コンデナスト(Condé Nast)は、ブランデッド動画の有効性を実証するため、市場調査会社ニューロインサイト(Neuro-Insight)と手を組み、記憶のエンコーディング(符号化)や感情の強度に与える投稿の影響を測定。ファッションや金融に関するスポンサード投稿と関わりを持った消費者200人を追跡した。
大手パブリッシャーのコンデナスト(Condé Nast)は、ニューロサイエンス(神経科学)による裏付けを得て、自社のスポンサード投稿が共感を呼んでいることを証明しようと懸命に取り組んでいる。
脳波活動を観察
YouTubeやFacebookで公開しているブランデッド動画の有効性を実証するため、メディア複合企業のコンデナストは、市場調査会社ニューロインサイト(Neuro-Insight)と手を組み、記憶のエンコーディング(符号化)や感情の強度に与える投稿の影響を測定。具体的には、脳波活動を観察する「定常状態トポグラフィー(SST)」を用い、ファッションや金融、美容、自動車に関するスポンサード投稿と関わりを持った消費者200人を追跡した。
追跡の結果、両プラットフォームでコンデナストの投稿に対する共感度が高いことが明らかになった。特に動画は、YouTubeの従来型プレロール広告より記憶のエンコーディングへの効果が60%高く、友人からのユーザー生成投稿など、Facebookの一般的なコンテンツよりエンゲージメントが17%高かった。
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コンデナストの最高エクスペリエンス責任者であるジョシュ・スティンチコム氏によると、この研究は同社の既存のデジタルコンテンツについてその有効性に確証を与え、正当化するのに役立ったが、最終的にブランドを軸に進化する方法について知る手がかりにもなるという。
「コンデナストのソーシャルフィードやYouTubeチャンネルはますます、生成されるすべてのコンテンツや記事などの主要な配信ポイントになりつつある。広告効果の多くは潜在意識に働きかけるものだ。人々が脳のなかで広告にどう反応しているのかを徹底的に調べ、微妙な意味合いまでもっと全体的につかみたかった」と、スティンチコム氏は語る。
潜在意識下の傾向
コンテナストの共感度が高いのは、ターゲティング広告により、特定タイプの消費者や読者にコンテンツを合わせるのがいっそう容易になったのも一因と考えられる。たとえば、ファッションスタイルに関するチュートリアルを求めてYouTubeを利用する消費者に合わせて、ファッション中心の動画を提供するのが、これまでよりも容易になった。ソーシャル広告コンサルティング会社ストライクソーシャル(Strike Social)の最近の調査によると、ファッションはYouTubeでの広告視聴率が、すべての業界のなかで教育関係のコンテンツに次いで2番目に高かった。
「ファッションは、動画コンテンツの制作で非常にうまくいっている分野だ。クリエイティブが魅力的で、人気がある有名人やルックスのいいモデルなどを起用したコンテンツが多い。そういったものは、視聴率に関する限り常に成功する」とストライクソーシャルのメディアおよびエージェンシー業務担当バイスプレジデントであるジェイソン・ネスビット氏は指摘する。
コンデナストで調査、分析、事業開発を担当するエグゼクティブバイスプレジデント、ステファニー・フライド氏によると、今回の調査は、読者の潜在意識下の傾向を調べる重要な取り組みであり、同社の広告の影響力を強調するのに役立つという。
「意見は主観的で、人々の個人的な受け止め方が関係するが、ニューロサイエンスは、あらゆるテーマに関してもっと客観的で一貫性がある。人が口にはしたがらないこともあるが、ニューロサイエンスはそうしたことも拾い上げる。脳を調べる嘘発見器のようなものだ」とフライド氏は言う。
リアルタイム性が強み
ネスビット氏は、デジタル時代におけるスポンサードコンテンツの強みはブランドで、コンデナストのようなパブリッシャーは、瞬時に分析を受け取り、キャンペーンをテストすることができる、と付け加えた。
「従来型のメディアでは、特定の視聴者層のおかげで高い視聴率を稼いでいるテレビ局やラジオ局を選ぶことになり、ずっと後にならないと結果がわからず、測定が難しい。それと異なり、こうしたデータがリアルタイムで手に入り、入手した膨大なデータからこのようなインサイトを得られるのは、非常にありがたいことだ」と、ネスビット氏は述べた。
Bethany Biron(原文 / 訳:ガリレオ)
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