去る4月、コムストア(comScore)の集計によると、イジー・レラー氏が2014年に創設した「ザ・ドードー」は、わずか2年で米国において月間500万のユニークビューワーを獲得した。Googleアナリティクスによると、同社はグローバルのオーディエンスを含めると、1200万のユニークビューワーが存在すると見積もっているという。
この急拡大を牽引したのは、「20年前に命の恩人となった女性をチンパンジーが抱擁する」といった、ハートウォーミングなストーリーのおかげだ。しかし、さらに大きな成長の要因は、プラットフォームの外に置かれた動画にあるという。
「ザ・ドードー(The Dodo)」、新たなバイラルの神童に。
去る4月、コムストア(comScore)の集計によると、イジー・レラー氏が2014年に創設した「ザ・ドードー」は、わずか2年で米国において月間500万のユニークビューワーを獲得した。Googleアナリティクスによると、同社はグローバルのオーディエンスを含めると、1200万のユニークビューワーが存在すると見積もっているという。
この急拡大を牽引したのは、「20年前に命の恩人となった女性をチンパンジーが抱擁する」といった、ハートウォーミングなストーリーのおかげだ。しかし、さらに大きな成長の要因は、プラットフォームの外に置かれた動画にあるという。
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動物の心温まる動画に注力
多くのパブリッシャーと同様に、「ザ・ドードー」はサイト訪問者の注目を集め、広告費を獲得できる動画に重点を置いている。最近では、各プラットフォーム全体で月間5億回の動画再生数を達成し、半年前の1億回から大幅に拡大した。今日、同サイトにおける心温まる動物コンテンツの半分は動画形式を取っており、今後、その比率を70%に上げていく計画がある。
いま現在、同サイトは収益をあげることに焦点を当てていない。投資家として、父・ケン・レラー氏(「ハフィントンポスト」の共同創設者であり、BuzzFeed会長)をバックに擁するため、イジー氏はまだその必要にかられていないのだ。
しかし、来るその日のためにレラー氏は、「動物に優しい」というイメージを築きたい広告主を魅了する動画の作成や、現在同社の5億回の動画再生数のうち90%を占めるFacebookに強いサイトにする方法を考えている。彼女と、2015年7月に社長として迎えられた、NBAでグローバルデジタルメディアのディレクターを務めていたユージュン・キム氏は、動画への同サイトのアプローチについて、最近議論したという。
ソーシャルごとに担当を任命
動物を呼び物にするコンテンツは、ソーシャルメディアフレンドリーであることを「ザ・ドードー」は最初から認識していた。そのため、同社は、25名の編集チーム(動画を含める)と同じ条件のもと、7名のソーシャルチームを配置している。しかも、各プラットフォームは性質を異にしているため、それぞれに対して、マネジャーを任命しているという。
なかでも「ザ・ドードー」は、Facebookに精通しており、そこでの平均動画再生数は200万回に上る。しかし、Facebookのライブ動画、インスタグラム、Snapchat(スナップチャット)は、すべて独自のやり方を求められるのだ。
Facebookでは35秒の動画が流せるが、インスタグラムでの理想は10から15秒。その短さゆえに、テキストを挿入する際には、細心の注意を払っている。Snapchatはより遊び心溢れる性質があるので、軽めの内容を投稿するようにこだわっているという。
データ至上主義で作成
「ザ・ドードー」も、Facebookのライブ動画を作成するにあたって、Facebookから資金を提供されているパブリッシャーのひとつだ。それにより、同サイトにはテストしながら学んでいく十分な機会が与えられている。
そして、10分が理想的な長さであり、放映時間帯はあまり重要ではないことが、そこからわかった。というのも、ニュースのライブ動画は予約閲覧されるが、気楽な内容であれば、人はいつでも見返すからだ。
「ザ・ドードー」のコンテンツは、感情から訴えているように見えるかもしれない。だが、実はデータに立脚したものだ。同社が動画に本格的に乗り出した際、最初の6週間は、いくつかの変数を調べることに費やされた。たとえば、オープニングシーンはどのくらいの長さにするべきか、動画に対してどの程度テキストを挿入するべきかなどだ。
「その違いは、何百万という再生回数に影響するだろう」と、キム氏は話す。たとえば、動物を紹介する場合、多くのテキストがそのストーリーの理解度を高めるということがわかった。
エンゲージメントを最大化
これら学んできたことの多くは、現在も有効だが、「ザ・ドードー」はそうした手法を使いすぎないように注意している。「私たちは、ただひとつのタイプに特化しないように注意している。なぜならそれは、オーディエンスの飽きにつながるからだ」と、レラー氏は述べる。
かわいい動物の動画を1日中全面に押し出せば「ザ・ドードー」は、クリック数を稼ぐことが可能だろう。しかし、クリックではなく、エンゲージメントを最大化させることで、オーディエンスの飽きを回避できると、レラー氏は信じている。
そのため同チームは、心の琴線に触れる投稿を求めているという。救済をテーマにしたストーリーは好評で、こちらの5月に投稿された、動物に優しい6パックリング(缶飲料を束ねるプラスチックバンド)に関する記事は、1500万回の動画再生を記録した。分析サービスのシェアラブレ(Shareablee)による4月の検証解析では、1250万のアクション(いいね、シェア等)を獲得した同サイトは、BuzzFeedを越し、パブリッシャー中7位にランク付けされた。
プラットフォームを過信しない
もちろん、これまでの事例で、プラットフォームは移ろいやすいものであることがわかっている。いずれのパブリッシャーもFacebookの方程式によって恩恵を受け続けられるという保証はない。
いまのところ、「ザ・ドードー」はエンゲージメントに値する動画を生み出す、その才覚に頼っている。「これまでのところ、我々は、そのアルゴリズムの正しい側に立ってきた。我々にとって意義がある限り、その波に乗り続ける」と、キム氏は語った。
Lucia Moses(原文 / 訳:Conyac)
Image courtesy of The Dodo.