半数以上のパブリッシャーは、今後1年間にプログラマティック広告技術への投資を増やす傾向にあるようだ。プログラマティック取引に充てられるデジタル広告支出が増えるなかで、パブリッシャーは、インベントリー(在庫)からできるだけ多くの価値を引き出すようにするために、力の及ぶ限り何でも行っている。【※本記事は、一般読者の方にもnoteにて個別販売中(480円)です!】
半数以上のパブリッシャーは、今後1年間にプログラマティック広告技術への投資を増やす傾向にあるようだ。
プログラマティック取引に充てられるデジタル広告支出が増えるなかで、パブリッシャーは、プログラマティック商品をバイヤーにとってできるだけ魅力的にし、インベントリー(在庫)からできるだけ多くの価値を引き出すようにするために、力の及ぶ限り何でも行っている。
米DIGIDAYが2018年11月に調査した、プログラマティック取引で広告を販売しているパブリッシャー187社のうち、55%は、2019年にプログラマティック技術への支出を増やす意向だと回答した。支出が横ばいと回答したのは42%で、減少する見込みなのは3%にとどまった。
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55%が投資を拡大予定
プログラマティックは現在、広告主好みのアドバイイング手法かもしれないが、パブリッシャーの場合は交換条件がともなう。広告料金に下方圧力が掛かり続けて、一部のパブリッシャーは収支を合わせるのがいっそう困難になりつつある。ヘッダー入札やプライベートマーケットプレイス(PMP)、プログラマティックギャランティードツールのようなプログラマティック機能に投資して、これを向上することで、パブリッシャーは、より優れた技術を用いてインベントリーからもっと大きな収益を上げようと試みている。
そしてバイヤーも、パブリッシャーとの協働時に要求事項を増やし、とりわけ、サードパーティによる広告認証およびブランドセーフティのサービスや、もっときめ細かいキャンペーン指標を提供する分析ツールを採用するよう、パブリッシャーにますます求めている。こうしたサービスはいずれも、時間と資金が必要なうえに、すぐに意味をなしうる。
そうした投資の拡大が利益をもたらしつつあると、一部のパブリッシャーは述べている。コンデナスト(Condé Nast)で法人向け販売担当シニアバイスプレジデントを務めるエバン・アドルマン氏によると、同社はPMP技術に投資し、パブリッシャーが得る利益が大きくなるので、そうしたチャンネルを通じて取引するようバイヤーに促してきたという。
一方、BuzzFeedのようなパブリッシャーはまだ、プログラマティック事業を強化中で、2017年8月までそういう形での広告販売を避けてきた。同社でグローバルビジネス活動および製品・販売戦略担当シニアバイスプレジデントを務めるダン・ウォルシュ氏は、BuzzFeedは2019年にプログラマティック技術への投資を続けると語った。BuzzFeedは昨年、9つのサプライサイドプラットフォームを通じて、販売用のセレクションや資産からインベントリーを開放した。
利益以外の投資の必要性
新たな規制も、パブリッシャーに支出の拡大を強いている。EUで一般データ保護規則 (General Data Protection Regulation:以下、GDPR)が2018年に施行されたあと、パブリッシャーは、プログラマティックバイイングでのコンセントストリング実装を容易にするために、同意管理プラットフォーム(以下、CMP)のライセンスを受けるという選択肢があった。CMPは、パブリッシャーがプログラマティックの収益を維持するえで重要な役割を果たす可能性があるので、多くのパブリッシャーはすぐに投資を行った。
ベンダーのCMPを採用することに加えて、コンデナストはリソースを「プラットフォームの指示をトリプルチェックして、常に最新データを用意してGDPRを遵守するようにするツールの構築」に配分したと、アドルマン氏は付け加えた。そうしたリソースはすぐに帳尻が合う可能性がある。
プログラマティック事業が確立されているパブリッシャーの場合、プログラマティック技術への投資が意味をなす度合いに限界があることがある。複数のプログラマティックベンダーとの協働がプログラマティックの収益にマイナスになりかねない場合もある。パブリッシャーは顧客向けのプログラマティック商品の向上に取り組んでいるので、諸経費が次第に増えていくだけでなく、投資が有意義な利点につながるようにするのは、一種の闘いだ。
Mark Weiss(原文 / 訳:ガリレオ)