「ヴォーグ・ビジネス」の開始で、 B2B を狙うコンデナスト

ヴォーグ(Vogue)、GQ、ワイアード(Wired)などの雑誌ブランドを有するコンデナスト・インターナショナル(Condé Nast International)は、ヴォーグ・ビジネス(Vogue Business)を公式にローンチし、ファッションやラグジュアリー業界の専門家に向けた直接的なアプローチを取りはじめている。

ヴォーグ・ビジネスは、ヴォーグとは別の事業形態を取り、週に2回ニュースレターを発行している。また、SNSでの自身のプロフィールや、ニュースレターの記事がアーカイブされたウェブサイトもある。ヴォーグ・ビジネスには21名のスタッフからなるチームがあり、そのうちの6名は編集を担当する。まずは英語からはじめているが、2019年末までには、さらにふたつの言語に対応する予定だという。

そのニュースレターは、分析記事や解釈的なジャーナリズム、独自のストーリーや可視化されたデータなどを取り上げているが、ファッション業界紙では一般的な、ニュース速報や役員人事などの記事には触れていない。

規模ではなくコミュニティ

コンデナスト・インターナショナルは、2018年の6月からヴォーグ・ビジネスの開発に取り組んでいる。それ以来、ニュースレターの購読者数は7000人に達し、その内容によってコンテンツの精査を行っている。データ主導で作成されたコンテンツは、ファッション業界でのテクノロジーの役割についてや、AIが創造プロセスをどのように変えていくか、そして中国を超えたアジア全域の話題などを取り扱っており、読者は毎日でもなく週1回でもない、この週に2回送られるニュースレターの形式を気に入ったようだ。これによって、トレンドを追う編集者や、イノベーションを追う編集者を採用するきっかけとなった。同社によると、直近のニュースレターの開封率は60%だという。

2019年1月時点でヴォーグ・ビジネスの閲覧は無料だが、2019年の末にかけてサブスクリプションモデルが採用される可能性もある。だが、その最終的な目標は、業界に密接した商品やサービスを打ち出すために、信頼性や認知度を構築するところにある。

「これはただのコンテンツではない。コミュニティだ」と語るのは、コンデナストの社長、ウルフギャング・ブラウ氏だ。「アジャイルなフレームワークを念頭に開発を続けてきたが、その成果や急速な成長とエンゲージメントには驚かされた。これを終わらせるという考えは持っていない。私は、出版に関しては大規模なスケールを追い求めているわけではない。広告が原因で、スケールを重視するマインドセットが蔓延している。大事なのは業界内での影響と信頼性、そして確固たる関係性だ」。

コンデナストの優位性

ここ数年のあいだで、コンデナスト・インターナショナルは数多くの変革を行ってきた。同社によると、ヴォーグ・ビジネスが中央集権化してビジネスに注力しているチームによって全世界に向けてローンチされた最初の商品になるという。そのチームは、コンデナスト・インターナショナルの本社があるロンドンに拠点を置く予定だ。

ヴォーグがロンドンで国際的なチームを構築し、そのほかのチームに加わる過程で、ヴォーグには間もなく25の異なる版全体で800人もの編集スタッフが在籍し、ヴォーグ・ビジネスのアイデアに勢いをつける手助けを行っていくことが明らかになった。

「我々は、複数の市場の視点で話題を見ることができるという強みがある。それは我々にしかできないことだ。ある国を精査し、そこになぜ国際的な関連性があるかを掘り下げることができる」と、ブラウ氏。「我々はシンクタンクであり、専門家ネットワークであり、そして世界最大の人類の知識基盤のようなものだ」。

中央集権化する必要性

ヴォーグはすでにビジネスの専門家たちにも読まれており、国レベルで、ファッションウィークのイベント、研究やホワイトペーパーなどを運用する地方政府相手のコンサルティングのサービスを提供。ロンドンやパリで行われるファッションカンファレンスを開催したり、ロンドンやスペインでファッション関連の学校を運営したりしているが、これらを世界レベルで一堂に集約し、ファッションの専門家に直接語りかけることが、まだできていなかった。

「ヴォーグは、B2CとB2Bのはざまで非常に高い利益をキープできているブランドの素晴らしい例だ」と、エンダーズ・アナリシス(Enders Analysis)のCEO、ダグラス・マカビー氏は語る。「循環サイクルの規模はこれまでも大きくはなかったが、広告主にとっては彼らのターゲットのバイヤーは凄まじく魅力的だ。彼らはもちろん富裕層の顧客と繋がっているが、それだけでなく、お互いに、そして業界全体としても、創造性豊かに力強くメッセージをやりとりしている」。

2019年1月に、ロンドンのコンデナスト・インターナショナル本社で行われた英DIGIDAYのイベントの期間中、ブラウ氏は、ブランドが持つ地域の力を薄めることなく、中央集権化する必要性について語った。「ブランドは、スケールよりも大事な存在になる。我々は11の国、8つの異なる言語からなる59のウェブサイトを、20カ月間で移行しようとしている。これまでにこんなことを成し遂げたものはいないが、これをヴォーグとはじめなければならない」。

独占コンテンツがカギ

アナリストたちは、ヴォーグブランドが強い影響力と存続性があることに確信を持っている。ヴォーグ・ビジネスの成功は、トレンド情報企業WGSNのような競争相手にはない独占的なコンテンツを持っているかどうかにかかっている。

「これはコスト削減戦略というよりも、収益促進戦略だ。そうポジティブに考えている」と語るのは、独立系メディアアナリスト、アレックス・デグルート氏だ。「成功は、市場のセグメント分析が済んでいるかどうか、そして、市場がその提供物に対して受容的であるかどうかにかかっている」。

Lucinda Southern(原文 / 訳:Conyac
Image: courtesy of Condé Nast International.