傘下に「ヴォーグ」「GQ」「ワイアード」など10の雑誌を擁しているコンデナスト社。今回、その英法人ではデジタル展開での収益化見直しのため、モバイル広告とネイティブアドの爆発的な成長に合わせて、全メディアのCMS(コンテンツ管理システム)の改革を始めた。
この8カ月に及ぶ改革では、迅速なデジタルプロダクトの運用とネイティブアドの増強を目指すという。デスクトップのホームページへのトラフィックは4%まで落ち込んでいる一方、モバイルからのアクセスは全体の約半分にまで膨れ上がっているからだ。また、Googleアナリティクスのデータでは、7月から9月の「Vogue.co.uk」のユニークビジターは225万人。うち、58%となる130万人はモバイルからのアクセスだった。
これを受け、「GQ」を筆頭に、傘下の10雑誌すべてが統一のCMS(コンテンツ管理システム)で運用されることになる。新しいCMSでのサービス開始後には、無限スクロールが実装され、フィードベースのナビゲーションや、従来よりも多くのネイティブアドを掲載していく予定だ。記事のロード時間に関しても、プレロード機能を採用して向上させるという。米DIGIDAYは、ハリス氏にそうした改革の概要について語ってもらった。
傘下に「ヴォーグ」「GQ」「ワイアード」など10の雑誌を擁しているコンデナスト社。今回、その英法人ではデジタル展開での収益化見直しのため、モバイル広告とネイティブアドの爆発的な成長に合わせて、全メディアにおけるCMS(コンテンツ管理システム)の改革を始めた。この8カ月に及ぶ試みでは、迅速なデジタルプロダクトの運用と、ネイティブアドの増強を目指しているという。
「コンデナストはデジタルパブリッシャーとして、もっとも強い影響力をもっているとはいえない。紙媒体としてのブランドの影響力が、いまだあるからだ。これは諸刃の剣と言える」と、コンデナスト英国法人で、デジタルディレクターを務めるウィル・ハリス氏は語った。
こうした断絶ともいえる状況に、変化が訪れようとしている。ハリス氏の調査によると、他社と同様、デスクトップのホームページへのトラフィックは、オーディエンス全体の4%まで減少した。一方、モバイルからのアクセスは全体の約半分にまで膨れ上がっているという。また、Googleアナリティクスのデータでは、2015年7月から9月の「Vogue.co.uk」のユニークビジターは225万人。うち、58%となる130万人はモバイルからのアクセスだったという。
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今後、「GQ」を筆頭に、傘下の10メディアすべてが統一のCMSで運用されることになる。新しいCMSでのサービス開始後は、無限スクロールが実装され、フィードベースのナビゲーションや、従来よりも多くのネイティブアドを掲載していく予定だ。記事のロード時間に関しても、プレロード機能を採用して、向上させるという。
米DIGIDAYは、ハリス氏にそうした改革の概要について語ってもらった。
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改革に着手するにあたり、なにが難しかったですか?
かつての私は、10もあるサイトそれぞれのコードベースに携わっていたが、とてもじゃないが、そのすべてに充分な力を注ぐことはできませんでした。しかし、良いサイトを作るためには、傘下の10誌すべてを共通システムに統合することの重要性は認識していた。そのきっかけは、あきらかにモバイルの成長が起因しています。
それだけモバイルが、中心的な役割を担ってきたのですか?
Webサイトをデザインする際、デスクトップサイトに似た造りにしたいと、つい思ってしまいがちです。しかし、イギリスでは、デスクトップのホームページの読者は4%以下。YouTubeやTwitterから我々をフォローしてくれるオーディエンスがほとんどです。そうしたオーディエンスのTwitterフィードこそが、フォロワーにとってのホームページといえる。我々が投稿したすべての記事は、彼らのフィードで読まれているのです。
Facebook「Instant Articles」には、どんな取り組みをしていますか?
「Instant Article」については、とても興奮しています。我々としては、オーディエンスに自社サイトへ来てもらった方が、もっとも収益性が高い。しかし、「Instant Article」のようなプラットフォームを活用しないということは、雑誌を買ってもらうかわりに、読者にわざわざオフィスへ足を運ばせるようなものです。そこで、Facebookの「Instant Article」は、雑誌の記事を配信するアウトレットのようなものだと考えています。このサービスの活用は、問題解決の理想的なソリューションでないと考える人もいるかもしれませんが、「Instant Article」を無視することは出来ません。
YouTubeと比べ、Facebook動画をどう捉えていますか?
Facebookに直接ビデオ配信し始めて、まだ数カ月です。YouTubeと同様に利用しているが、興味深いことにFacebookでの視聴数は、YouTubeで得てきた視聴数を抜きつつあります。それもFacebookがビデオのプロモーションに力を入れているからでしょう。ビデオをFacebookのプレイヤーにアップロードしたら、Facebook側でニュースフィードに組み込んでくれるのです。Facebookのアルゴリズムはビデオを優先的にニュースフィード上に掲載してくれるようになっている。なぜなら、Facebookはビデオ視聴数を稼ぎたいからです。こういうわけで、ビデオを直接Facebookプレイヤーに投稿すると、YouTubeのビデオをエンベッドしてFacebookに投稿する場合よりも、4倍のトラフィックを得られるのです。
ソーシャルからの全体的なトラフィックはどのくらいですか?
今年の初めから、ソーシャルメディアからの流入は検索からの流入を上回るようになりました。なぜそのようなことが起きたのか考えた結果、答えはモバイルだということが分かりました。それからは、ジャーナリスト、広告主、クライアントには、この5年はPCと検索が主役であったが、次の5年はSNSとモバイルが主役になると啓蒙しています。SNSでの最適化に時間をかけることで、リファラーのアクセス数では、Facebookが最大になっているのです。
Jessica Davies(原文 / 訳:南如水)
Image from 米DIGIDAY