「グッドモーニングアメリカ(Good Morning America)」は、平日の朝に放送される人気番組。そのシニアブロードキャストプロデューサーであるシモーン・スウィンク氏は、ソーシャルメディアがテレビの生放送番組に欠かせない存在へと進化してきた歴史を目の当たりにした人物のひとりだ。そんな彼女の1日を追った。
「グッドモーニングアメリカ(Good Morning America)」は、平日の朝2時間に渡って放送される人気番組だ。その後半の1時間を担当する、番組のシニアブロードキャストプロデューサーであるシモーン・スウィンク氏は、ソーシャルメディアがテレビの生放送番組に欠かせない存在へと進化してきた歴史を目の当たりにした人物のひとりだ。
「私が『GMA(グッドモーニングアメリカの略称)』で働きはじめた約6年前は、1日に4つか5つしかツイートを投稿しなかった」と、彼女は振り返る。現在、番組のソーシャルメディアチームは、ただツイートするだけではない。Snapchatやインスタグラム、Facebookにもアカウントを擁しており、それを運営するのはスウィンク氏の毎日の業務の一部でしかない。
本当は朝が苦手なのに、と付け加えながら、彼女は自身の生活を説明してくれた。毎朝の8時から9時の枠を埋めるための仕事は、午前3時半から開始される。ストーリーを考え、どのような角度でそれを切り取るか、そしてコメントを出してくれるようなゲストを手配して、インタビューは生放送で行うか、事前に録画するかを決める。このような怒涛の業務をこなさないといけない。しかも、これらのほとんどが前日に決められるという。
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先週の木曜日、スウィンク氏はスタジオに観客を招いて生放送するという「GMA」はじめての試みに関わった。「生の観客がいることでエネルギーと活気が一層加わった」と、スウィンク氏は語る。
この試みは放送だけでなく、ソーシャルメディアにもオーディエンスエンゲージメントの向上という形で良い影響が出ているようだ。たとえば、番組ではTwitterといったプラットフォームを通して寄せられた観客からの質問を生放送中に質問することも出来るようになった。「それによって視聴者が、番組において担う役割がより大きくなった」と、スウィンク氏は語る。
以下は、スウィンク氏の1日の流れである。読みやすさのために、若干の編集をしてある。
◆ ◆ ◆
04:10 am アラームが鳴る。いつもひとつ目で起きなかったときのために、ふたつアラームをセットしている。マイケル・ストラハンが正式メンバーとして加わって開始される「新学期の始まり」週間だ。また今朝は「GMA」初の観客をスタジオに入れての生放送になる。
04:20 am 現実に直面し、起床。エスプレッソマシーンのスイッチを入れる。まだ半分寝てる感じ。朝が得意な方ではないから、毎朝3時半から5時半のあいだに起きるのは厳しい。ニュース枠、出演者のブッキング、そして台本に関して、夜中に加えられたアップデートをチェックする。「GMA」の朝のコーナーのライターが、もうすでにティーザーや生の映像のアイデアを提案してきている。
04:30 am 芸能人やエンターテインメント分野のニュースまとめコーナー「ポップニュース」の内容の提案を受ける。YouTubeにアップされた映画『ワイルドスピード SKY MISSION』の主題歌で、ウィズ・カリーファのナンバー「シーユーアゲイン(See You Again)」が20億回の再生回数を突破したそうだ。ここまでの記録打ち立てたのは、ほかにPsyの「カンナムスタイル」しかない。
04:45 am タイムズスクエアのスタジオに向かう。この時間を使ってTwitterを流し読みし、Facebookのトレンドトピックを確認する。車のなかで「シーユーアゲイン」も聴きながら。iPhoneはふたつ持っている。ひとつは仕事用で、もうひとつは人工衛星にもなるんじゃないかってくらい大きいやつ。
05:00 am スタジオに着いてバックオフィスに入るとシニアエグゼクティブプロデューサーのマイケル・コーンがすでにエンジン全開で働いている。番組の1時間目を担当しているスタッフたちがせわしなく稼働しているなか、なんとかディレクターのもとへ辿りついて2時間目の内容をザッと確認する。
2階部分のスタジオで生の観客を入れるという新しいセットを今日デビューさせることになっている。そのためロジスティックスやセキュリティの作業が増えているけれど、生の観客が番組の後半にもたらしてくれるエネルギーを考えるとその価値はある。
05:30 am この時間までにすでに2杯目のコーヒーを飲んでいる……のだけど、なんとコーヒーのポットが空っぽだった。デカフェまで空っぽ。朝の番組の制作現場で、これはレッドカードだ。
