人々のニュース閲覧行動において、Facebookの存在感が増している。2015年に入ってからアメリカでリリースされた各種調査機関の調べによると、ミレニアル世代(10代後半〜30代後半)はもちろんのこと、ジェネレーションX世代(30代後半〜50代後半)にまで、その影響力は及んでいるようだ。5つのグラフを通して、その背景を探る。
人々のニュース閲覧行動において、Facebookの存在感が増している。2015年に入ってからアメリカでリリースされた各種調査機関の調べによると、ミレニアル世代(10代後半〜30代後半)はもちろんのこと、ジェネレーションX世代(30代後半〜50代後半)にまで、その影響力は及んでいるようだ。
友人・知人の近況報告やちょっとした想いにまぎれて投稿される、各種メディアのニュース記事。時事・政治経済・エンターテインメント・スポーツなど、その種類は人によってさまざまだが、ニュース全般においてFacebookを介した伝播は、一般化したといっていいだろう。5つのグラフを通して、その背景を探る。
1. ニュース閲覧をFacebook経由で行う人は、ユーザーの63%
TwitterとFacebook、それぞれのプラットフォームでニュース閲覧するユーザーの割合
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2015年7月にリリースされた、アメリカのピュー・リサーチ・センターの調査「拡大するTwitter とFacebookのニュースの役割(原題:The Evolving Role of News on Twitter and Facebok)」によると、18歳以上のFacebookユーザーの63%が同サービスを通じてニュースを取得しているという。2年前の2013年には47%だったが、16%の伸びを示した。同様にTwitterユーザーも63%がニュース閲覧に利用しているが、そもそもユーザーの母数が異なることに留意したい。この調査では、Facebookユーザーの方がTwitterユーザーに比べて4倍ほど多く存在していた。
2. 世代を問わずFacebookのニュース閲覧利用は、増加している
TwitterとFacebook、属性から見たそれぞれのニュース閲覧ユーザーの割合
また、同調査でそれぞれのデモグラフィックを示したものがあった。Facebookのニュース閲覧利用は、18〜34歳(ミレニアル世代)、35歳以上(ジェネレーションX世代)、どちらも2年前より増加。しかも、ミレニアム世代の14%の伸びに比べて、ジェネレーションX世代の伸びは18%と顕著だ。これが2年ごとの定点調査であれば、2017年にはジェネレーションX世代の比率は、ミレニアル世代のそれと拮抗するかもしれない。
3. 政治ニュースは、世代を超えてFacebookで取得されている
直近の1週間において、政治ニュースを閲覧したメディアの割合
ピュー・リサーチ・センターが2015年6月に発表した、また別の調査「ミレニアル世代と政治ニュース(原題:Millennials & Political News)」では、政治ニュースの取得に関して、他のトラディショナルメディアを差し置いて、Facebookがもっとも利用されるという結果が出た。しかも、ミレニアル世代だけでなくジェネレーションX世代でも、同様の結果になっているところが面白い。ベイビーブーマー世代(日本でいう「団塊の世代」)ですら、Facebookは7位と健闘している。
4. ミレニアル世代の57%は、毎日Facebookでニュースを取得
「日常的に(Daily)」「状況によって(Occassionally)」ニュースを閲覧するメディアの違い
アメリカのメディア・インサイト・プロジェクトの調査「いかにしてミレニアル世代はニュースを取得するか:アメリカのデジタル第1世代の習慣について(原題:How Millennials Get News:Inside the Habits of America’s First Digital Generation)」によると、ミレニアル世代のニュース閲覧行動において、Facebookの圧倒的な強さが見て取れる。全体の57%が1日に1回以上、ニュースを得るためにFacebookを利用し、2位のYouTube29%に対して、約2倍の差をつけているのだ。日々報じられるニュースを流し読むにはFacebook、なにか興味が惹かれるニュースが出てきたら詳細をYouTubeで、ということなのだろう。
5. 新聞を超えて、全メディアの中で一番の信頼を勝ち得たFacebook
どのメディアの記事広告に信頼がおけるかランキング付けしたものの平均
アメリカのコンサル企業ACQUITYグループの調査「次世代のコマース(原題:The Next Generation of Commerce)」では、さらに興味深い調査結果を見ることができる。ミレニアム世代にとって記事広告の信頼性は、Facebookを介したものがもっとも高いのだ。しかも、これは新聞やテレビなど、いまだに影響力のあるトラディショナルメディアを差しおいての快挙である。ちなみに、この図は11ある項目に対して、信頼のおけるメディア1位から11位までのランキングを付けてもらった順位の平均。したがって、もっとも数値が低いものが、もっとも信頼性のあるメディアという結果になる。
さる5月にリリースされた、別サイトへ遷移することなくニュース記事を確認できる、Facebookの新機能「Instant Articles」などで、ニュース閲覧ユーザーの囲い込みを始めた同社。Facebookが「キング・オブ・ニュース・メディア」であると言い切るには時期尚早だが、近い将来そうなる可能性はさらに高まった。
ただし、この業界、移り変わるときは雪崩を打ったように一気に変わる。Facebookを脅かす新興勢力もいつか現れるかもしれない。