Business Insider(ビジネスインサイダー)の親会社であるインサイダー社(Insider Inc.)は、彼らのイベント由来のコンテンツを、参加者以外も楽しめるようにしている。ここ6カ月のあいだに同社は、旧来の「カンファレンス重視」のイベント戦略を取りやめ、より迅速かつ回転の早い戦略へと切り替えた。
インサイダー社(Insider Inc.)は、彼らのイベント由来のコンテンツを、参加者以外も楽しめるようにしている。
ここ6カ月のあいだに、Business Insider(ビジネスインサイダー)の親会社は、旧来の「カンファレンス重視」のイベント戦略を取りやめ、より迅速かつ回転の早い戦略へと切り替えた。新しい戦略のもとで同社のイベントは、教育的な側面を持ち、終了後はオンデマンドコンテンツとして活用できるように設計されている。また、広告主を中心に据えたイベントと、よりニューススタイルに特化し、エディトリアルを中心に据えたイベントのあいだのバランスをとっているようだ。
インサイダー社は具体的な差額は述べなかったが、同社のバーチャルイベントのスポンサーは、対面形式の物理的なイベントのスポンサーになるよりも、低コストだ。2020年にはイベント企画の数がはるかに増加したこともあり、2019年と比べて2020年のBusiness Insiderのイベント収益は8倍となった。今年に入ってすでに彼らは15のイベントを開催しており、また年末までに、まだほかのイベントが計画されている。2019年のイベントの数は3回だった。
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物理的なイベントよりもバーチャルイベントは、プランニングも開催も時間がかからないことが、その一因となっている。しかし、いくつかのイベントは、参加型のイベントとしてだけでなく、イベント後もオンデマンドコンテンツとして使えるものとして活用する、複数構成のパッケージとして販売したことも、イベント収益に貢献しているようだ。
Business Insiderはまだ、2021年のイベントスケジュールを埋め始めてはいないが、ライブイベントをいつまでも使えるコンテンツとして活用する戦略は、「今後さらに探求を続けたいと思っているものだ」と、イベント部門のエグゼクティブディレクターを務めるクリスティン・ムーニー氏は言う。
いくつかの方法でマネタイズ
その他、多くのメディア企業同様、今春Business Insiderはイベント戦略を素早く変更する必要があった。その最初がSXSWでのスピーカーシリーズだった。3月末までには、ビジネスインサイダー・スポットライト(Business Insider Spotlight)という新しいエディトリアルシリーズを発表した。ここでは、それぞれの業界における大きな変化について、著名なエグゼクティブたちにレポーターたちがインタビューを行った。バーガーキング(Burger King)の最高マーケティング責任者であるフェルナンド・マチャド氏やウォーバーグ・リアルティ(Warburg Realty)のプレジデントであるクレリア・ウォーバーグ氏がゲストとして参加している。
Business Insiderのバーチャルイベントは、eメール登録のみで無料参加できるが、いくつかの方法でマネタイズができるようになっている。インサイダー・スポットライトのスポンサーたちは獲得したeメールアドレス、Business Insider上でのイベント内容まとめ記事、オンサイトのメディア、またソーシャル上のプロモーションやeメールでのプロモーションを活用できる。
スポットライトのイベントを補完するのがカスタムのイベントだ。これらは単独のプロダクトもしくは記事からカスタム動画までを含む、より大きなエディトリアルのパッケージの一部として売られる。
カスタムイベントなどにも期待
Business Insiderは、これまでカスタムイベントを行ったことはなかったが、今ではバーチャルイベントの半分は、スポンサーが主催となっている。単独イベントとして行われるものもあれば、フィデリティ・インベストメンツ(Fidelity Investments)がスポンサーとなったマスター・ユア・マネー(Master Your Money)のような大規模なエディトリアルパッケージの一部として行われるものもあると、ムーニー氏は言う。
ニュース的なイベントと比べると、より教育的なコンテンツの方が消費期限は長いように思われる。マスター・ユア・マネー・シリーズの第1弾の動画は、イベントが最初にストリーミング配信された後に3倍の再生回数を獲得した。
多くのパブリッシャーたちはバーチャルイベントのスポンサーシップが対人参加型のイベントと比べて収益が小額になることに苦戦している。しかしイベント由来の動画の消費期限を延長させ、適切にプロモーションする方法を見つけた会社はスポンサー獲得に成功している。
「それでもバーチャルで行える」
「企業スポンサーシップは通常はフェイス・トゥ・フェイス、フェイス・トゥ・ブランド、フェイス・トゥ・プロダクトの体験となる」と、コンサルタント企業バウワー・アンド・カンパニー(Bower & Co.)の収益ストラテジストであるゲイル・S・バウワー氏は言う。
「しかし、それでもバーチャルで行うことはできる。資金の投入があり、そこにトラフィックを牽引するべきだ」と、彼女は加えた。
MAX WILLENS(翻訳:塚本 紺、編集:長田真)