06:15 am 8時からの後半パートのオープニングの内容を確認する。ここでは番組のなかの魅力的なセグメントを予告する。
06:50 am GMAの「目覚まし電話」コーナーを担当しているソーシャルメディアのプロデューサーたちが何人か廊下を歩いて新しいアンカーであるエイミー・ローバックの控室に向かっている。そこではサラ・ヘインズが彼女の可愛い赤ちゃんの写真を人々に見せている。「目覚まし電話」コーナーの司会であるウィルが割って入って、サラに今日の「ポップニュース」の内容を尋ねる(彼女は腰の手術からまだ回復中のララの代わりに出演している)。
07:00 am 放送開始! 「GMA」の定番の音楽が流れると、いつも私はワクワクする。毎朝ここにいること、嘘じゃなく飽きることは無い。インスタグラムに投稿するための「舞台裏写真」をコントロールルームから撮影。
07:20 am 番組の最初のセグメントが終了。コマーシャル休憩のあいだ、私は「ポップニュース」のライターと最後の打ち合わせ。サラ・ヘインズとまた打ち合わせをするためにメイクルームに向かう。
07:50 am もうすぐ8時なのでコントロールルームの席につき、自分のヘッドセットを装着する。
07:59 am 8時からの放送開始のカウントダウン。セットにいるアンカーと確認を取りながら最初のセグメントについてロビン、ジョージ、マイケルと話す。
08:08 am 「ポップニュース」のコーナー。サラは「シーユーアゲイン」について話して、アンカーたちは一緒に歌う! ストラハンがタイミング良くウィズ・カリーファの誕生日お祝いコメントを述べる。TVならではの素晴らしい掛け合い。
08:30 am ついに生の観客をお披露目。観客はリアリティ番組「バチェラー(Bachelor)」のニック・ビアールからのバラを巡って競い合う。ニックは後で誰にバラを渡すか決めることになっている。そしてアンカーたちが最初のセグメントに突入する。番組はマサチューセッツで70年代の懐かしくも華やかな家を見せてくれる不動屋と生放送でつながる。
08:45 am 「ディールズ&スティールズ」コーナーの時間。週に1度の人気コーナーだ。プロデューサーが観客の何人かを使って、秋物ファッションをコーディネートするというもの。「GMA」の視聴者たちに出てもらうのは、私たちのお気に入りの要素となっている。
09:00 am 放送終了! なんとかまた終わらせた。
09:05 am 66丁目のオフィスに向かい、明日の番組準備をはじめる前に、5分間の休憩。
10:00 am 「GMA」オフィスで働く全員が、翌日のための企画提案をするストーリーミーティングに出席する。スタジオよりも、このオフィスの方がいろんな人と会う。1日にだいたい3つのシフトが組まれた24時間制のオペレーションになっている。
00:00 pm 「金曜イブ」ミーティングが終わったあと、私はマイケル・コーンとほか何人かのスタッフと一緒にセントラルパークに向かう。これはマイケルがはじめた、週に1回の「散歩」企画だ。1マイルほどの散歩に誰でも参加できる。軽いエクササイズになるし、頭を空っぽにさせる良い時間だ。
02:00 pm 番組の後半パートのチームが集合して、翌日の放送内容を確認する。多くは前もって計画されていたセグメントになっている。ジジ・ハディドとトミー・ヒルフィガーが明日番組に参加することになっているので、プロデューサーたちは興奮している。番組内で行う大規模なファッションショーとしては、これは「GMA」初だ。スタジオに観客がいることは、ここでも番組に貢献している。観客にはコレクション発表を観せるためにファッションブロガーたちも呼んだのだ。
03:00-05:00 pm 次から次へと連続してミーティング。ミーティングの中身はさまざま。たとえばABCニュースのプレジデントであるジェイムズ・ゴールドストンとの定例会議から、来週のジンジャー・ジーによる「ダンシング・ウィズ・ザ・スターズ」中継のプランニングといったものが含まれる。私の最後のミーティングが終わると、もうヘトヘトになっている。
06:00 pm 私のオフィスで、明日の8時半の生討論コーナーのトピックを2人のプロデューサーたちが吟味している。今週は皆、勤務時間が長くて、スタッフのひとりは、私のソファーで眠ってしまった。面白いのは、寝ていたその枕は「起きて素晴らしい仕事をしなさい」って書かれた、デザインだったってこと。
06:45 pm 1日の仕事は終わり、ディナーへと向かう。
08:30 pm 友人たちとのディナーから帰るときにはeメールで台本やセグメントごとのアップデートが届けられる。家に着くまでのタクシーでそれに目を通す。
10:00 pm 本当はもう寝てないといけないんだけれど、ダニエル・シルバの最新の本を一章だけ読みたいので無理して起きてる。
Jemma Brackebush(原文 / 訳:塚本 紺)