昨今、ブランド企業もメディア企業も、Webサイト訪問者のプライバシーに関するアプローチの変更を求められている。しかし米DIGIDAYが調査したところ、米国ではほとんどの地域で変化の兆候が見られなかった。
昨今、ブランド企業もメディア企業も、Webサイト訪問者のプライバシーに関するアプローチの変更を求められている。
しかし米DIGIDAYが調査したところ、米国ではほとんどの地域で変化の兆候が見られなかった。大手メディア企業が所有するWebサイトのうち、収集と利用を許可するデータの種類を、ユーザーが管理できるようにしていたのは、10%あまりに過ぎなかったのだ。
米国ではいまだに変化がない状況
米DIGIDAYでは、ニューヨーク州にあるデスクトップコンピュータを使用し、調査企業コムスコア(Comscore)が作成するランキング、the Comscore 50にランクインしているメディアのWebサイトにアクセスし調査を行った。ただし、FacebookやLinkedIn(リンクトイン)など、ログインしなければ利用できないWebサイトは除外しているほか、メディアバイン(Mediavine)やカフェメディア(CafeMedia)など、多数のWebサイトを所有、もしくは管理している企業については、トラフィックが一番多いものを調査対象とした。なお、分析したデータは、2021年7月に収集したものである。
Advertisement
もっとも、このデータが示すユーザー体験が、米国のすべてのインターネットユーザーに等しく当てはまるわけではない。米国では、カリフォルニア州、メイン州、ワシントン州など、複数の州が独自のデジタル消費者プライバシー法をすでに制定している。さらに、ほかにもいくつかの州が独自の法律を議会で検討中だ。2023年までには、米国の人口のおよそ3分の2が、さまざまな州のプライバシー法によって保護されることになるだろう。
しかしにもかかわらず、いくつかの大手企業のWebサイトでは対応が見られていない。
欧州では米国とは対照的な結果に
一方、欧州で同じWebサイトの動作を調べると、上のグラフとは対照的な結果となる。というのも欧州では、米国とは異なる運営方法が規制で義務付けられている。米DIGIDAYが、仮想プライベートネットワークで英国のIPアドレスから同じWebサイトにアクセスしたところ、調査したほとんどすべてのWebサイトで、プライバシーに関する通知とポップアップが表示された。
とはいえ、これらのWebサイトでトラッキングをオプトアウトすることは容易ではない。米DIGIDAYの調査対象のうち、ワンクリックでトラッキングをオプトアウトできるオプションを訪問者に提供しているWebサイトはわずか11%だった。また、それらの60%以上が「暗黙の同意」を根拠に、ユーザーがプライバシー設定を変更するか明示的にオプトアウトしない限り、ユーザーのトラッキングを続けているという。
また、Webサイトの同意管理ツールを利用できる知識を持ったユーザーでも、オプトアウトを完了するのは容易ではない。設定画面で「管理」を選択するだけでオプトアウトの画面が表示されるようにしていたWebサイトは、わずか15%だった。
MAX WILLENS(翻訳:佐藤 卓/ガリレオ、編集:村上莞)