[ DIGIDAY+ 限定記事 ]カリフォルニア州消費者プライバシー法(The California Consumer Privacy Act:以下、CCPA)が2020年1月に施行される。だが、米DIGIDAYが今年2月、米国のパブリッシャー幹部200人を対象に調査したところ、多くのパブリッシャー幹部は、依然この法律をまったく意識していない。
[ DIGIDAY+ 限定記事 ]カリフォルニア州消費者プライバシー法(The California Consumer Privacy Act:以下、CCPA)が2020年1月に施行される。だが、多くのパブリッシャー幹部は、依然としてこの法律をまったく意識していない。
米DIGIDAYが今年2月、米国のパブリッシャー幹部200人を対象に調査したところ、CCPAが何かを理解しているのはわずか半数で、自社がこの法律の施行に向けた準備をしていないという回答が過半数だった。
CCPAは、4000万人のカリフォルニア州住民全員に、パブリッシャーおよびオンライン広告業者が収集した個人データの開示および削除の請求権を認める。同法はまた、消費者が個人情報の販売禁止を求めたにも関わらず、販売を行うなどの違反行為をした企業に対し、最大で1人あたり2500ドル(約28万円)の罰金を科す。
Advertisement
施行まで1年を切っていて、違反企業はかなりの金銭的打撃を被る可能性があるにもかかわらず、幹部が同法を知っているパブリッシャーのなかにさえ、対策を講じている企業は少ない。CCPAを知っていると答えた幹部のうち、自社で法令遵守の取り組みをはじめていると答えたのは48%にとどまった。
CCPAへの対策をまだ始めていないなら、急いだ方がいい。CCPAの遵守は、欧州の一般データ保護規則(General Data Protection Regulation:以下、GDPR)以上にハードルが高いという見方もある。しかも、GDPRの準備には4年の猶予があったが、パブリッシャーがCCPAに備えるための時間は、もう数カ月しかないのだ。
急がれる対応策
CCPAは昨年5月にEUで施行されたGDPRと同一ではないので、GDPR対応の注意書きをカリフォルニア州住民向けに単純にコピー&ペーストして、法を遵守していると主張しても通らない。ただし、両者には「重複する共通点」があると、ジフ・デービス(Ziff Davis)の法務顧問を務めるスティーブン・ヒックス氏はいう。
さらに状況を複雑にしていることに、最終的に規制がどういった内容になるかについては、いまだにはっきりしない。修正案や業界団体からの意見書が出され、連邦レベルの規制を求める議会でのロビー活動も現在進行形で行われているためだ。
こうした不確定要素があるため、「現段階ではどのパブリッシャーも完全に法規制に従っているとはいえない」と、ヒックス氏はいう。一方で、「(CCPAを)理解するのに時間を割き、プライバシーポリシーのアップデートなどの策を講じるのに早すぎることはない」とも付け加える。パブリッシャーにできるその他の対策としては、ユーザーデータのソースを整理して、カリフォルニア州住民を容易に特定できるようにするなどがある。ウェブサイトに「転売禁止」ボタンを設け、消費者が自分の個人データをサードパーティへの販売対象から外せるようにするのも、悪くないアイディアだ。
注目されない理由
メディア業界でCCPAがGDPRほどの注目を集めていない理由のひとつに、エージェンシーやブランドが消費者の情報を集める際、同意獲得にパブリッシャーをあてにしていない点があげられる。GDPRでは企業が消費者の個人情報を収集する際に法的根拠が必要だが、「この点はCCPAでは必ずしも問題にならない」と、ヒックス氏はいう。ユーザーデータの収集に共同責任を負っていないため、もしパブリッシャーのCCPA違反が発覚しても、マーケターは罪に問われないのだ。
一部のパブリッシャーは、CCPAの規制に関して様子見の姿勢を保っている。ある中堅パブリッシャーの幹部は米DIGIDAYの取材に対し、この問題に時間と資源を使う前に、「連邦政府が介入するかどうかを見極めるため」、いまは待っている、と述べた。
理由はどうあれ、パブリッシャーは直前にあわててCCPAの要件を満たそうとするという見方が趨勢だ。ある匿名のパブリッシャーはこれを認め、「GDPRのときも、我々は締切の半年前まで対策をはじめていなかった。CCPAでもおそらく同じことをするだろう」と述べる。
収益の低下も懸念
一方、CCPAに関して、パブリッシャーにはほかにも懸念すべきことがある。この法律のもとで、消費者はパブリッシャーに、自身の個人情報をサードパーティに販売することをやめるよう要請できる。エージェンシーやアドテクベンダーといった情報の買い手は、現在これらをターゲティング目的に利用している。
オーディエンスデータの販売はパブリッシャーの大きな収益源ではないが、こうした売買は珍しくない。以前の米DIGIDAYの調査では、パブリッシャーの約4分の1がオーディエンスデータを販売している。メディアビジネスの利益率が低下しているいま、できるかぎり売上を確保したいはずの彼らには、痛手になるだろう。
Mark Weiss(原文 / 訳:ガリレオ)