NowThis は、いかに「リモート動画制作」に適応したか?:スカイプインタビュー、通信社の動画利用など

動画ファーストのパブリッシャーであるNowThis(ナウディス)は、もともとチームの一部がリモートワークで、ほかのソースからキュレートしたコンテンツにオリジナルの解説を添えて配信している。そのため、彼らにとっては完全なリモートワークへの移行は、世界の終わりではなかった。

政治担当ディレクターのニコ・ピットニー氏は「もっとも大きな変化は、現場にプロデューサーがいないことだ」と話す。ただし、社会的距離の確保(ソーシャルディスタンシング)による自宅待機はそれほど大きな問題になっていないという。屋外で撮影する必要のあるニュースは少なく、スカイプ(Skype)で対応できるためだ。

130人から成るNowThisのチームは現在、簡易的な方法で撮影を行っている。

動画制作を簡易にする方法

ピットニー氏はコンテンツの品質について、制作の工程を簡略化していると話す。要点を視覚化するため、編集段階で映像素材としてグラフィックや動画を追加する代わりに、ラップトップに表示したグラフィックや動画を撮影するといった具合だ。

スカイプでインタビューを行うケースも増えた。服役囚とその弁護団に焦点を当てた「ロングフル・コンビクション(Wrongful Conviction)」シリーズのエグゼクティブプロデューサー、マット・マクドノー氏によれば、ストーリーを伝える場面では、直接会っての取材よりスカイプでのインタビューを使うことが増えたという。

AP、ストーリーフル(Storyful)のようなサブスクリプションサービスへの依存度も大きくなった。理由はふたつある。制作チームが必要なコンテンツを集められないときに空白を埋めるため、ライブ配信コンテンツを増やすためだ。

クラウドタングル(CrowdTangle)によれば、NowThisは2月、Facebookのメインページに133のライブ動画を投稿したが、その数は3月、262まで増加したという。政治ページでも、2月は339だったのに対し、3月は403と増加している。

「ライブコンテンツの制作数を大幅に増やした」と、ピットニー氏は話す。たとえば、NowThisのFacebookチャンネルでは、米国の政治家、組織のリーダー、公衆衛生当局者のあらゆる記者会見がライブ配信されている。2~3時間の記者会見が20以上行われる日もある。

プロとしての信頼性を保つため

オリジナルニュース担当シニアバイスプレジデントのナンシー・ハン氏によれば、制作価値を高く維持するために力を入れているシリーズのひとつが、Facebookで毎日配信しているニュース番組だという。リモートワークへの移行に先立ち、オフィスでイントロとアウトロの撮影を行った。さらに、チームで司会者のアパートを訪問し、スタジオにもっとも近い音質で配信できる部屋を確認した。

デジタル動画を専門とするバター・ワークス(Butter Works)のCEOポール・グリーンバーグ氏は、スマートフォンで撮影した動画や誰かの散らかったリビングルームで撮影した動画など、質の低い動画はいま、オーディエンスの共感を集めやすいかもしれないが、親近感とプロとしての信頼性のバランスを取るには、制作準備の段階でできることがまだあると指摘する。

インタビューの相手にカメラの角度を伝えたり、異なる種類の照明をテストしたりするなど、シンプルなことが全体の品質を上げる助けになる。特に、エバーグリーンコンテンツにとっては重要なことだと、グリーンバーグ氏は話す。ニュースは消耗品に近い存在だが、寿命の長いドキュメンタリーやシリーズの場合、数カ月後や数年後に見たオーディエンスが質の低さにうんざりする恐れがある。

オーディエンスはいま、多少の見苦しさは気にしていないようだ。NowThisは3月、ほとんどのパブリッシャーと同様、トラフィックの増加を経験した。チューブラーラボ(Tubular Labs)によれば、YouTube、Facebook、Twitter、インスタグラム(Instagram)全チャネルの動画再生回数は前月から49%増加し、11億回に迫った。

Kayleigh Barber(原文 / 訳:ガリレオ)