短編動画への注目が高まる昨今、パブリッシャーは動画広告を大きな成長が期待できる収益源とみなしている。DIGIDAYリサーチが112人のパブリッシャー関係者を対象におこなった最新調査でも、この事実が裏付けられた。同調査によれば、パブリッシャー関係者の約4分の3(74%)が、動画広告から売上を得ていると回答した。
短編動画への注目が高まる昨今、パブリッシャーは動画広告を大きな成長が期待できる収益源とみなしている。DIGIDAYリサーチが112人のパブリッシャー関係者を対象におこなった最新調査でも、この事実が裏付けられた。
同調査によれば、パブリッシャー関係者の約4分の3(74%)が、動画広告から売上を得ていると回答した。現時点で動画広告が全体売上に占める割合については「小さい」、または「非常に小さい」とする回答がもっとも多かった(33%)ものの、この割合は過去2年間で徐々に低下しつつある。2021年第1四半期には39%だったのが、最新の2023年第1四半期では全体の3分の1にまで減っているのだ。
一方、パブリッシャー関係者のおよそ4人に1人(26%)は、動画広告からまったく売上を得ていないと回答した。この割合は過去2年間にわたり変動を示してきたが、2023年第1四半期の現時点では、2021年第1四半期の15%を大幅に上回っている。言い換えれば、現時点で動画広告から多少なりとも売上を得ているパブリッシャーは全体の74%であり、2年前の85%と比べてかなり減っている。
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また、これまでパブリッシャーは一貫して、動画広告事業は自社にとって極めて重要であると語ってきた。2021年第1四半期以降、米DIGIDAYがパブリッシャー関係者を対象に行ってきた調査では毎回、今後6カ月の動画広告事業の成長の優先度は「高い」、あるいは「非常に高い」という回答の割合が最大となっており、2021年第1四半期には42%を占めた。最新の2023年第1四半期では、この割合は39%となった。
反面、動画広告事業の成長の優先度は「低い」、あるいは「非常に低い」と回答したパブリッシャー関係者の割合は、今回の調査で大幅に増加した。2023年第1四半期には、2%が動画広告事業の優先度は「低い」、あるいは「非常に低い」と回答したが、この割合は6カ月前には21%、2年前には26%だった。
極めて興味深いのは、動画広告から何らかの売上を得ていると回答したパブリッシャーの割合と、今後6カ月の動画広告事業の成長を程度の差こそあれ、優先課題と考えているパブリッシャーの割合に差が見られたことだ。2023年第1四半期の時点で、パブリッシャー関係者の74%は動画広告から多少なりとも売上を得ていると回答している。一方、今後6カ月の動画広告事業の成長を少なくとも課題のひとつにあげるパブリッシャーは81%に上った。
2つのデータの差から、パブリッシャーは動画広告を収益面で2023年の成長分野と見ていることが示唆される。
DIGIDAYの調査からは、動画広告のポテンシャルを最も実感しているのは小規模パブリッシャーであることがわかる。
現時点では、小規模パブリッシャー(昨年の総売上が1000万ドル[約13億円]未満のパブリッシャー)の約半分は、動画広告からまったく売上を得ていない。小規模パブリッシャー関係者の47%は動画広告からまったく売上を得ていないと回答し、このグループが全体に占める割合において最大となった。これに続き、動画広告が売上に占める割合は「非常に小さい」とするグループが全体の17%を占めた。
しかしながら、動画広告に収益源としてのポテンシャルを見出している小規模パブリッシャーに注目すると印象は大きく変わる。調査では、今後6カ月の優先課題として動画広告をまったく考慮しないとした小規模パブリッシャー関係者の割合は、わずか28%だった。一方、回答者の22%は動画広告の優先度を「中程度」と答え、19%は優先度が「高い」と答えた。
つまり、現時点で動画広告から多少なりとも収入を得ている小規模パブリッシャーの割合は過半数をわずかに超える程度(53%)ながら、全体の約4分の3(72%)が動画広告を少なくとも今後の優先課題のひとつと考えているのだ。これは、彼らがポテンシャルを十分に認識している証拠だろう。
興味深いことに、大規模パブリッシャーに目を移すと動画広告のポテンシャルはすでにピークに達したことが示唆される。一方で、パブリッシャー自身は動画広告事業にさらに成長の余地があると考えていることがわかる。
調査では、大規模パブリッシャー(昨年の総売上が5000万ドル[約65億円]を上回ったパブリッシャー)のほぼすべてが、すでに動画広告から売上を得ていた。大規模パブリッシャー関係者のうち、動画広告から一切売上を得ていないとした回答者の割合は、わずか5%。
すなわち、95%が多少なりとも動画広告から売上を得ているのだ。大規模パブリッシャーのあいだでは、動画広告が全体売上に占める割合は「中程度」とする回答がもっとも多く(24%)、次いで動画広告が占める割合は「小さい」、または「非常に小さい」とする回答が、それぞれ大規模パブリッシャーの回答全体の20%を占めた。
一方、動画広告事業を今後6カ月の優先課題としないと答えた大規模パブリッシャーの割合は、わずか7%にすぎなかった。つまり、大規模パブリッシャーの93%は、程度の差こそあれ動画広告を優先課題とみなしていた。ここで特筆すべきは、動画広告を優先課題とみなす大規模パブリッシャーの割合(93%)が、動画広告から売上を得ている大規模パブリッシャーの割合(95%)よりも小さかったことだ。この差は、大規模パブリッシャーにとっての動画広告のポテンシャルがすでにピークを超えていることを意味するのかもしれない。
しかしながらそれ以上に興味深いのは、大規模パブリッシャーの今後6カ月の課題として、動画広告の優先度は「非常に高い」とする回答が最も大きな割合を占めた点だ。大規模パブリッシャー関係者の3分の1以上(34%)が、動画広告は「非常に優先度の高い」課題だと答えた。これに続き、動画広告の優先度は「中程度」とする回答が27%、優先度は「高い」とする回答が22%を占めた。
結論として、パブリッシャーは規模を問わず、動画広告をビジネスの成長分野とみなしているといえるだろう。
[原文:Digiday+ Research: Video ads are a growing business for publishers large and small]
Julia Tabisz(翻訳:的場知之/ガリレオ、編集:分島翔平)