少なくとも、パブリッシャー1社のデジタルビジネスは上向きに転じており、その主要因はサブスクリプションと回復しつつある広告市場への期待感にあるようだ。情報源は、ガネット(Gannett)が8月上旬に発表した最新の四半期報告だ。
同社の報告によれば、営業総収入こそ理想を下回り、前年比10.2%減の6億7240万ドル(約970億円)だったが、デジタル事業の収入は前年比0.8%増の2億6210万ドル(約377億円)と、わずかな伸びを記録した。
ただ、吉兆にもかかわらず同社は2023年度の総収入予想を、第1四半期の報告中に発表した前年比3~5%減の27億5000万ドル~28億ドル(約3960億円~約4030億円)から変えていない。とはいえ、いくつかの予想については上方修正しており、EBITDAを2億8500万ドル~3億500万ドル(約410億円~約440億円)という数字から、2億9000万ドル~3億1000万ドル(約420億円~約450億円)に、フリーキャッシュフローを8500万ドル~1億500万ドル(約120億円~約150億円)という数字から、9000万ドル~1億1000万ドル(約130億円~約160億円)にそれぞれ微増した。
具体的な数字
- ガネットの2023年第2四半期における営業総収入は6億7240万ドル(約970億円)と、前年比10.2%減だった。そのうち39%(2億6210万ドル[約377億円])を占めたのがデジタル事業の収入であり、それには広告、デジタルオンリーのサブスクリプション、デジタルシンジケーション、アフィリエイトの各収入が含まれる。
- サブスクリプション収入は第2四半期、前年比17.3%増の3790万ドル(約55億円)、デジタルオンリーのサブスクリプション総数は195万だった(前年比4.6%増)。2023年第1四半期に比べると、サブスクリプション総数は202万から3.5%のマイナスだった一方、同事業の収入は前四半期比で5.9%増加した。
- 第2四半期のデジタル広告およびマーケティングサービス総収入は204万ドル(約2億9000万円)で、前年比11.4%減だった。
- ガネットのデジタルマーケティングソリューションズ(Digital Marketing Solutions)事業は前年比4.4%増、前四半期比9%増の1億2160万ドル(約175億円)だった。
デジタル広告は依然2桁の減収率
2023年度第2四半期におけるガネットのデジタル広告およびマーケティングサービス総収入は2億400万ドル(約290億円)と、同四半期の同社総収入の30%をやや上回る程度だった。これは前年比11.4%のマイナスであると、同社のダグ・ホーンCFOは収支報告中に語ったが、収入源に関していえば、「我々にとって最悪の時は過ぎた」と、同氏は強気の姿勢を見せた。
理由の一端は、第3および第4四半期は2022年後期に比べて、ホーン氏いわく、好ましい前年比が期待できることにあるという。「2022年度後半はデジタル広告にとってまさに激動の時期だった」と同氏は話し、「2023年度後期は、前年比において有意な改善が見られると期待している」と付け加えている。
楽観視しているのはメディアバイヤー勢も同じであり、2023年度後期に向けて、デジタル広告支出に同様の変化の兆しを感じていると思われる。
「保守的傾向のブランド勢が景気後退の話に終始せず、より積極的な姿勢を見せはじめている」と、メディアエージェンシーであるメディアトゥインタラクティブ(Media Two Interactive)のCEO、セツ・ハーグレイヴ氏は話す。「例年、第4四半期は支出が伸びるが、2023年は第3四半期にもその勢いが前倒しで現れると思われ、両期の予想は実際、ほぼ同等だ」。
少なくとも、パブリッシャー1社のデジタルビジネスは上向きに転じており、その主要因はサブスクリプションと回復しつつある広告市場への期待感にあるようだ。情報源は、ガネット(Gannett)が8月上旬に発表した最新の四半期報告だ。
同社の報告によれば、営業総収入こそ理想を下回り、前年比10.2%減の6億7240万ドル(約970億円)だったが、デジタル事業の収入は前年比0.8%増の2億6210万ドル(約377億円)と、わずかな伸びを記録した。
ただ、吉兆にもかかわらず同社は2023年度の総収入予想を、第1四半期の報告中に発表した前年比3~5%減の27億5000万ドル~28億ドル(約3960億円~約4030億円)から変えていない。とはいえ、いくつかの予想については上方修正しており、EBITDAを2億8500万ドル~3億500万ドル(約410億円~約440億円)という数字から、2億9000万ドル~3億1000万ドル(約420億円~約450億円)に、フリーキャッシュフローを8500万ドル~1億500万ドル(約120億円~約150億円)という数字から、9000万ドル~1億1000万ドル(約130億円~約160億円)にそれぞれ微増した。
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具体的な数字
- ガネットの2023年第2四半期における営業総収入は6億7240万ドル(約970億円)と、前年比10.2%減だった。そのうち39%(2億6210万ドル[約377億円])を占めたのがデジタル事業の収入であり、それには広告、デジタルオンリーのサブスクリプション、デジタルシンジケーション、アフィリエイトの各収入が含まれる。
