米DIGIDAY+の新たな調査によると、COVID-19のパンデミックの影響を、パブリッシャーたちは気に入らないかもしれない。2021年第3四半期の初めには、出版社は前年よりもダイレクト販売の広告に依存しており、多くの付加的または補完的な収益源は6カ月前、12カ月前よりもその役割が小さくなっている。
2020年、メディア業界のアナリストや業界を深く観察する業界人は、COVID-19のパンデミックの影響をタイムマシンにたとえるようになった。COVID-19によって、人々は一気に5年後、10年後の未来に連れて行かれることになったのである。
米DIGIDAY+の新たな調査によると、このタイムマシーンが連れて行った先を、パブリッシャーたちは気に入らないかもしれない。2021年第3四半期の初めには、出版社は前年よりもダイレクト販売の広告に依存しており、多くの付加的または補完的な収益源は6カ月前、12カ月前よりもその役割が小さくなっている。
たとえばイベント事業は2020年、成長するのが極めて困難だったように、これらの変化のなかには驚くに値しないものもある。しかし、収益源を本当に多様化したいのであれば、パブリッシャーには長い道のりがあることをあらためて示す結果となっている。
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7月初旬、米DIGIDAYは126人のパブリッシャーで勤務するプロフェッショナルを対象に、彼らの企業がどのように収益を上げているかを調査した。この調査では、収入源のリストが提示され、回答者にそれぞれの収入源からどれだけの収入があったかを示すよう求めた。回答は「我が社ではまったく収益を生んでいない」から「我が社の収益において極めて大きな部分を占めている」までの5段階評価だ。
米DIGIDAYが調査対象にこのような質問をするのは今回で3回目となる。前回は2021年の第1四半期、その前は2020年の第3四半期に同様の質問をした。
各サンプルの回答者が誰であるか、そして厳密な回答者数は第1回目と第2回目、そして今回で同じではないが、構成は似ている。いずれのサンプルでも、米DIGIDAYは、年間1000万ドル(約11億円)未満の収益を上げている出版社から少なくとも30件の回答、1000万ドルから5000万ドル(約55億円)の収益を上げている出版社から30件の回答、年間5000万ドル以上の収益を上げている出版社から30件の回答を得た。
ダイレクト販売が大きく伸長
今回の調査が一番明らかにしたのは、ダイレクト販売の広告形態が12カ月前よりもパブリッシャーにとって、さらに大きく重要になっていることだった。
また、サブスクリプションなどの戦略的に重要な分野の多くは、「大きな(もしくはそれ以上)」収入源としては12カ月前と比べて基本的に横ばいであることも示された。その観点では、ブランデッドコンテンツのようなほかのものは、後退も見せている。
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今年はアフィリエイトが成長
結果を別の角度から検討すると、穏やかな進展の徴候が認められた。たとえば、アフィリエイト・コマースは30%のパブリッシャーの収益の「中程度(もしくはそれ以上)」を占めており、今年の第1四半期の18%から増加し、昨年の第3四半期の12%の2倍以上になっている。同様に、動画広告は現在、大多数のパブリッシャーにとって、少なくとも「中程度(もしくはそれ以上)」の収益を占めており、これは3回の調査では初めてのことだ。
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[原文:Digiday Research: The pandemic sped the wrong things up for publishers]
MAX WILLENS(翻訳:塚本 紺、編集:長田真)