「信頼に足るパブリッシャーは、まず データ を売らない」:位置データベンダー幹部の告白

広告主は、プログラマティック広告でかつてないほどデータプールを精査している。

匿名性を保証する代わりに本音を語ってもらうDIGIDAYの告白シリーズ。今回は、そうした企業が販売するものの大半が詐欺だと語る位置データベンダーの幹部に話を聞いた。

以下、インタビューの詳細だ。読みやすさを優先して、少し編集してある。

――広告における位置データの提供方法や利用方法に問題があるのはなぜ?

ユーザーは、一連の入札の流れで緯度・経度の情報が提供されるように、特定のアプリ内で位置情報の共有許可を与える必要がある。アプリを使用するなかで位置情報の共有ができるパブリッシャーは、ごく少数に限られる。そのなかで、アプリを開いたまま店舗に入る人はかなり少ないだろう。ウェブの場合、店舗に入るときに緯度・経度の情報を共有している人の数は無きに等しい。位置データベンダーが提供することが難しいことを考えると、こうしたデータの規模を拡大するのは非現実的だ。

――市場にある位置データのうち、どの程度が偽物か?

最近、あるエージェンシーネットワークのプログラマティック責任者と会った。入手できる最大80%以上の緯度・経度データが偽物だと確信しているので、入札のなかで位置データを認証するのを手助けしてほしいと頼まれた。データの提供元や、データに基づいて事業を構築しようとしているベンダーにパブリッシャーがすべてのデータを販売する理由について、立ち止まって考える者はこれまでいなかった。実際のところ、こうしたアドテクベンダーは、すでに保有している限られたデータを、競合するベンダーやほかの未知の情報源が保有するほかのデータセットで膨らませようとしている。信頼できる大半のパブリッシャーなら、自社コンテンツに対する売り上げの可能性が増すので、アドテクベンダーに売るよりも自社でデータを利用するだろう。

――データでうまくいくのか?

誰がパブリッシャーのサイトを見ながらスマートフォン片手に店に入るだろうか? 人々は、買い物しているときにそんな振る舞いはしない。それでも、広告を見たあとに店へ行く可能性が高い人々のデータセットを販売している位置データベンダーがいる。さらに、広告を見たあとで誰かが店を訪れたことを知りたい広告主の需要を満たすために、詐欺的なこうしたデータをエクスチェンジに投入している企業もある。

――GDPRのおかげで詐欺師を見つけるのはさらに容易になっているのか?

なっていない。だが、そうしたデータを以前購入していた企業は、モデルをうやむやにするのではなく疑問視する真の理由を得た。多くの企業は、広告掲載後の店舗訪問の測定に基づいて事業を構築できると考えていた。GDPR(General Data Protection Regulation:一般データ保護規則)の登場で、一部の企業は、その分野の事業や欧州での操業を打ち切った。これまでデータの共有や販売を行っていたアプリは、自社ビジネスを守るためにそうしたことを止めたため、位置データベンダーへの供給は断たれた。そのような開発者のほとんどは、GDPRとプライバシーに対応したデータの下流パートナーへの流れを管理する強力なプロセスを整備していなかったからだ。

――詐欺検知サービスについてはどうか?

偽データを見つけると広告バイヤーに約束するアドテク企業もある。そういったベンダーはたいてい、データ料金として、千ドル単位の費用で偽データを除去する。ビューアビリティ(可視性)や広告詐欺に起きたことと似ている。この問題の解決を目指す企業はあると確信しているが、疑問に思う必要がある。すでに金を支払ったデータの正当性を確認するために、なぜもっと金を支払いたいのか? 金融業界でこうしたことが起きていたら、巨額詐欺事件で逮捕された元NASDAQ会長バーナード・マドフ氏のポンジ・スキーム(出資金詐欺)のように、刑務所に送られる者がいただろう。詐欺を検知する企業は、詐欺行為に市場が金を支払わなければ、存在理由がなくなる。そしてもちろん、そうした企業が存在するのなら、問題を解決するよりも問題に目隠しをすることが重要になる。結局のところ、ビタミンよりもモルヒネのほうが売りやすいのと同じ原理だ。

Seb Joseph(原文 / 訳:ガリレオ)