広告支出が再び増えつつあるいま、パブリッシャーとっては力強い年の滑り出しとなっているようだ。昨年の上半期、すべてのメディア企業がパニック状態に陥り、人員整理を行っていたのとは対照的な状況だ。DIGIDAYリサーチのアンケートに対し、回答した米国のパブリッシャーの半数が2020年に人員を削減したと回答している。
2020年末のサイバー5(米国で感謝祭からサイバーマンデーまでの5日間を指す)におけるパブリッシャーの収益は好調だった。そして、広告支出が再び増えつつあるいま、パブリッシャーとっては力強い年の滑り出しとなっているようだ。昨年の上半期、メディア企業が大小を問わずパニック状態に陥り、コスト管理のために人員整理を行っていたのとは対照的な状況といえるだろう。
DIGIDAYリサーチのアンケートに対し、回答したパブリッシャーの半数が2020年に人員を削減したと回答している。
2008年のリーマンショック以降、世界中で不況が数年間続いた。そして2020年の人員整理はそれ以上の規模となっているようだ。アウトソーシング企業のチャレンジャー・グレイ&クリスマス(Challenger, Gray & Christmas) によると、11月までにデジタルや印刷、放送関連のメディア企業では、1万6000件を超える雇用整理が実施されており、2008年の1万4000件を上回った。
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出典:Digidayによるパブリッシャーおよびエージェンシーを対象とした年末アンケート
対象:パブリッシャー60社
3月から4月にかけて、コロナショックのなかで一時帰休とレイオフが大きく進んだのは確かで、上半期のレイオフの数は1万1000件以上に及ぶ。だがメディア企業各社は、実際には年間を通して人員削減を行った。
また、広告販売をはじめとする収益は4月を底として回復基調となっている一方、年間目標を達成した企業はごくわずかで、2019年と同水準の収益を達成したのも半数に満たない。アンケートの回答者の43%が、2020年は前年比で減収となったと回答しており、3分の1が10%を超える減収となったと述べている。
出典:Digidayによるパブリッシャーおよびエージェンシーを対象とした年末アンケート
対象:パブリッシャー60社
こういった厳しい結果となっているにもかかわらず、2021年の見通しだけでなく、2020年を総括して、楽観的な見解を示すパブリッシャーが多数ある。2021年も最初の数カ月間は、米国の多くの地域でロックダウンやそれに近い状態が続くと考えられる。米国経済も不安定な状況に置かれるにもかかわらず、2021年には収益面で反発が起きると期待するパブリッシャーが多い。また、自社が2020年をうまく乗り切ったという回答も非常に多かった。
[原文:Digiday Research Almost half of publishers experienced layoffs in 2020]
MAX WILLENS(翻訳:SI Japan、編集:長田真)