ファーストパーティ 重視で、収益倍増させた媒体社の考え方:スタイリスト・グループの戦略

女性向けパブリッシャーのスタイリスト・グループ(The Stylist Group)は、プログラマティック広告収益を倍増させ、ヘッダー入札の収益を前年比で30%増加させたという。

DCトムソン(DC Thomson)傘下のスタイリスト・グループは、2018年10月以前には、パブリッシャーに共通するいくつかの課題に取り組んでいた。トラフィックの大部分を占めるモバイル機器で特に、ターゲティング可能な広告インベントリー(在庫)の提供可能な量を増やし、横ばいが続くヘッダー入札の収益の成長を相殺するというのが、その課題だった。

スタイリスト・グループはそのために、データ管理プラットフォーム(data management platform:以下、DMP)を、ファーストパーティcookieを優遇するパーミュティブ(Permutive)のものに切り替えた。その結果、100%のオーディエンスをターゲティングできるようになったと、スタイリスト・グループは述べている。従来はオーディエンスの45%しかターゲティングできず、総オーディエンストラフィックの75%を構成するモバイルを対象にできなかった。

同社でプログラマティック及びデータ、テクノロジー担当ディレクターを務めるデビッド・ヘイター氏によると、100%のオーディエンスをターゲティングできるようになったおかげで、広告主に提供できるインプレッションが、トラフィックのピークに影響は受けるものの、月間600万~900万に拡大したという。

デイスプレイのCPMが倍増した

オープンマーケットプレイスでの入札やプライベートマーケットプレイスでの取引、プログラマティックギャランディード(保証型プログラマティック取引)を含む、プログラマティックディスプレイ広告のCPMは、2.20ポンド(約303円)から4.43ポンド(約610円)に倍増したと、ヘイター氏は付け加えた。オープンマーケットプレイスでのヘッダー入札による収益は、横ばいが続いていたあとに、直接的な結果として前年比で30%増加したという。

「そのおかげで、データの使用方法と、物事を行えるスピードが大幅に変わった。目標は、ディスプレイ広告収益の向上だった。以前は、オーディエンスに関する保有データの量に満足していなかった。営業チームは、オーディエンスセグメントの規模に自信がなかった」とヘイター氏は語る。

スタイリスト・グループはいまでは、使用するブラウザによって人々のサイトでの行動が変化するかどうか、読む記事の種類、スクロール深度がサイトとの関わり方と相関しているかどうかといったデータによるオーディエンスインサイトによって、オーディエンス情報の深部に分け入ることができる。

ブランデッドコンテンツにも有益

このようなインサイトは、同社がより洗練されたレポートデータを提供できると同時に、ターゲティング能力が向上するため、ブランデッドコンテンツ取引の再予約を促進するのにも役立ってきた。ある特定の広告主はキャンペーンへの投資を50%増やしたが、ヘイター氏は、取引額の平均的な増加について詳細を明らかにしようとしなかった。「適切な基盤からの増加だ」と、ヘイター氏は付け加えた。

パーミュティブのDMPをスタイリスト・グループのFacebookページやほかのソーシャルプラットフォームに統合するのは、ブランデッドコンテンツへのリンクの参照トラフィックを増やすのにも役立ってきたと、ヘイター氏はいう。Facebook自体のユーザーの測定をするわけではないが、Pinterest(ピンタレスト)、Twitter、インスタグラム(Instagram)を含む、プラットフォーム上の類似オーディエンスのターゲティングを行えるのだ。テストでは、ソーシャルプラットフォームでブランデッドコンテンツへのリンクをクリックしてサイトを訪れた人々によるソーシャルメディア投稿のクリックスルーレートが平均で44%上昇したと、ヘイター氏は語る。

サードパーティcookieが減少していることから、大半のパブリッシャーは、ファーストパーティデータのより良い活用方法を積極的に探っている。パーミュティブの技術は、サードパーティcookieではなくファーストパーティcookieの利用に基づいており、ターゲティング能力とモバイルインベントリーの測定の向上を切望するパブリッシャーにさらなるインセンティブを与えてきた。「すべてファーストパーティcookieをベースにしているという事実は、非常に大きな要素だった。その点で大きな問題を抱える前は、モバイルのオーディエンスがどういう層なのか、わからなかった」と、ヘイター氏は付け加えた。

マネタイズの多様化にも好影響

印刷広告の減少と闘い、GoogleとFacebookが支配するディスプレイ広告への依存度を下げるために、パブリッシャーは収益源を本格的に多様化してきた。スタイリスト・グループも例外ではない。同社は現在、ライブイベントの収益源があり、4月には独自のジムを開設した。マイナス面は、広告、アフィリエイト、eコマース、その他の収益源にせよ、製品提供をそれぞれ実行するのに異なる技術が利用されてきたことだった。ほとんどのパブリッシャーが、異なる製品や技術でデータを統合して、「シングルカスタマービュー」と呼んでいるものを作成する方法を追い求めているのは、そのためだ。

DMPのオーディエンスデータはすべて、データウェアハウスに送られる。データウェアハウスは、そうしたデータを取り込んで統合し、広告の提供やeコマースなどの収益源に利用しているパブリッシャーの異なる機器や技術でのユーザーの行動をもっとよくわかるようにする。

「広告はしばらくのあいだは、一番の収益チャネルだった。その後、パブリッシャーは多様化することに決め、ポイントソリューションを持ったが、そういった技術間の点同士を結びつけはしなかった」と、パーミュティブのマーケティングディレクターを務めるアミット・コテチャ氏は語る。「現在、多くのパブリッシャーが、データを統合してインサイトや決定に利用することについて話している。そうすることで、ユーザー1人あたりの平均収益がわかり、どのレバーを引けば収益を上げられるのか知ることができる」。

スタイリスト・グループは、デバイスをまたいだコンテンツや広告、複数の製品との個々の関わりを切り離すことによって、ユーザー1人あたりの平均収益を推定し、潜在的なパターンを特定する計画だ。

「そうすれば、たとえば、広告のターゲティングを行う価値はないが、ジムのクラスやイベントにもっと関心があるかどうか、メッセージによってターゲットにできるかどうかを理解するのに役立つ」と、ヘイター氏は付け加えた。

Jessica Davies(原文 / 訳:ガリレオ)