FB・Googleのサブスク支援ツール、現段階では賛否両論:媒体社による現状評価

GoogleとFacebookは、過去1年のあいだに、プラットフォーム上でのパブリッシャーのサブスクリプション販売を支援するツールを相次いで導入した。これに対するパブリッシャーの反応は、現段階では賛否両論だ。

この記事のために取材した複数のパブリッシャーは、両プラットフォームが積極的にコミュニケーションをとり、プロダクトにコミットしていることを賞賛する一方、ツールの導入は面倒で、得るものは少ないと不平を漏らす。

「担当者は真面目で、本気度が伝わってくる」と、両方のプラットフォームツールを利用しているという、ある関係者は語る。「だが、我が社のCEOに重要な進展があったと報告することはできない」。

多大な導入コスト

Facebookは以前、参加パブリッシャーは平均8週間でツールの導入を完了し、これにより読者は有料登録した媒体を、読み込みの速いFacebookインスタント記事のモバイルフォーマットで読めるようになるとしていた。

一方、Googleによれば、「Subscribe with Google」を導入したパブリッシャーの多くは、まだ完全な統合を済ませていない。遅れの原因のひとつは、パブリッシャーの開発やプロダクトの他の優先課題が競合しているためだ。しかし、プラットフォームのツール自体にも問題はある。米新聞社マククラッチー(McClatchy)は、今年春、30人体制の特別チームを編成し、30のサイトにSubscribe with Googleを導入する準備に、3カ月を費やした。「かなりの労力を必要とした」と、マククラッチーのオーディエンス開発コーポーレートディレクター、ダン・シャウブ氏はいう。彼はテスト結果とサブスクリプションの漸増に満足しているという。

両プラットフォームのツールをテストしたあるパブリッシャー担当者は、「Googleを貶すつもりはない。簡単なことではないのだから。だが、もしSubscribe with Googleを導入すれば、わたしの仕事は倍増するだろう」と話す。Googleは、これがエンド・トゥ・エンドのソリューションであるため、導入に時間がかかることは想定内だとしつつ、サードパーティツールに組み込むことも検討している。

パブリッシャーは以前から、Googleのツールの欠点として、同社のモバイルウェブフレームワークであるAMPが、多くのパブリッシャーのペイウォールシステムの根幹であるjavascriptに対応していないことを指摘していた。

見返りは控えめ

一部のパブリッシャーにとって、導入の見返りがわずかであるのに、このような多大なコストを背負い込むことは困難だろう。そもそも、ほとんどのパブリッシャーのサブスクリプション登録はデスクトップで行われる(パブリッシャーサイトのモバイル購入体験がしばしば平均以下であるのも一因だが)のに対し、FacebookとGoogleのプロダクトはモバイルデバイスに特化している。

Facebookのアルファテストでは、サブスクリプションは平均17%増加。ただし、Facebookでのサブスクリプションはそもそも少ないのだから、話半分に受け止めるべきだろう。

「パブリッシャーに話を聞くかぎり、インスタント記事もSubscribe with Googleも大した変化を生み出していない」と、ツール導入を検討中のあるパブリッシャー関係者はいう。「微増でしかないのだ」。

またFacebookは、ツールの有効性評価の際、対照群が誰だったのか、ユーザーデータをパブリッシャーに公開していない。あるパブリッシャーによれば、Facebookのレポートは、たいていパブリッシャーが実際に観測した結果よりも好成績だ。パブリッシャーが観測する結果とプラットフォームが発表する結果にズレがあるという批判を、Facebook側は否定している。

認めざるを得ないメリットも

この記事のために取材したパブリッシャーの多くは、GoogleとFacebookがプロダクトを改良し、エンゲージメントとリテンションを改善したことに感銘を受けていた。

たとえばGoogleは、「News Consumer Insights」ツールで匿名のユーザーデータを提供するようになった。これはオーディエンスのサブスクリプション加入見込を測定するもので、今年3月の導入以降、数千社のパブリッシャーが利用したという。「彼らがこうして懐を開いたことには大きな意味がある」と、ある関係者はいう。

一方のFacebookは、初期のテスト段階で、パブリッシャーの有料購読者の40%近くがそのパブリッシャーのFacebookページをフォローしていないことを認識し、その後サブスクリプション購入フローにアカウントリンクを追加し、同パブリッシャーのその他のコンテンツを提示するように改良した。また、登録ボタンをFacebookの公式アカウントページに設置して、限定セールやその他のプロモーションの際に利用できるようにした。

インスタント記事にペイウォールを設けるのは、このコンテンツには金を払う価値があると認めるメッセージに他ならない。これは、ニュースフィードに流れるパブリッシャーコンテンツを削減したFacebookによる、埋め合わせとも考えられる。

「我々は彼らのアルゴリズム変更から利益を得るはずだ」と、両方のツールを利用しているあるパブリッシャー関係者はいう。「Facebookが行うフェイクニュースやギャンブルへの包括的対策が、ユーザーを信頼できるニュースソースに誘導することに発展したとしても、意外なことではない」。Facebookはこのようなオプションを検討中だが、現段階でテストの予定はない。

Facebookによれば、プラットフォーム固有のコードの入力が必要なパブリッシャーページの数を減らすことで、導入に必要な期間は2週間以内にまで短縮された。11月には、ペイウォールを提供するピアノ(Piano)と提携し、より幅広いパブリッシャーに向けてFacebookサブスクリプションツールの提供を開始する予定だ。Googleは、3月にローンチしたツールがさまざまなパブリッシャーに利用可能になったことを示すケーススタディを準備中だ。

ただし、いずれのプロダクトについても、すべてのサブスクリプション制パブリッシャーが利用可能になる時期がいつになるかは不明だ。

「(サブスクリプション販売支援に関しては)FacebookもGoogleも素晴らしいパートナーだ」と、パブリッシャー業界団体のローカルメディアコンソーシアム(Local Media Consortium)でプレジデントを務める、フラン・ウィリス氏はいう。同団体はFacebook、Googleと頻繁にパートナーシップを結んでいる。「どんなテクノロジーでも、最初はシンプルな概念やシンプルなモデルからスタートする。機能を果たせるようにしてから、カスタマイズや種々のニーズに応じた調整をするべきだ」と、同氏は語った。

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Max Willens (原文 / 訳:ガリレオ)