EU「著作権法改正」、ネット文化の終わりのはじまりか?:知っておくべきことまとめ

欧州議会は9月12日、著作権法を改正し、オンラインでのコンテンツ配信に対して、パブリッシャーや音楽家、映像作家により多くの法的権利を与えることを可決した。

この可決に先立っては、2年以上にわたって、言論の自由を主張する活動家やウェブの先駆者、アーティスト、パブリッシャーらがロビー活動を盛んに行ってきた。議員たちの受信トレイには大量の迷惑メールが送りつけられ、なかには殺害の脅迫まで受けた議員もいた。今後の予定としては、欧州議会に欧州委員会と欧州連合理事会を交えた三者による最終交渉が行われることになっている。

以下、EU「著作権法改正」について知っておくべきことを簡単にまとめておく。

何が変わるのか?

もっとも物議をかもしているのが第11条および13条の改正だ。その狙いは、メディア制作者にオフラインと同等の著作権保護をオンラインでも与えることだ。これによりテック企業は、自社のプラットフォームで発生する著作権侵害に対して、より大きな責任を負わされることになり、多額の罰金を支払わされることになるかもしれない。またパブリッシャーも、自社コンテンツのスニペットの表示に対して、プラットフォームに料金を請求する権利を取得する。

この改正案のもとでは、アグリゲーターやプラットフォームがパブリッシャーのコンテンツを表示するのに、著作権ライセンスは必ずしも必要ではなく、必要なのはレベニューシェアなどのパブリッシャーとの何らかの契約だけだ、と欧州出版社評議会でエグゼクティブディレクターを務めるアンジェラ・ミルズ・ウェイド氏は述べている。

賛成派

GoogleやFacebookなどのプラットフォームでコンテンツを配信している一部のパブリッシャーは、彼らから支払いを受け、コンテンツ費用をまかなえるようになることに期待を寄せている。現在までに、ヨーロッパの出版業界団体4つ、欧州雑誌メディア協会(European Magazine Media Association)と欧州新聞出版社協会(European Newspaper Publishers’ Association)、欧州出版社評議会(European Publishers Council)、ニュース・メディア・ヨーロッパ(News Media Europe)が、この指令に対する支持を表明している。

また、映像作家165人も先ごろ、この改正案を通過させ、彼らにより多くの権利を与えて、Netflix(ネットフリックス)やAmazonなどのストリーミングサービスによるコンテンツ配信の方法や、同サービスが支払う著作権料を彼らが管理できるようにしてほしいと、欧州議会に強く要求した。

反対派

反対派のなかには、言論の自由を主張する活動家たちがいる。彼らは、ドイツで可決された、プラットフォームに一定期間内のヘイトスピーチの削除を義務づける法律に対する懸念を引き合いに出し、プラットフォームは多額の罰金を避けるために、過剰な検閲を行うようになると主張している。ティム・バーナーズ=リー氏やWikipedia創設者のジミー・ウェールズ氏をはじめとするテック界の重鎮も反対を表明しており、インターネットを使った情報の自由な共有が阻害される、テックプラットフォームはフィルターを追加し、契約書を作成してこの改正案に従わなければならなくなると述べている。

この改正案によりサービス停止に追い込まれると主張するWikipediaは、抗議の意味を込めて一部の国でサイトを閉鎖した。モジラ(Mozilla)の広報担当者は、この改正案はオンラインサービスに「無差別のアップロードフィルター」の実装を強要するものであり、これが意味するのは、ミームやマッシュアップ、GIFをはじめとするインターネット文化の終わりかもしれないと述べている。

すべてのパブリッシャーがこの改正案を支持しているわけではない。ほかのパブリッシャーからリンクを集めて事業を運営しているニュースナウ(NewsNow)は今年、嘆願書に100社以上のパブリッシャーから署名を集めた。同社は以来、この改正案に対する反対運動を継続して行っている。ニュースナウの最高執行責任者(COO)であるグレッグ・ウィザム氏は、この指令はオープンウェブの基礎に楯突くものであり、プラットフォームが料金を支払ってコンテンツを配信しなくなれば、小規模なパブリッシャーは打撃を受けることになると述べている。ニュースナウは、この指令が同社の事業にどのような影響を与えることになるかについてはコメントを避けた。

「国家間で法的対応にばらつきが出てくることは目に見えている。少なくとも関係者全員にとっては、管理上の大きな頭痛の種になるだろう」と、ウィザム氏は語る。「消費者と大半のパブリッシャーにとっては非常にまずい事態だ。メディアの複数共存が損なわれ、少数の巨大メディア企業がより大きな権力を握ることになる」。

国際法律事務所オズボーン・クラーク(Osborne Clarke)のパートナーであるロバート・ガスリー氏も指摘しているように、この指令の最終案がどうなるのかはまだはっきりしていないが、非営利の一般的なインターネットユーザーが影響を受けることはなさそうだ。「私の見解では、個人ユーザーの場合、シェアする際にコンテンツの一部を複製しなければ、そのコンテンツにリンクしても問題はないはずだ」と、同氏は述べている。

Lucinda Southern (原文 / 訳:ガリレオ)