「Digiday+ Talk」は、業界のリーダーとディスカッション繰り広げるオンラインイベント。1月26日に開催された第七段には、ラジコ(radiko)の業務推進室 次長の小平誠氏が登場。その時の様子を収めた動画(DIGIDAY+ プレミアム会員限定)と、簡単なレポートをお送りする。
昨今、コロナ禍による「新しい生活様式」を追い風に、音声メディアが勢い付いている。
サイマルラジオサービスのラジコ(radiko)もそのひとつだ。同社が毎年実施しているユーザーアンケート調査によると、調査対象の4~5割が、コロナ禍の影響でラジコを聴く時間が増えたと回答したという。
2020年に10周年を迎えたラジコは、これまで数々の機能追加を行うとともに、サブスクリプションサービスや音声広告事業を展開して、その事業を成長させてきた。また、同年9月には、民放連加盟ラジオ局99局に放送大学とNHKの番組を加え、全地上波のラジオ放送の統合を果たしている。
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「ラジコは現在、広告とサブスクリプションの二本柱で収益を得ているが、広告事業はまだスタートしたばかり。担当として、今後更なる事業成長を実現していきたい」。こう語るのは、ラジコの業務推進室 次長であり、広告セールス関連業務を担う小平誠氏だ。
同氏は、2021年1月26日に開催されたオンラインイベント、DIGIDAY+TALKSの第7段「ラジコはラジオのなにをどこまで再価値化できたのか?」に登壇。ラジコの10周年の歩みと、音声メディアの広告としての可能性について、詳細な統計データとともに語ってもらった。以下は、その様子を収めた動画と簡単なレポートだ。(動画はDIGIDAY+の「プレミアムプラン」ユーザー専用のコンテンツです)。
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01:我々が学んだこと
ラジコのあゆみ
- これまでの主なアップデート:ラジコがサービスを開始したのは2010年12月。2014年からは、月額385円(税込)で全国の放送を聴取できる、エリアフリーのサブスクリプションサービスを開始。2020年11月時点の会員数は84万人だ。また2016年には、聴き逃した番組をあとから視聴できるタイムフリー機能や、放送内容をSNSで共有できるシェアラジオ機能を追加。2018年には、音声広告事業のラジコオーディオアド(radiko audio Ad)をスタートしている。
- ラジコのオーディエンス:ラジコでは年に1度、独自にアンケート調査を実施している。同調査によると、現在のラジコユーザーは40・50代のサラリーマン男性が中心。ユーザーの地域分布は、関東が45%、近畿が15%、中部は14.6%と、それぞれの人口分布に比例している。
- 新型コロナウイルスの影響:なお同調査では、コロナ禍のステイホームの影響から、全国的にラジコの聴取時間が増えたことが示されている。調査対象の4~5割のユーザーが、ラジコを聴く時間が増えたと回答したのだ。また、若年ユーザーも増加中だ。これは、休校や緊急事態宣言により、自宅での時間が増えたことが影響しているという。
いかに、ラジオを「再価値化」するか
- 「広告出稿」から「広告投資」へ:昨今、マーケティングコミュニケーションは、マス広告だけではなく、パーソナライズ化されたターゲティング広告が存在感を増している。広告主の考え方も、「広告出稿」から「広告投資」という方向に変化してきていると、小平氏は述べる。これは「投資」という言葉が使われている通り、広告費用がどれだけ商品/サービスの売上に寄与したかまで、厳しく求められるようになったということだ。ラジオを媒体として再価値化するには、こうした前提を加味する必要があるという。
- ラジコオーディオアドの展開:現在ラジコでは、ターゲティングと正確な広告効果測定を強みとする、音声広告サービスのラジコオーディオアドを展開している。小平氏によると、ラジコオーディオアドの特徴は、高い完全聴取率、ブランドリフトの高さ、ブランドセーフティ、音声の優位性の4つだという。なおラジコオーディオアドは、2018年7月より実証実験配信を開始し、2021年1月時点で150社以上の広告主が利用している。
ラジコの今後
- ユーザーファーストなサービス:音声メディアの勢いが増すなか、ラジコの強みはどこに見出せるのか。小平氏は「365日24時間常にコンテンツを提供していること」と「コンテンツの幅の広さ」が、ほかの音声メディアにはない強みだと述べる。小平氏は、こうしたコンテンツ面での強みに加え、UI/UX面でも改善も実施して、ユーザーファーストなサービス提供を進めていきたいと述べる。
- 他媒体との組み合わせで広告効果を発揮:現在、広告市場では動画広告が優勢だ。小平氏は、音声メディア単体ではなく、動画といったほかのメディアとの組み合わせで、効果を出していく点に音声メディアの可能性をみる。「合わせ技のような形」だ。すでにラジコは、幅広いジャンルの広告主から、既存のデジタル広告と組み合わせるという方向性で、依頼を受けているという。メディアプランニングにおいて、音声メディアがどのような役割を担えるのかが、いま問われている。
02:イベント動画
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Written by 小玉明依、村上莞
Photo by radiko audio Ad