1年前、ダラス・モーニングニュースはモバイルアプリをリニューアル。グラフィカルで、操作しやすく、カスタマイズも可能なアプリに仕上げた。彼らのGoogleアナリティクスが示した自社データによると、この1年で2万7000から4万まで月間ユーザー数が増加したという。
数字としてはまだまだ小規模だが、増加幅としては非常に大きい。いまやアプリユーザーの60%が34歳以下となっており、これはデザインの変更前の23%と比べると、2倍以上に増えている。
何年にも渡って新聞社は、若い世代の「新聞離れ」を危惧してきた。そんななかでも、米テキサス州ダラス地区の地方新聞社、ダラス・モーニングニュース(The Dallas Morning News)は、特に強い危機感をもっている。
それが、エンタメ情報サイト「ガイドライブ(Guide Live)」とスポーツ情報サイト「スポーツデイ(SportsDay)」というスピンオフサイトのローンチにつながった。開設の目的は、ただ若者向けトピックを扱ったサイトをローンチすることではない。若者たちの日々のニュースソースの一部として、彼らの生活に食い込むことが大きな課題だった。中高年だけでなくミレニアル世代もすでに、Facebookを使ってニュースを得るようになってきているからだ。
1年前、ダラス・モーニングニュースはモバイルアプリをリニューアル。グラフィカルで、操作しやすく、カスタマイズも可能なアプリに仕上げた。彼らのGoogleアナリティクスが示した自社データによると、この1年で2万7000から4万まで月間ユーザー数が増加したという。数字としてはまだまだ小規模だが、増加幅としては非常に大きい。いまやアプリユーザーの60%が34歳以下となっており、これはデザインの変更前の23%と比べると、2倍以上に増えている。
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ユーザーがカスタマイズ可能なフィード
的を外した見立てもある
「とても古いアプリで、新聞そのもののようなデザインだった。基本的には自動化されたコンテンツのストリームでしかなく、2012年から2014年のあいだ、変更が加えられることは無かった」と、ダラス・モーニングニュースのデジタル責任者クリス・ウィリアムズ氏は語る。
読者数が増え、すべてダラス・モーニングニュースの思惑通り、というわけではない。新デザインのアプリの目玉とした機能「マイ・フィード」。これは42のトピックを組み合わせて、アラートやストーリー表示をカスタマイズできるものだったが、実際のアプリユーザーは、エディトリアルチームによって編成されたフロントページを好んでいることが判明した。ミレニアル世代はソーシャルフィードと同様に、ニュースフィードも完全にコントロールしたいはずという事前の仮説は、的を外していたのだ。
「コンテンツはそこら中に溢れていて、人々にはフィルターが必要になっている。ユーザーたちはソーシャルメディア上で目にする物をコントロールできることに、慣れきっていると思った。だから(自分たちのアプリも)ほとんどの人がそういう方法を望んでいると思ったのだ」と、ウィリアムズ氏。

エディターによってキュレーションされたフロント・ページ
手を止めてはいけない
アプリ利用の87%はスマートフォンとなっており、残りはタブレットとなっている。それはユーザーのアプリの使用法との関連が深いと考えられる。
「午前中と仕事から帰宅した後にタブレットを使い、日中はモバイルのデバイスを使う傾向にある。このことはこのアプリがニュースフィルターとして利用されているという、私の仮説を裏付ける結果となっている」と語るのは、アプリのデザイン変更のためにダラス・モーニングニュースが雇ったエージェンシー、コマース・ハウス(Commerce House)に所属するデジタルマーケティングプリンシパルのジョエル・ダラー氏だ。
こういった情報に基いて、モーニングニュースは、アプリにさらにデザイン変更を加える予定だという。それによってフロントページはさらに存在感を増し、表示されるストーリーの重要度が分かりやすく反映されることになっている。
「ここでの教訓は、何かが完了してしまうということはないということだ。ローンチしたからって、はい次、という具体に手を加えるのを止めてしまうことはあり得ない。データが予想していたものと違っている場合は、方向性を変えることを恐れてはいけないのだ」。
Lucia Moses(原文 / 訳:塚本 紺)
Photo from ThinkStock / Getty Images