Facebookが2016年4月に、アプリ「Messenger(メッセンジャー)」のボットプラットフォームを発表。あわせて、「CNN」「ウォールストリート・ジャーナル(The Wall Street Journal、WSJ)」、そしてお天気サービスの「ポンチョ(Poncho)」といったローンチパートナーを公表したことで、ボットの製品化は大きく前進した。第一陣に加われなかったほかの企業もこの機会に乗じ、自分たちもユーザーとの交流(および記事のプッシュ通知)のために、まもなくボットを提供すると急いで発表している。
しかし、それ以降、ボットのリストは、ローンチ時点で提供された一部のパブリッシャーとブランドから、大きくは増えていない。理由はいくつかある。パブリッシャーの複数の開発者によると、Facebookはボット登録の殺到に備えていなかったらしく、いま彼らはひたすらゴーサインを待っている状態だという。ある開発者は、「Facebookはすべての登録を受けつけて、承認できるだけの備えができていない」と、話す。
チャットボットは、パブリッシング界の一大事だと考えられている。
Facebookが2016年4月に、アプリ「Messenger(メッセンジャー)」のボットプラットフォームを発表。あわせて、「CNN」「ウォールストリート・ジャーナル(The Wall Street Journal、WSJ)」、そしてお天気サービスの「ポンチョ(Poncho)」といったローンチパートナーを公表したことで、ボットの製品化は大きく前進した。第一陣に加われなかったほかの企業もこの機会に乗じ、自分たちもユーザーとの交流(および記事のプッシュ通知)のために、まもなくボットを提供すると急いで発表している。
Facebookの準備不足?
しかし、それ以降、ボットのリストは、ローンチ時点で提供された一部のパブリッシャーとブランドから、大きくは増えていない。理由はいくつかある。パブリッシャーの複数の開発者によると、Facebookはボット登録の殺到に備えていなかったらしく、いま彼らはひたすらゴーサインを待っている状態だという。ある開発者は、「Facebookはすべての登録を受けつけて、承認できるだけの備えができていない」と、話す。
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また、FacebookはF8開発者会議での発表を除けば、ボットをあまり売り込んでいない。「ポンチョ」を開発したベータワークス(Betaworks)のCEO、ジョン・ボースウィック氏によると、「Messenger」の一部ユーザーには人や団体を検索したときにボットが表示されるが、それ以外のユーザーはボットを探し回る必要がある。「ボットをいかにリリースして、プロモーションするべきなのか、Facebookはようやく考えはじめたばかりだ」と、ボースウィック氏は話している。
パブリッシャー側の実情
リソースの問題もある。基本的なボットを作るのは大したことではない。NBCニュースのアプリ「ブレイキング・ニュース(Breaking News)」の場合、ゼネラルマネージャーのコリー・バーグマン氏によると、ひとりの担当者が4日間で単純なボットを作ったという。先述のボースウィック氏は、20分で簡単なボットを作り上げたそうだ。
外部のパートナーを使うことで急いでボット開発したパブリッシャーもある。例えば、「テッククランチ(TechCrunch)」や「コンプレックス・メディア(Complex Media)」はチャットフュエル(Chatfuel)に、「ビジネス・インサイダー(Business Insider)」はスペクトルム(Spectrm)に、そして「CNN」はアウトブレイン(Outbrain)にボットの製作を依頼。また、NBCニュースとブレイキング・ニュースは共同で、次期ボットを開発している。
しかし、急いで作ると特色のないボットになりがちだ。また、ボットの検索機能は、コンテンツに関してパブリッシャーが保有するデータの範囲内でしか、うまく働いてくれない。よりパーソナライズされた記事が提供できるかどうかはデータ次第なのだ。
ボット開発はまた、動画などパブリッシャーのほかの優先事項と衝突する可能性がある。「Messenger」のボットについて、「試すのは面白そうだが、現時点で注力の中心が、すぐに変わるわけではない」と話すのは、Webメディア「バスル(Bustle)」創設者であるブライアン・ゴールドバーグ氏だ。
「Facebookの『ライブ動画』は、デジタルパブリッシャーの担当部門が、かなりのリソースを注ぐことが必要になる大規模な取り組みだ。そうした企業は中核のパブリッシング事業と『ライブ動画』に力の大半を注ぐのが賢明だろう。ほかの取り組みが気晴らしというわけでは決してないが、取り組みの数が増えればどうしても力が分散してしまう」と、ゴールドバーグ氏は言う。
導入に積極的な媒体社の意見
とはいえ、ボット界にいち早く参入することの優位性を理解しているところもある。パブリッシャーはコンテンツ配信へ懸命に取り組んでいるからだ。しかも、Facebookの「インスタント記事」やSnapchat(スナップチャット)といった閉じたシステムと違い、自社サイトにリンクを張ってくれるボットはよい投資先といえる。ボースウィック氏は、「Snapchatでは、Snapchat独自のシステムでやっていくことになり、それ専用にコンテンツを作る必要がある」と、話している。
CNNのソーシャル部門責任者サマンサ・バリー氏によると、CNNがボットにいち早く手を出したのは、ソーシャルよりも大きくなりつつあるオーディエンスにリーチし、人々がどのようにアプリを使っているのかを知ることで体験を向上させられるからだった。それに、記事のほとんどが「CNN.com」の記事の再利用なので投資があまり必要ない。
バリー氏は、「オーディエンスの振る舞いを知りたかったわけだから、1日に700件も通知を送るつもりはない」と話している。
Lucia Moses (原文 / 訳:ガリレオ)