テクノロジーメディア「テックレーダー(TechRadar)」やゲーム情報メディア「ゲームズレーダー(GamesRadar)」のパブリッシャーであるフューチャー(Future)にとって、アドブロックは軽々しい問題ではない。デスクトップから「ゲームズレーダー」に訪れるユーザーの半数がアドブロックを使っているからだ。フューチャーが運営するサイトを全体的に見ると、アドブロックを使用しているユーザーは35%にもなる。
最近ではアドブロックを使用するユーザーに対して、「広告を受け入れないならコンテンツは見せない」といった強硬な姿勢を取るところも増えているが、フューチャーは真逆の選択をした。アドブロックユーザーの気持ちを汲み取り、アドインプレッションを削減することに決めたのだ。すでに5000万ものアドインプレッションを削減していて、2016年の終わりまでには1億インプレッションを削減する。アドブロックユーザーに対し、フューチャーはコンテンツをブロックするつもりはない。
テクノロジーメディア「テックレーダー(TechRadar)」やゲーム情報メディア「ゲームズレーダー(GamesRadar)」のパブリッシャーであるフューチャー(Future)にとって、アドブロックは軽々しい問題ではない。デスクトップから「ゲームズレーダー」に訪れるユーザーの半数がアドブロックを使っているからだ。フューチャーが運営するサイトを全体的に見ると、アドブロックを使用しているユーザーは35%にもなる。
最近ではアドブロックを使用するユーザーに対して、「広告を受け入れないならコンテンツは見せない」といった強硬な姿勢を取るところも増えているが、フューチャーは真逆の選択をした。アドブロックユーザーの気持ちを汲み取り、アドインプレッションを削減することに決めたのだ。すでに5000万ものアドインプレッションを削減していて、2016年の終わりまでには1億インプレッションを削減する。アドブロックユーザーに対し、フューチャーはコンテンツをブロックするつもりはない。
ユーザー第一に考えた結果
「基本的に、私たちはコンテンツのブロックに反対だ」と、フューチャーの顧客業務部門を担当するザック・サリバン氏はコメントする。「私たちの読者の多くは熱烈なアドブロックユーザーだ。彼らにはアドブロックを使用する真っ当な理由もある。広告に対して、意識的な決断を下しているのだ。私たちは付加価値をユーザーに与え、より良いエクスペリエンスを提供することに興味を抱いている」。
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そのためにも、フューチャーはさまざまな戦略を混ぜ合わせ、eコマースなど、収益源を多様化することに注力している。ここ数年間では、保有するすべてのWebサイトが同じプラットフォームで運営できるよう、技術的なインフラを集中化させた。この4月にはすべてのサイトが同一のデザインになるため、技術インフラの集権化の影響が顕著に現れることだろう。また、これにより第三者のアドテク企業のタグを削減することが簡単になったため、数年間悩んでいたサイトページのロード時間の問題も、解決される。
アドテクの量を減らしたかった
サリバン氏は、エージェンシーから命じられたJavaScriptからHTML5への移行も、クリエイティブ面では「地獄」だったと話す。リッチメディア広告はとてもサイズが重いため、ページのロード時間やビューアビリティに悪影響を及ぼしていたからだ。しかし、フューチャーの新たなプラットフォームは、英インターネット広告協議会(IAB)が提唱するL.E.A.N原則(Light, Encrypted, Ad Choice Supported and Non-invasive:軽く、暗号化された、選択的広告システムが実装される、目障りにならない)にも沿っているため、今後、フューチャーの広告もすべてL.E.A.N原則に対応すると、彼は話している。
「サイトの初度監査をしたとき、私たちは数百ものアドテクを発見した。私たちはその量を減らしたかった」と、彼は言う。Webサイトで映像とそれに関連する広告をマッチングさせるシステムであるイメージ内広告(In-image)は、最初に不要とされ、削除されたシステムだ。
インターネット広告協議会と世論調査企業ユーガブ(YouGov)の調査によると、イギリスの成人22%がオンライン広告をブロックしているという。テクノロジーやゲームに特化したパブリッシャーにとって、これは重大な問題だ。フューチャーのフラッグシップサイトである「テックレーダー」や「ゲームズレーダー」は、ほかのライフスタイルやニュースサイトと比べて、とても脆弱なのだ。米調査企業コムスコア(comScore)によると、2月にフューチャーのサイトを訪れたユニークユーザー数は、イギリスとアメリカでそれぞれ530万人と1370万人であった。
エージェンシーも「一時的に」に歓迎
しかしオンライン広告の取引において、エージェンシーが必ずしも「少ない方が良い」という風に考えているとは限らない。広告を減らすため、価格が上昇してしまうからだ。
「広告を減らすと、残りの広告枠の価格が上昇してしまい、広告主のROIに悪影響を及ぼす可能性がある。もしこれが本当であるならば、私たちは広告主のキャンペーンに付加価値がつくよう、広告の取引は取りやめる」と、電通イージス・ネットワーク・メディアの投資企業であるアンプリファイ(Amplifi)の最高メディア責任者であるスティーブ・ボーリンガー氏は話した。
また彼は、サイトの簡素化や広告主のエクスペリエンスを向上させるパブリッシャーの動きは「一時的に」だが歓迎すると話している。「もし、インプレッションの数を減らすことで私たちの広告が優先的な扱いを受けられるならば、ビューアビリティやエンゲージメント率が上昇し、オーディエンスに快適なエクスペリエンスを提供できる」と、彼は話す。
フューチャーは、広告枠を減らしたことによる短期収益の減少に対する準備はできている。「短期的な収益は激減するだろう。しかし、私たちの目標は成長し続けることであり、長期的な収益を確保することだ。私たちはクロスプラットフォームや動画制作など、高価値のアドソリューションに注力している」と、サリバン氏は最後に語ってくれた。
Jessica Davies(原文 / 訳:BIG ROMAN)