る機会を、待っている状態だからだ」。
問題の核心
「これは、人材パイプラインの問題ではない。業界で、これからもっと活躍できる有色人種の女性は確実にいる。つまり、単純に彼女たちをしっかりとした形で雇用すれば済む問題なのだ。私はこの問題を、『黒人である私を雇え(hire my Black ass)』問題と呼んでいる。芸能界で働く有色人種女性のうち、組合や労働団体に所属しているのはわずか10%だ。彼女たちが、これらの労働組合に所属し、まともな賃金、医療、ネットワーキングの機会を得られるような環境が必要だろう。自分が持つネットワークこそが自分の資産であることは、誰もが知っていることなのだから」。
[原文:Women of Color Unite’s Cheryl L. Bedford is fighting ‘exclusion by familiarity’ in entertainment]
TIM PETERSON(翻訳:塚本 紺、編集:村上莞)