フランスの高級日刊紙「リベラシオン(Libération)」は、実験的な試みとして、過去2カ月にわたり、毎日150本の記事をFacebook「インスタント記事」に配信した。その結果、Facebookで記事を読む人が増えたという。
Facebookのモバイルアプリにおいて、外部パブリッシャーのコンテンツページの読み込み時間を速くする「インスタント記事」。その一方で、マネタイズの面でもディストリビューションの面でも、さらなる大きな影響力をFacebookへ与えることになるため、多くの新聞社は試験的に導入しながら、様子を見ている。
「リベラシオン」のデジタル部門を率いるグザビエ・グランジェ氏は、米DIGIDAYの取材に対し、次のように述べた。「我々は、通常の評価指標を以前の状況と比較できるように、すべての記事を配信することにした。記事やテーマはすべて異なるため、そうしなければ反応を評価するのはとても難しい」。
フランスの高級日刊紙「リベラシオン(Libération)」は、実験的な試みとして、過去2カ月にわたり、毎日150本の記事をFacebook「インスタント記事」に配信した。その結果、Facebookで記事を読む人が増えたという。
Facebookのモバイルアプリにおいて、外部パブリッシャーのコンテンツページの読み込み時間を速くする「インスタント記事」。ユーザー体験を向上できる一方、マネタイズの面でもディストリビューションの面でも、さらなる大きな影響力をFacebookへ与えることになる。そのため、多くの新聞社は試験的に導入しながら、様子を見ているという。
「リベラシオン」のデジタル部門を率いるグザビエ・グランジェ氏は、米DIGIDAYの取材に対し、次のように述べた。「我々は、通常の評価指標を以前の状況と比較できるように、すべての記事を配信することにした。記事やテーマはすべて異なるため、そうしなければ反応を評価するのはとても難しい」。
Advertisement
「インスタント記事」でプラスの効果
インターネット調査企業のコムスコア(comScore)は、同社の分類によるニュース部門で「リベラシオン」をフランスで7番目に大きな新聞社としている。2016年2月の時点で、フランスには同紙のユーザーが230万人存在すると報告しているが、コムスコアが追跡しているのはデスクトップユーザーだけだ。
「リベラシオン」自身のGoogleアナリティクスのデータによると、現在ではオーディエンスの50%がモバイルから来訪しており、そのうちの16%はFacebook経由だ。同じくデスクトップの訪問者のみを追跡しているトラフィック解析サービスのシミラーウェブ(SimilarWeb)の調査によると、Facebookから「リベラシオン」へのトラフィックはここ1年で3%増加した。
2016年1月以降、「インスタント記事」に配信された7000本を超える記事の指標を分析したところ、滞在時間、エンゲージメント、記事1本あたりの売上で、プラスの効果が見られた。Facebookの解析ツール「Facebookページインサイト」によると、記事の閲覧時間は33%増えて4分40秒になったという。グランジェ氏は、読者が「インスタント記事」形式の方を好んでいるか、ページの読み込みが速いので滞在時間が長くなったおかげだと考えている。
閲覧時間は平均とほぼ変わらず
ここ最近で(「Facebookページインサイト」は過去1週間のデータしか取れないため)もっとも成果のあった記事は、ホームレス向け宿泊施設の設置計画について話し合う会合に対し、地元住民から抗議が相次いだという記事だ。この記事の閲覧時間は、平均の2分24秒よりわずかに少なかった。

「リベラシオン」の「インスタント記事」例
「リベラシオン」のFacebookページでは、ファンの数が10%増加して55万人強に達した。フランスの新聞社として第3位の規模を誇る「リベラシオン」は、過去4年にわたりFacebookへの配信を控えていた。同紙が扱っている政治関連の記事はFacebookにはあまり適していないと考えていたからだ。それに対し、「ル・モンド(Le Monde)」のFacebookページのファンは300万人近くに達している。
「リベラシオン」は、広告と購読料を売上の二本柱とするハイブリッドモデルを採用している。購読料は、デジタル版のみが月額15ユーロ(約1800円)、印刷版とデジタル版の両方を購読する場合は月額25ユーロ(約3100円)だ。
売上もいまのところ大差なし
同社が測定しているそのほかの主な指標は、記事1本あたりの売上平均で、これをモバイル向けのWebページと比較した(「インスタント記事」はモバイルアプリでのみ展開されているからだ)。グランジェ氏によると、モバイル向けのWebページは、レコメンドエンジン企業アウトブレイン(Outbrain)などが配信するプロモーションリンクなど、複数の収益源があるが、いまのところは「インスタント記事」でも同じ額を売り上げているという。
その多くは、Facebookの広告を販売するサービス「オーディエンスネットワーク」によるものだ。「リベラシオン」の「インスタント記事」の場合、現在は約350ワードごとに広告が表示される。CPMは1.80ドル(約200円)と高水準だ。とはいえ、今後もずっと、このまま推移することはないので、状況に応じて引き続き「インスタント記事」への配信数をモニタリングし、調整していくという。
日刊タブロイド紙の「ル・パリジャン(Le Parisien)」など、ほかの新聞社も「インスタント記事」のベータパートナーだが、このプラットフォームにすべての記事を配信したのは「リベラシオン」だけだ。コムスコアやフランスの市場調査会社メディアメトリー(Médiamétrie)などのアナリティクス企業は、「インスタント記事」の読者数をカウントしていないとグランジェ氏は指摘する。「オーディエンスを失うことになると、少し不安になった人もいたと思う」と、同氏は話した。
Lucinda Southern(原文 / 訳:ガリレオ)
Image: Libération via Facebook.