紙媒体の低迷が叫ばれて久しい昨今、日本のパブリッシャーの多くが、デジタル化の推進や新規事業にチャレンジし続けている。しかし依然として、ビジネスを継続していくための明確な解は見つかっていないのが現状だ。パブリッシャーは、いかにビジネスの持続可能性を高めていくべきか、フォーエム取締役 作増志郎氏に訊いた。
パブリッシャーが良質なコンテンツを生み出し続けるには、そのビジネスモデルも持続可能でなければならない。
紙媒体の低迷が叫ばれて久しい昨今、日本のパブリッシャーの多くが、デジタル化の推進や新規事業にチャレンジし続けている。実際、一部の出版社や全国規模の新聞社では、テクノロジー人材を採用したり、組織的にDX(デジタル・トランスフォーメーション)に取り組むなど、積極的に変化を推進する動きもある。ただ一方、業界全体で見たときには、パブリッシャービジネスの先行きは、依然不透明なままだという見方もある。
「パブリッシャーの多くが、ビジネスを持続可能にしていくための変化はもはや避けられないと自覚している。ただ自覚していても、それを満足に実践できない。これは構造的な問題だ」。こう語るのは、パブリッシャービジネスを総合的に支援するオールインワンSaaS、AnyManager(エニーマネージャー)を展開するフォーエム(FourM)の取締役、作増志郎氏だ。「我々は、パブリッシャーの多種多様なニーズに寄り添い、ビジネスを持続可能なものにすべく支援を行っている」。
フォーエムは現在、20以上の地方新聞社や出版社にいたるまで、国内500以上のパブリッシャーに対して、コンサルティングとソリューションを展開している。パブリッシャーが抱える課題の解決に、同社がいかに貢献できるかを作増氏に訊いた。
──日本のパブリッシャーは、現在どのような課題を抱えていますか?
共通している課題は「ビジネスの持続可能性」を担保するための変化を、充分に起こせていないことだ思います。この変化とはDX、あるいはデジタルシフトという言葉で言い換えても良いかもしれません。
現在、多くのパブリッシャーのみなさまが、サブスクリプションサービスやデジタル広告事業に挑戦されています。なかには明るい兆しが見えている企業もありますが、業界全体を見渡すと、本来必要な変化量が足りていないというのが現状だと思います。
しかしこれは、決してパブリッシャーのみなさまの怠惰によるものではありません。「変わらなければならない」ことは頭でわかっていても、それを満足に実践できない環境にこそ、問題があると考えています。

フォーエム取締役の作増氏
──「変化を実現することが難しい環境」とは、具体的にいうと?
人的リソースや、テクノロジー領域のアセットが不足している点が挙げられます。大手パブリッシャーのあいだでは、積極的にテクノロジー人材を採用するなど、リソース確保のための動きが見られます。しかし、これが可能なのは一部の企業に限ります。現実には、WebメディアやアプリのちょっとしたUIの改修でさえ、都度外注して行うケースが大半なのです。
──なるほど。では、現状を打開するためには必要なこととは?
まずは、課題に「寄り添ってくれるような」パートナー企業に頼ることをおすすめします。
フォーエムは、2009年の創業以来「メディアビジネスの持続可能性を支援する」というミッションのもと、まさにそうした支援を行ってきました。2017年にインフルエンサーマーケティング事業、クリエイターサポート・マネジメント事業などを展開する、AnyMind Group(エニーマインドグループ)傘下に加わってからは、グループのテクノロジーリソースを最大限に活かし、Webやアプリのマネタイズからグロース、UI/UXの改善まで、さまざまな角度からパブリッシャーのみなさまを支援しています。
具体的な支援内容としてはふたつです。ひとつは、マネタイズからUX向上まで、多様なメディア支援ツールを備えた、Webメディア・アプリ・eコマースサイトのための All-in-One プラットフォーム、AnyManagerの提供です。AnyManagerは、広告やサイトのパフォーマンスが「見え」、そのデータを元に施策を「打ち」、施策の結果が「分かる」プロダクトです。「見える・打てる・分かる」のプロセスによってWebメディアやアプリの成長をサポートします。また、我々はAnyManagerを活用し、マネタイズのハンズオン支援や施策立案を行う、パートナー事業も展開しています。

