この記事は、パブリッシャーの収益源の変化を追跡するリサーチシリーズの最新版だ。米DIGIDAYが新たに行った調査によると、動画広告とブランデッドコンテンツはオンラインパブリッシャーの好調な収益源だという。サブスクリプションとeコマース収益も、パブリッシャーを後押ししている。【※本記事は、一般読者の方にもnoteにて個別販売中(480円)です!】
この記事は、パブリッシャーの収益源の変化を追跡するリサーチシリーズの最新版だ。
米DIGIDAYが新たに行った調査によると、動画広告とブランデッドコンテンツはオンラインパブリッシャーの好調な収益源だという。サブスクリプションとeコマース収益も、パブリッシャーを後押ししている。
9月に開催したパブリッシングサミット(Publishing Summit)で米DIGIDAYが調査したパブリッシャーの幹部91人のうち、78%は動画広告による収益が、76%はブランデッドコンテンツによる収益が、それぞれこの1年間に増加したと回答した。eコマースやサブスクリプションサービスを提供するパブリッシャーの大多数も、これらの収益が増加した。
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成長領域となっている3分野
パブリッシャーの約4分の3でブランデッドコンテンツの収益が増加しているのは、そうした収益を利益に変えるのに関連する課題を考えると、意外な結果だ。ブランデッドコンテンツには、潜在的利益をむしばむ隠れた手数料が掛かり、広告主は効果を疑問視している。
動画広告の収益が増加したのは、パブリッシャーが制作する動画が増え、結果的に、開放されるインベントリー(在庫)が増加したのが原因とも考えられる。パブリッシャーを対象に今年行った以前の調査では、86%のパブリッシャーが、2018年に動画の制作を増やす計画を立てていた。パブリッシャーは、記事内動画などのフォーマットの利用増加や、音声なしの自動再生動画のような戦略の利用でも、広告機会を増やしている可能性がある。もちろん、既存の動画コンテンツも視聴回数が増えている可能性がある。
アフィリエイトのリンクによる収益は、依然としてパブリッシャーのeコマース事業の大半を占めている。BuzzFeedやポップシュガー(PopSugar)のようなパブリッシャーも、オンラインストアを運営しはじめた。ほとんどのパブリッシャーにとって、これらの収益源は生まれたばかりで、収益の柱ではなく補助的な収益だ。eコマースが収益の25%以上を占めると回答したのは、調査対象のパブリッシャーの10%に満たない。
サブスクリプションは黎明期
デイリー・ビースト(The Daily Beast)のようなパブリッシャーが会員制プランを発表し、パブリッシャーが経常収益を引き上げようとするなかで、サブスクリプションは、動画と同じく、たびたびメディアを賑わしている。だが、米DIGIDAYのデータによれば、2018年秋にサブスクリプションプランを提供しているパブリッシャーは、2018年春と比べて4%しか増えていない。
サブスクリプション事業をはじめることを検討しているパブリッシャーは、デジタル最優先であればもっと成功するかもしれない。収益の約50%をサブスクリプションから得ているバイオテク・医薬品系パブリッシャー、スタット(Stat)の最高収益責任者アンガス・マコーリー氏は、小規模で比較的新しいデジタル最優先のパブリッシャーであるため、ペイウォールを設けやすかったと確信している。ディスプレイ広告売り上げに依存していなかったのがその主な理由だ。「一部の従来型パブリッシャーなら、オーディエンスの規模への打撃について懸念していたかもしれないが、我々はオーディエンスが非常に特殊なデジタル最優先のパブリッシャーであるため、規模を重視していなかったので、それほど懸念しなかった」。
オンラインで無料提供されるコンテンツの量の面でも、パブリッシャーには課題がある。だから、サブスクリプションを購入するかどうか決めるにあたって、マコーリー氏はこう付け加える。「人々は、差別化されたものに対して金を払う。2回のクリックで離れられるものに対して、金を払うのではない」。
ディスプレイ広告は衰退気味
また、ディスプレイ広告市場が蝕まれるにつれ、ディスプレイ広告に依存するパブリッシャーは減少している。収益の半分以上をディスプレイ広告に依存しているパブリッシャーの割合は、38%から29%に低下している。パブリッシングサミットで米DIGIDAYが調査したパブリッシャーのうち20%は、ディスプレイ広告売り上げが減少していると回答した。
Mark Weiss(原文 / 訳:ガリレオ)