過去14年、ワイアード(Wired)がホリデーシーズンにオープンさせる期間限定店(ポップアップショップ)は、ニューヨーク名物のひとつになっていた。そしていま、テクノロジーとカルチャーをメインに扱う同誌は、我々にとってもっと身近で、そして常にそこに存在するものになろうとしている。
過去14年、ワイアード(Wired)がホリデーシーズンにオープンさせる期間限定店(ポップアップショップ)は、ニューヨーク名物のひとつになっていた。そしていま、テクノロジーとカルチャーをメインに扱う同誌は、我々にとってもっと身近で、そして常にそこに存在するものになろうとしている。
「事業拡大の機会」
サンフランシスコに本拠を置くワイアードは12月13日(米時間)、ロウアー・マンハッタンにあるブルックフィールド・プレイスの1階に15回目となるホリデーシーズンのポップアップショップをオープンした。ベライゾン(Verizon)がスポンサーを務める2600平方フィート(約241平方メートル)の店舗は、25ドル(約2700円)の「キネティック・シャーク」の組み立てキットから1150ドル(約12700円)のロボットバーテンダーまで、ワイアードの編集スタッフが監修した製品を売り物にしている。ベライゾンが監修した別スペースもある。
ブルックフィールドの店舗は12月22日までの期間限定だったが、ワイアードは来年、ニューアーク空港に常設店舗をオープンする準備を進めている。開店日時はまだ決められていないが、2019年春になるとみられている。
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ワイアード、バニティ・フェア(Vanity Fair)、ピッチフォーク(Pitchfork)といったタイトルを含むコンデナスト(Condé Nast)のカルチャーコレクションのマーケティング担当バイスプレジデントであるマヤ・ドライジーン氏はこう語る。「ワイアードの店舗は毎年、ワイアードのために提供されてきた。我々はこれを事業拡大の機会とみている」
売上は毎年50%増
パブリッシャーのあいだでは、ブランドの実験用予算の投入先を探す方法としてホリデーシーズンのポップアップショップは流行しているが、ワイアードはそれを10年以上前からやってきた。ワイアードは2017年のホリデーショッピングシーズンに、高級自動車メーカー、ジェネシス(Genesis)と手を組んで、同年夏にロサンゼルスにオープンした限定ショップを拡大して開店した。ワイアードは多様なバージョンの店舗を、マンハッタンのミートパッキング地区からロサンゼルス空港まで、さまざまな場所でオープンしてきた。
その間に、店舗に関わる戦略は変化した。初期の頃のワイアードショップは、製品を購入する実際の場所というよりショウルームを目指していた。それが変わったのが3年前、やって来る人々は買うことにより強い関心を持っていると気づいたときだった。それ以来、店舗には、マシュマロ・クロスボウのような風変わりなアイテムからジェネシスのクルマまで、ありとあらゆるものが揃っている(もっとも、クルマの場合は、顧客がクルマを受け取るにはディーラーに足を運ぶ必要がある)。
店舗での売り上げは毎年50%増加しているというが、ワイアードは具体的な数字を共有しようとはしなかった。
2018年のポップアップショップはベライゾンがスポンサーになっている。これには明らかな金銭的なメリットがある。このショップは、コンデナストの複数のプロパティーを全体的に明示する1年がかりのキャンペーンの一部だとドライジーン氏はいう。だが、ドライジーン氏によると、今年の店舗にはベライゾンチームが改良した小さなデザインの変更点が多数あるという。たとえばベライゾンは、店オリジナルのレイアウトデザインを変更して、デバイスの周りにより多くの人が集まれるようにしたという。さらに、製品を陳列するカウンターの天板の素材のプランも変更した。
「プロの小売業者と一緒に仕事をするのは非常に面白い。この環境でどんな種類の製品が人目を惹くかを、彼らはよく知っている」と、ドライジーン氏は話す。
この数年間の優先事項
ワイアードの活動の加速を、長年の観測筋は当然ととらえている。パブリッシャーはより実験的な活動へ踏み出すことに慎重な姿勢をとるなかで、ワイアードの親会社であるコンデナストは、イベントや実験的マーケティングがこれからの数年間の優先事項になると考えていることを明確にしており、主要な収入源としてクリエイティブサービスに傾倒している。
HBOやポップシュガー(Popsugar)、Wホテルズ(W Hotels)のようなパブリッシャーやブランドと仕事をしたことがある体験コンサルティング会社、ギャザリー(Gathery)の共同創業者であるニコラス・バラスティエリ氏は、次のように話す。「彼らは、実にうまくページを店舗に転換した最初の人々だった。こうしたクリエイティブサービスで練習してきたことを永久的な何かに転換することを検討するのも理にかなっている」。
Max Willens(原文 / 訳:ガリレオ)