英経済誌「エコノミスト(The Economist)」のSnapchat向けエディションは、月に700万人の閲覧者を集める。それを担当しているルーシー・ロール氏は、「Snapchatに向けた秘伝のソースレシピは見つかっていないが、見つかったら退屈だと思う」と語る。今回は、同氏の典型的な1日を紹介しよう。
英経済誌「エコノミスト(The Economist)」は先日、Snapchatの「ディスカバー(Discover)」パートナーになってから1周年を迎えた。ニュース大手であるエコノミストは、若者向けソーシャルメディアであるSnapchatでは浮いた存在かもしれないが、同社によると、「グローバル化の敗者」やドラッグ撲滅キャンペーンといったシリアスなテーマに関する啓発的な内容で、月に700万人を超える閲覧者を集めているという。
Snapchat向けエディションを作っているのは、エコノミストでデジタル版のプロデューサーと編集者を長年務めているルーシー・ロール氏だ。「Snapchatに向けたエコノミスト秘伝のソースレシピは見つかっていないが、見つかっていたら退屈だろうと思う」と、同氏は語る。
今回は、ロール氏の典型的な1日を紹介しよう(軽く編集を加えている)。
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06:30 am 目を覚ましたら、メールチェックの衝動にあらがいつつ、代わりに天気を確認。それからランニングに出掛ける。(ニューヨーク市ブルックリンにある)プロスペクト公園はいつ来ても素晴らしいが、走っていると、気がつけば仕事とエディションのアイデアのことを考えていることが多い。
08:00 am 通勤中にメールを確認して、あまり頭を使わないでいいことを処理。「アクシオス(AXIOS)」のニュースレターを読み、Wi-Fiが許せばそれ以外の見出しもチェックする。ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)」の第1面とFOXを比較するのが面白い。
08:30 am エコノミストのSnapchatチームは、ロンドンと、ルーマニアのブカレストに拠点がある。ニューヨーク在住の私は、午前中の多くの時間を、ログオフ前のチームメンバーとオンラインで過ごす。今日は、1時間ほどかけてアニメーターとスナップの微調整を行い、それからSnapchatの副担当であるチャーリー・ウェルズと、彼が取り組んでいるeコマースのスクリプトについて話をした。デザイナーに連絡して、検討していた石炭に関するエディションは止めることにしたと伝え、代わりに取り組んでもらう内容について話し合う。
10:00 am エコノミスト副編集長のひとりで、デジタル戦略の原動力である、疲れを知らないトム・スタンデージと、週に1度の電話会議。トムは、エグゼクティブプロデューサーのような形で、Snapchatチームに深く関与している。話した内容は、(中国の習近平主席に関する)現在のエディションのパフォーマンス(まずまずだった)、プラスチック問題を取り上げる次エディションの最初3枚のスナップの構成の改善、そして、今年の残り期間のSnapchat部門のコンテンツ計画についてだ。
10:40 am 制作プロセスのボトルネックについて不満があるアニメーターたちと電話会議。改善を目指して、少し変えてみることで合意する。こうした電話会議は面倒ではあるが、部門の全員が、自分の意見がちゃんと届くと思ってもらうには欠かすことができない。
11:30 am チャーリーと、来週のエディションの動画を修正し、それからeコマースのスクリプトについてさらに話をする。スクリプト作りは、エディションの成功の中核だ。Snapchatのオーディエンスたちは、頭がよくて眼力がある。構成がきちんとしていないと報いを受けることになる。スクリプト作りでやることは、単に14枚のスナップのコピーを書くだけではない。幅広く読んだうえで、うちのオーディエンスに一番向いている、もっとも重要だと思うコンテンツをまとめる。
スナップはさまざまだ。シンプルな質問や主張だけを書き、見た人がスワイプして記事を読み進めたくなるようにしたものがある一方で、「トップのスナップだけ」のコンテンツもある。後者は多くの場合、スナップにたくさんのテキストを盛り込む。これは、テーマの入門編を、シェアしたりスクリーンショットしたりできるように意図したもの。デザインなどの視覚要素によってスナップがどう活気づくのかについては、常に考えている。
正午 エディションのパフォーマンスは、2週間ごとに検討する。特に、なにか1点に着目することが多い。今週はカバータイル、すなわち、ディスカバーのフロントページに表示する画像とテキストを取り上げた。画像とコピーの種類によるパフォーマンスの長期的な良し悪しを把握したい。
01:00 pm 食事は「アーバンスペース(Urbanspace)」で、ボウル入りの小エビとポーク。食べながらFT(フィナンシャル・タイムズ)紙を読む。
02:00-04:00 pm 夕方になると、チームの大半がオフラインだ。午前中に漏れていたメールへの対応を試みる。また、「グローバル化の敗者」に関するエディションのスクリプト作りに集中する。その後、アニメーターのひとりからレビューを頼まれているスナップのフィードバックを書く。要員に関する次の会議に向けて、メモをいくつか書く。
04:30 pm ほかのニュース機関の人とコーヒーを飲む。マラソンやフィリピン料理について語り、出版社がさまざまなプラットフォーム向けにコンテンツを改変しようとして直面する課題について話をする。
06:00 pm 帰宅して夕食を作る。それが私の瞑想法!
08:00 pm 進めているスクリプトにもう一度取り組んでから、チームにメールを送る。明日、私がオンラインになるまでにやってもらう内容を確認するためだ。翌日のスケジュールを見ながら、どの会議も準備ができていることを確認する。
10:00 pm すべてがうまくいった日は、本を持って寝床へ!
Max Willens (原文 / 訳:ガリレオ)