ハースト、印刷版とデジタル版のブランデッドチームを統合 : さらに5人を追加採用

ハーストUK(Hearst UK)は、印刷版とデジタル版のブランデッドコンテンツのチームを統合した。また、さらに5人を雇用して、チームメンバーを計25人にした。目的は、顧客にとってブランデッドコンテンツのバイイングプロセスをもっと簡単なものにして、支出の増加を促すことだ。

ブランデッドコンテンツの提供は、進化を続けてきた。チームは以前、ハーストの傘下にある23のブランドのそれぞれで働いていたが、2017年に、デジタル版ブランデッドコンテンツチームを立ち上げ、肩書きの違いを超えたデジタルコンテンツの制作に力を注ぐようになった。現在、それに印刷版が加わろうとしている。発想としては、顧客窓口をひとつにして、ハーストがフォーマットを超えた一貫したトーンを提供できるようにするというものだ。

ブランデッドコンテンツディレクターという新設の役職に任命されたアリ・グレイ氏は、「いまや我々は、ひとつの明確な戦略をもったひとつのチームとなった。すべてのプラットフォームを網羅できるよう、スキルセットを進化させたいと考えている」と述べた。「複数の柱にまたがって、柔軟に対応していく。重なる部分も出てくるだろう」。

25人をひとつのチームに

25人のスタッフ全員をひとつのチームにするというプロセスが、数カ月前から進行中だ。さらにハーストは、中核となるコンテンツの5つの柱(デジタルコンテンツ、デジタルデザイン、アート、動画、印刷版コンテンツ)の下で再編も行った。スキルのギャップをなくして成長させる必要がある分野を理解しようとしており、これまでのところ、強化すべき分野として動画に注目している。

一見したところ、この新体制は道理にかなっているが、エージェンシーはこうした体制が実際に稼働することを期待している。グループ・エム(GroupM)傘下のエージェンシー、ウェーブメーカー(Wavemaker)のグローバル責任者であるリチャード・ストークス氏は、「連絡先が1カ所という点がきわめて重要だ」と指摘する。「コンテンツ業務を成功させたければ、制作物はこうでなければならないという固定観念を抱いてハーストなどのパブリッシャーのところに行くべきではない。彼らは、オーディエンスに関する洞察や編集的知識に加えて、誰が何を求めているかに関するデータソースももたらしてくれる。柱の構成は任意だが、そうした柱を得られることが重要だ」。

ハーストは米国でも、それまで別々だった印刷版チームとデジタル版チームの統合に取り組んでいる。12人体制の調査チームを結成し、データを利用してクリエイティブな決定を下すことをますます重視している。

エンゲージ視聴率という指標

英国では、以前に別の形でデジタルに焦点を当てていたので、デジタルコンテンツの制作に磨きをかけ、23のブランドにまたがる形でオーディエンスが反応するものを調査するほか、ブランデッドコンテンツでうまくいく測定方法を開発しやすい体制となっている。この測定方法については、2018年7月、キャンペーンのレポートに「エンゲージ視聴率(Engaged View Rate:EVR)」指標を導入したことで結実した。この指標は、オーディエンスが当該ページに30秒以上滞在し、75%以上スクロールダウンしたら、スコアを算出する。ハーストのサービスの一環として、顧客のキャンペーンごとにEVR指標が提供される。

グレイ氏によると、EVR指標の導入は、デジタル版ブランデッドコンテンツの売り上げがこの2年間で80%増加し、取引の平均規模が25%拡大した一因だという。2018年になってこれまでに、再予約が176%増加し、ブランデッドコンテンツがデジタル売り上げの3分の1を占めている、とグレイ氏は語る。

「この成長は、ブランデッドコンテンツにおける幅広い戦略や、エンゲージメント重視、リーチや規模を超えた注目を示している。キャンペーンを通して指標を追跡することで、顧客と透明性のある会話ができる」とグレイ氏はいう。

広告効果を証明するポイント

ハーストによるとEVR指標は、ブランデッドコンテンツのパフォーマンスが一般の記事に比肩することを示しているという。飽和状態のブランデッドコンテンツ市場で目立とうと躍起のパブリッシャーが、広告効果を証明するために重視するポイントだ。

技術とサイトデザインも、EVRに影響を及ぼしてきた。グレイ氏によると、既婚女性向け雑誌「グッドハウスキーピング(Good Housekeeping)」が、ほかの多くの出版物を扱うハーストのOS「Media OS」に移行した後、ページ読込時間が短くなり、外観がすっきりしたため、ブランデッドコンテンツに関するEVR指標が平均で28%上昇したとのことだ。

エージェンシーは、パブリッシャーがブランデッドコンテンツのデータからなかなか洞察を得られないことが多いと指摘している。ハーストの動きは適切な第一歩だが、道のりはまだ遠い。ハバス・メディア・グループ(Havas Group Media)の製品&ソリューション担当マネージングディレクターであるダン・チャップマン氏は、「ブランドの商業的な目的につながる道がないことがしばしばある」と指摘する。「彼らは自画自賛しているが、購入検討における2%の上昇をもたらすために必要なことは30秒でわかる、というほうがさらに望ましい。そして、それが達成されたら、そのためにどうやって最適化するのかも重要だ」。

2019年に計画してること

ブランデッドコンテンツ・キャンペーンから、購入検討に目立った変化をもたらすほど十分な規模を得ることは難しい。だが、テレグラフ(The Telegraph)BBCは、ブランデッドコンテンツに販売を結びつけようと取り組んでいると、チャップマン氏は語る。

グレイ氏によると、個々の事例に基づけば、EVR指標が高いと、eコマースのコンバージョンやブランド認知度といった、ほかの事業目標における改善につながる。2019年には、全体像をつかんでこれを証明する計画だという。

Lucinda Southern(原文 / 訳:ガリレオ)