FT 、イギリスでも Facebook 広告をボイコット:政治広告ルールに関する論争の末

Facebookが政治的な広告に関する規則の厳格化を発表したことを受けて、フィナンシャル・タイムズ(The Financial Times、以降FT)は、10月第1週からイギリス国内においても同プラットフォームでの広告出稿を取りやめている。Facebookの今回の措置に対し、アメリカのパブリッシャー各社による広告は、政治的なロビー活動として扱われないか懸念を表明しているのだ。

FTにとって最大の懸念は、イギリス国内では政治コンテンツや政治家関連の広告を購入した際に必ず「(FT)の提供(paid for by[FT])」というロゴが表示されてしまうため、ジャーナリズムと政治的立場の表明との境界がボヤけてしまうことだ。アメリカとイギリスの選挙におけるロシアからの干渉問題を受けて、Facebookは政治的な宣伝について透明性をもたらすため、広範囲に渡って対策を実施した。

FTでグローバル最高商務責任者を務めるジョン・スレイド氏は、10月第4週に行われたグループ・エム(GroupM)のフェイクニュースに関するイベントで次のように述べた。「『FTの提供』とまるで政治的なロビー活動をしているかのように表示されるのは困る。ジャーナリズムとロビー活動は別物にも関わらず、これではひとまとめにされてしまう恐れがある」。

Facebookはこの発言については公式のコメントを発表していないが、Facebookの広報担当は、政治コンテンツの広告について同プラットフォームが政治的な広告とニュースの宣伝は同一視していないことを強調した。

FTが示すさらなる問題

Facebookが5月に広告のラベリングを行う方針を打ち出したことを受けて、FTはほかのパブリッシャー数社とともに同月のうちにアメリカ国内でFacebookの広告を停止した。スレイド氏から具体的な数字を聞くことはできなかったが、同氏はFTのFacebookへの広告投資は「小規模ではなかった」としたうえで、それでもビジネス上におけるマイナスの影響が無視できなかったとし、「アトリビューションは難しいが、広告停止の障害になるほどの問題は見当たらなかった」と語る。

今回の動きは、FTが投稿の宣伝を控えるようになったことについて、Facebookがあまり痛手に感じていないことを端的に示しているといえるだろう。Facebookは第2四半期だけでも130億ドル(約1.4兆円)を超える収益をあげているのだ。

スレイド氏はほかにも、Facebookがポリシーのなかで広告主に対して個人の身元の検証を要求していることについても懸念を表明。「法的責任を負わされる可能性もあるのに、FTの社員を記載する義務の実現は非現実的だと思う」と、同氏は語る。Facebookの広報担当は、こうした個人情報は30日以内に削除し、信頼するパートナーにのみ送信するとしている。だが、Facebook自身がユーザーのデータを保護していないことで批判にさらされているのだ。

イギリスにおける局面

プラットフォームによるフェイクニュースの取り締まりと自己規制における大局的な難しさがここにある。プラットフォームたちが考え出した対策が、パブリッシャーの目的と反してしまうのだ。

Facebookはイギリス政府からの呼びかけを受けて、選挙の宣伝における透明性を高めている。10月16日にFacebookはイギリス国内で政治家、政党、選挙、法律を含むすべての広告について、身元と場所、「の提供」の表示を行うと宣言した。アメリカではFacebookの広告ポリシーはさらに広範囲に渡り、移民をはじめとする重大な問題なども含まれている。

FTからすると、予算を使用できる場所はほかにもたくさんある。今月に同社は「購読するまで決めないで(Don’t decide until you subscribe)」と銘打たれた広告キャンペーンを屋外広告、LinkedIn(リンクトイン)、Twitter、音声広告、ポッドキャストで展開することで、Facebookに対する反対の意思を示した。Twitterは、広告ポリシーからパブリッシャーを除外している。

スレイド氏は「たとえ私がCEOに、Facebookで広告を出してないから、来年度の成長が3ポイント鈍る可能性があると伝えたとして、私が知るFTの方針が変わることはない」と語り、次のように述べた。「当社はブランドとしてのあり方と、倫理的責任を真剣に考えている」。

Lucinda Southern(原文 / 訳:SI Japan)
Image courtesy of the Financial Times via Facebook.