- サブスクリプション収入は第2四半期、前年比17.3%増の3790万ドル(約55億円)、デジタルオンリーのサブスクリプション総数は195万だった(前年比4.6%増)。2023年第1四半期に比べると、サブスクリプション総数は202万から3.5%のマイナスだった一方、同事業の収入は前四半期比で5.9%増加した。
- 第2四半期のデジタル広告およびマーケティングサービス総収入は204万ドル(約2億9000万円)で、前年比11.4%減だった。
- ガネットのデジタルマーケティングソリューションズ(Digital Marketing Solutions)事業は前年比4.4%増、前四半期比9%増の1億2160万ドル(約175億円)だった。
デジタル広告は依然2桁の減収率
2023年度第2四半期におけるガネットのデジタル広告およびマーケティングサービス総収入は2億400万ドル(約290億円)と、同四半期の同社総収入の30%をやや上回る程度だった。これは前年比11.4%のマイナスであると、同社のダグ・ホーンCFOは収支報告中に語ったが、収入源に関していえば、「我々にとって最悪の時は過ぎた」と、同氏は強気の姿勢を見せた。
理由の一端は、第3および第4四半期は2022年後期に比べて、ホーン氏いわく、好ましい前年比が期待できることにあるという。「2022年度後半はデジタル広告にとってまさに激動の時期だった」と同氏は話し、「2023年度後期は、前年比において有意な改善が見られると期待している」と付け加えている。
楽観視しているのはメディアバイヤー勢も同じであり、2023年度後期に向けて、デジタル広告支出に同様の変化の兆しを感じていると思われる。
「保守的傾向のブランド勢が景気後退の話に終始せず、より積極的な姿勢を見せはじめている」と、メディアエージェンシーであるメディアトゥインタラクティブ(Media Two Interactive)のCEO、セツ・ハーグレイヴ氏は話す。「例年、第4四半期は支出が伸びるが、2023年は第3四半期にもその勢いが前倒しで現れると思われ、両期の予想は実際、ほぼ同等だ」。
サブスクリプション収入は増加
過去数回の四半期報告を通じて、デジタルオンリーのサブスクライバーの成長率は頭打ちであると、ガネットは報告していた。そしてこのたび、2023年第2四半期をもって、この停滞が減少に転じたことを認め、同社のデジタルオンリーサブスクライバーベースが2022年第3四半期以降初めて、200万人の基準を下回ったと発表した。
ガネットのマイク・リードCEO、ホーンCFOの両者ともに、2025年までにデジタルオンリーのサブスクライバー600万人達成という、以前に発表した目標については触れなかったが、その大台に向かうコースから同社がすでに外れていると考えるのは、合理的と言える。
ところが、リードCEOは「第2四半期、サブスクリプション事業の分野は好調だった」と話した。事実、デジタルオンリーのサブスクリプション事業の総収入は3790万ドル(約55億円)と、前年比17.3%、前四半期比5.9%の成長を記録している。
デジタルオンリーのサブスクライバーの総数が減ったにもかかわらず、収入自体は増えた事実は、奇妙に思われるかもしれないが、リードCEOが収支報告で語ったところによれば、同社はユーザー1人あたりの平均売上額(ARPU)の増加を優先し、同事業全体の収益性改善に取り組んでいるという。ただし、APRU増のために具体的に何をしたのかまでは、収支報告中に語られなかった。
「ボリュームではなく収入にフォーカスするパブリッシャーが増えている。つまり、サブスクライバーを100万人得ようとするのではなく、100万ドル(約1億4400万円)相当の収益を目指すということだ」と、ペイウォールプラットフォームを展開するピアノ(Piano)のストラテジー部門SVP、マイケル・シルバーマン氏は米DIGIDAYとの会話において指摘した。
組合における緊張感の高まり
デジタルオンリーのサブスクリプション事業に再び成長の兆しが見えるなか、ガネットの労働組合ガネットユニオン(Gannett Union)に属する記者らは、読者にサブスクライブ(定期購読)を促す原動力とも言えるコンテンツ制作に対し、「見合う報酬が支払われていない」と現状への不満を口にしている。
ガネットの従業員1000人以上を代表する組織ニュースギルドCWA(The NewsGuild-CWA)による共同声明のなかで、一部のジャーナリストは今回の収支報告に基づく各々の意見を表明し、同組織内のジャーナリストはリード、ホーンの両氏が収支報告中に自負した点を含め、この好転の利益を享受すべきであるとの考えを全面的に支持した。
「長年にわたり、ガネットを支えるジャーナリストと編集スタッフは低賃金および人員削減を甘んじて受け入れることを強いられている。いまこそ社の利益を共有し、ガネットの全従業員が各々の勤労に相応しい報酬を得られるようにするべきだ」と、ザ・デザートサン(The Desert Sun)紙の刑事司法専門の記者クリス・ダミエン氏は、同声明文のなかで断言した。
Kayleigh Barber(翻訳:SI Japan、編集:島田涼平)