AnyManagerの管理画面
──サービスを提供しつつ、がっつりコンサルティングもすると?
はい。そのため、クライアントから抽出する課題の精度はかなり高い。また、その課題をプロダクトの改善に活かすスピードにも自信を持っています。現在AnyManagerは、13カ国17市場で展開されており、世界中のパブリッシャーの課題がリアルタイムに上がってきます。それを各国のエンジニアが開発に落とし込み、1週間に約4〜5つのアップデート、月に2つの新機能リリースというペースで開発を進めています。
こうして、多様かつ顧客起点で開発された機能が次々にアップデート、追加されていくので「人的リソースやテクノロジー周りのアセット不足」という、パブリッシャーのみなさまが抱える課題を解決するお手伝いができます。
さらに、母体であるAnyMind Groupは、eコマースサイト構築サービスのAnyShop(エニーショップ)や物流管理プラットフォームAnyLogi(エニーロジ)、SNSアカウントの分析にも秀でたアジア最大級のインフルエンサーマーケティングプラットフォーム、AnyTag(エニータグ)といったプラットフォームを保有しています。そのナレッジを活用できるのも、我々の強みのひとつですね。
──ふむ。しかしそれだけ機能が豊富だと、デジタルへの理解が進んでいないパブリッシャーにとってはハードルが高い気が…
AnyManagerは、デジタルに精通したパブリッシャーのみなさまから、そうでないパブリッシャーのみなさままで、多様なクライアントのニーズに応えられる機能を備えており、その使い易さも配慮されています。なので、デジタルに関する知識や経験がなくても、簡単に活用いただけます。また当然のことながら、最初からすベての機能をフルでご利用いただく必要はありません。
少しずつでもAnyManagerの活用を進めていくと、「ほかの機能も使ってみよう」という気になり、デジタルへの耐性が形成されていく。デジタルへの理解が深まってからも、AnyManagerは機能が多様なため、ハイレベルな施策展開にもご利用いただけます。それもあり、AnyManagerの解約率は非常に低い。現に、一般的なSaaSのチャーンレート(解約率)は3%が理想ですが、AnyManagerのそれは1%以下です。

「AnyManagerは、多様なニーズにお応えできる」と強調する作増氏
──それはすごい!ちなみに、AnyManagerの導入企業はどれくらいなのでしょうか?
現在AnyManagerは、ドメインで見ると国内で800、海外を含めると1500のメディアに導入されています。
たとえば文藝春秋様では、文春オンラインがローンチされた2017年1月以前から、同メディアのグロースやマネタイズ施策のために、AnyManagerを活用いただいています。0からスタートしたこの取り組みは、現在では1カ月で数千万円の広告収益を上げるまでに成長しました。マネタイズの部分はもちろん、サイトスピードを改善したり、ダッシュボードを改修したりと、細かな積み重ねが奏功したと考えています。
また、我々は地方新聞社のみなさまへの支援も積極的に行っており、現在は20紙以上のグロースをお手伝いしています。その一社である中国新聞社さまでは、AnyManagerの導入とコロナ禍の影響で、ページビューやインプレッションが増加し、デジタル広告の収益が伸長しました。これを受け中国新聞社さまでは、デジタル事業への期待度が高まり、社内横断でデジタル関連の多様な取り組みが開始されたと聞いております。
──最後にAnyManager、およびフォーエムの今後について教えてください
まず、AnyManagerに関する直近のアップデートですと、ペイウォールやレポートを自動作成できる機能に加え、Shopify(ショッピファイ)でPWAを実装できるプラグイン機能を導入していきます。これは、今年7月ごろに実装出来る見込みです。
またフォーエムとしては、今後も「メディアファースト」をビジョンに、パブリッシャービジネスの持続可能性が少しでも高まるよう、さまざまな角度からお手伝いをしていきたいと考えています。
人々が良質なコンテンツを享受していくためには、作り手であるパブリッシャーのみなさまのビジネスが、持続可能なものでなければなりません。我々は、そのために必要な変化を全力で支援していきます。
▼作増志郎
株式会社フォーエム 取締役 兼 AnyMind Japan株式会社 事業部長
1993年熊本生まれ。東北大学卒業。グリー株式会社に新卒入社し、広告メディア事業本部にて、メディアの収益化支援及びアドプロダクトの事業開発に従事し、GREE NEWSの事業責任者を務めた後、2020年4月にAnyMind Japan株式会社にジョイン。子会社である株式会社フォーエムの取締役に就任。AnyMind Japanにて事業部長も兼務する。
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Written by DIGIDAY Brand STUDIO(海達亮弥)
Photo by 渡部幸和