5月、米DIGIDAYは数百人のメディア/マーケティング界のプロを対象に、各々のビジネスにおけるソーシャルプラットフォームの役割について、アンケート調査を実施した。リサーチによれば、Twitterは利用頻度がほぼ最上位であるにもかかわらず、メディア企業にとっての価値はほぼ最下位であることがわかった。
ニュースの世界で、己の使命を忠実に守る、あるいは優先するソーシャルプラットフォームと聞いてまず思い浮かべるのはTwitterだろう。さらに、多くのジャーナリストにとってTwitterは第2のワークステーションとして、そして名を成すための場として、必要不可欠な存在でもある。
ところが最新のDIGIDAYリサーチによれば、Twitterは利用頻度がほぼ最上位であるにもかかわらず、パブリッシャーからの評価はほぼ最下位であることがわかった。
5月、米DIGIDAYは数百人のメディア/マーケティング界のプロを対象に、各々のビジネスにおけるソーシャルプラットフォームの役割について、アンケート調査を実施した。調査に応じてくれたのは、大小さまざまなパブリッシャーに勤務する107名。3分の1は年間売上高1000万ドル(約11億円)未満の企業に、3分の1は年間売上高5000万ドル(約55億円)以上の企業に勤務している。
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この調査で米DIGIDAYは、FacebookやTwitter、YouTubeといった大手から、Twitch(ツイッチ)やTikTokといった新興のニッチなところまで、8つのプラットフォームの利用法について訊ねた。
結果として見えてきたのは、パブリッシャーの事業に欠かせないのはごく一部のプラットフォームだけであり、そのほかは端に追いやられているという構図だ。これまで巷で予想されていた、多くのパブリッシャーが「プラットフォーム第一主義を掲げるという未来」は、実際のところ来そうにない。というのも、いま見られているのは真逆の状況であり、大多数のパブリッシャーは、ほとんどのプラットフォームをマネタイズ/ブランド構築の役には立たないと見なしているようだ。ソーシャルメディアはいまや、オーディエンス開発専門のあるコンサルタントが述べるように、「注意して扱う必要がある存在」になりつつある。
ブランド構築、マネタイズの両面で低評価
この状況をもっとも顕著に現しているのが、Twitterに関する数字だ。Twitterは2番目に多く利用されているにもかかわらず(アンケートに答えた107人のうち、94人が過去30日間にTwitterにコンテンツを投稿していた)、Twitterをマネタイズの手段として「価値がある」と見なしているのは、利用者のわずか5分の1だった。なお、これを下回ったのは、「価値がある」と答えたユーザーが17%だったTwitchのみで、しかもTwitch利用者はアンケート回答者中、わずか6人だった。
なお、Twitterをブランド構築において「価値がある」と答えたのは利用者の半分未満、45%だった。これを下回ったのはSnapchatのみで、しかもSnapchatにコンテンツを投稿しているのは20人という、決して多いとはいえない数字だ。この件についてTwitterにコメントを求めたが、回答はなかった。
投資はもっとも少ないが、活用頻度は高い
Twitterこの低順位は、プラットフォーム用コンテンツに対するパブリッシャーの投資額とも共通している。Twitterは、投稿頻度ではFacebookと肩を並べるものの(Twitterを利用するパブリッシャーの80%以上が毎日投稿している)投資額では最下位となった。Twitter用オリジナルコンテンツの制作に、「ほどほど」の額は費やすと回答した者は、わずか3分の1に留まった。
もちろん、今後状況が変わる可能性もある。Twitterは、ユーザーが同社プラットフォーム上で消費者収益を追求できるようにする機能や、Spaces(スペーシズ)をはじめ、ユーザーエンゲージメントの新たな機会を創造する新ツールに資金をはじめとした各種リソースを投下しており、こうした動きはすでにパブリッシャー勢の関心を引いている。さらにTwitterは、2023年までの収益倍増という目標に向けて邁進中でもある。この目標が達成されれば、パブリッシャーにもメリットがあるはずだ。
とはいえ目下のところ、メディアとTwitterとの関係が再考を要するものであることは間違いない。
[原文:Digiday Research: Publishers see Twitter delivering least value among social platforms]
MAX WILLENS(翻訳:SI Japan、編集:村上莞)
Illustration by IVY LIU