テレビCM で収益を伸ばす、ネット直販ブランドたち

Facebookや従来のメディアを避けて、マーケティングの多角化を狙うD2C(direct-to-consumer:ネット直販)企業にとって、テレビは新たなチャンスの場だ。ここ数年、テレビCMを行っているD2C企業のなかには、ウェブサイトのトラフィックや売り上げによって投資の回収に成功している企業もある。

テレビCMで収益増加

ハローフレッシュ(HelloFresh)は、創業7年の食事配達サービスだ。同社は2015年以降、アメリカ国内のテレビで複数のCMを放映しており、同社のアメリカメディア戦略部で成長およびアナリティクスディレクターを務めるデビッド・ウェブ氏は、同社がテレビCMへの投資に対して十分な見返りが得られていると語る。ウェブ氏によると、ハローフレッシュのテレビ広告によって、同社のウェブサイトやアプリケーションの閲覧者が、前年比で88%増加しているという。

ウェブ氏はほかの数値については明かさなかったが、5月23日にアメリカの動画広告協議会(Video Advertising Bureau:以下VAB)が行った調査によると、ネット直販企業50社がハローフレッシュのテレビ広告と収益のあいだに関連性があると考えている。同調査によると、2016年にハローフレッシュはテレビCMに約2600万ドル(約28億円)の投資を行っており、収益は6億6300万ドル(約730億円)を超えたという。さらに同調査には、2017年には同社がテレビ広告に3600億円(約40億円)近くを投資し、収益は52%増加して10億ドル(約1100億円)を上回ったことが記載されている。

ハローフレッシュは一例に過ぎない。同調査には、ほかにもペロトン(Peloton)やチューイ(Chewy)、カーバーナ(Carvana)、アンセストリー(Ancestry)、ポッシュマーク(Poshmark)、スティッチフィックス(Stitch Fix)といったD2C企業もテレビへの投資を増やすことで収益が急増させたことが記されている。また各企業はテレビ広告への投資額を増やすことが成功につながると考えているようだ。報告書によると、ネット直販企業は2017年におよそ13億ドル(約1400億円)をテレビCMに投じている。2016年は6億500万ドル(約669億円)であり、前年比で98%の増加だ。

テレビはむしろ安価

高額なテレビCMが障害となって参加できないネット直販企業もある。たしかにテレビCMの制作コストは高く、時間もかかる。さらに昔から業界に詳しいエージェンシーの力が必要な場合もある。

だが、テレビCMにここ数年参入しているネット直販企業や、場合によっては参入したばかりのネット直販企業も、実際にはテレビCMで優れたコストパフォーマンスを維持しているのだ。ウェブ氏はこれについて、1対多数のテレビのようなメディアと比較すると、むしろ1対1のメディアであるデジタルのほうが個々のオーディエンスに向けた購入要素が大きくなり、CPMを圧迫しやすいと分析する。

ウェブ氏は「テレビがどのように経済効果をおよぼすのか、そしてテレビへの投資効果をどのように測定すべきか分かっていない人が多い」と指摘する。同氏は「テレビはデジタルよりむしろ安価で、より大きな効果をもたらすことができる。最初の試験段階をクリアするのが難しいだけだ。だが、そこでもCPMを基準に考えれば、デジタルと同程度に収まる場合もある。デジタルで強く絞り込んだオーディエンスに向けて広告を出している場合は、特にそうだろう」と、分析する。

効果測定も容易に

トップハッター(Tophatter)は、90秒オークションでショッピングをするためのモバイルアプリを提供している。同社もテレビCMは投資に見合う効果が上げられると指摘する。同社のマーケティング部長を務めるマルコム・スコビル氏によると、新しい広告チャネルに投資する場合は6~9カ月以内の回収を目標としているが、テレビはこの目標を達成しているという。同氏からは目標達成について詳細な情報は得られなかったが、VABの報告書にはトップハッターが2017年にテレビ広告への投資を増やしたこと、同社のウェブサイトの閲覧数、検索クエリやソーシャルメディア上での話題性も向上したことが記載されている。

これまでテレビCMへの投資に二の足を踏む企業が多かったもうひとつの理由に、オンライン広告とくらべて広告効果を測定しにくかったことがあげられる。だがネット直販を行う各社は、以前と比べてテレビCMは広告投資の売り上げに対する影響を知りやすくなり、マーケターにとっても魅力的なものへと変わったと指摘する。コンバージョン・ロジック(Conversion Logic)やTVスクエアード(TVSquared)といった測定ベンダーがパソコンやモバイルデバイスのデータを追跡することで、テレビを見ているカスタマーがスマートフォンやタブレットを触っているかどうかを測定できるようになっている。

スコビル氏もまた、「テレビでもデジタルと同様にカスタマーがどこから来たのか、アナリティクスやアトリビューションが把握できるようになりつつある」と語った。

Ilyse Liffreing(原文 / 訳:SI Japan)