[ DIGIDAY+ 限定記事 ]デジタルメディアや広告にはかつてないほど金が流れ込んでいるが、業界での統合と縮小の脅威が大きく迫っている。米DIGIDAYが行った調査では、パブリッシャーやエージェンシー、アドテクベンダー、マーケティングベンダーの約3分の1が、今年は大規模な人員削減が行われるのではないかと心配していると回答している。
[ DIGIDAY+ 限定記事 ]デジタルメディアや広告にはかつてないほど金が流れ込んでいるが、業界での統合と縮小の脅威が大きく迫っている。
米DIGIDAYが行った調査では、パブリッシャーやエージェンシー、アドテクベンダー、マーケティングベンダーの約3分の1が、今年は大規模な人員削減が行われるのではないかと心配していると回答している。
なかでも、もっとも懸念を感じているのが、米国のパブリッシャーの従業員だ。回答者187人のうち40%が、数カ月以内に行われる可能性がある人員削減について心配していると回答している。これに対して、欧州のパブリッシャーでは、103人の回答者のうち36%が、会社での仕事が危険にさらされていると思うと述べ、同様に不安を抱いていた。
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一方、マーケティング企業やアドテク企業の従業員も、サイズミック(Sizmek)の最近の破産や業界で続く統合のニュースに煽られたのだろうが、人員削減を覚悟していると回答している。米DIGIDAYが今月調査したマーケティング及びアドテク担当幹部53人のうち、34%が自社の人員削減の潜在的なリスクについて心配していると述べた。
データ依存企業の困難
顧客企業の移り変わりによって、多くの従業員がすぐに仕事を失いかねないエージェンシーにとって、人員削減は目新しいことではないが、エージェンシーの従業員はまだ戦々恐々としている。2019年1月にエージェンシーの幹部を対象に実施した米DIGIDAYの別の調査では、回答者の30%が、雇用が「安泰」とは言えないと述べた。クリエイティブエージェンシーの回答者は、メディアエージェンシーやマルチサービスエージェンシーの回答者よりも雇用の確保について心配していた。
パブリッシャーの従業員からすれば、心配の原因は、現在自由に視聴できるコンテンツの量にもある。「消費者にはコンテンツの視聴ややりとりを行う場がたくさんある。明確な競争上の強みや忠実なオーディエンスがないパブリッシャーは、当然ながら苦闘することになる」と、D4t4ソリューションズ(D4t4 Solutions)の北米担当バイスプレジデントであるビル・ブルーノ氏は指摘する。
欧州の一般データ保護規則(General Data Protection Regulation:GDPR)やカリフォルニア州消費者プライバシー法(The California Consumer Privacy Act:CCPA)のような法規により、ユーザーから収集できる情報の量を制限するよう求められるなかで、アドテクベンダーとマーケティングベンダーは、ファーストパーティのデータとの接続を求める圧力のせいで引き締めに直面している。こうした企業が収集できるクッキー(Cookie)を制限しているAppleの「Safari」や「Google Chrome」のようなブラウザが、データに依存している企業の助けにならないのは確かだ。
共通の障害とチャンス
パブリッシャーとアドテクベンダーはともに固有の問題に直面しているが、共通の障害もある。「Facebook、Google、Twitter、Amazonなどでなければ、デジタル分野の企業にとって根本的な問題がある」と、BTIGのアナリストであるリッチ・グリーンフィールド氏は語る。「それらのプラットフォームが、メディアのマネタイゼーションの未来をしっかりと掌握しているのだ」。
マーケティングエージェンシーや広告エージェンシーはどこでも、インハウスマーケティングの増加や、プロジェクトベースの業務に対するマーケターの志向の高まりに否応なしに直面している。
だが、一部の者によると、それでもなお、大きな価値を生み出して持続可能な事業を構築している企業が楽観する理由があるという。トライして、デジタルメディア分野のすべての面に機会があると気づくことが重要だ。パブリッシャーにはニッチ市場を見つけるチャンスがあり、マーケターやベンダーは顧客とユーザーを優先するように方向性を改めつつある。激動であるかもしれないが、これはすべてデジタルエコシステムのためになるだろう」と、ブルーノ氏は語った。
Mark Weiss(原文 / 訳:ガリレオ)