「コンデナストの動画は月間10億ビューでも、まだ上っ面」 :コンデナストエンターテインメントのオレン・カッツェフ氏

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コンデナスト(Condé Nast)はヴォーグ(Vogue)、ニューヨーカー(The New Yorker)、ヴァニティフェア(Vanity Fair)など、多くの雑誌を発行する老舗出版社だが、現在、新CEO(最高経営責任者)のロジャー・リンチ氏が「21世紀のメディアカンパニー」と呼ぶところの組織をめざし、事業再編に取り組んでいる。

この取り組みの全体像はいまだ明らかでないが、確実な側面がひとつある。動画とフランチャイズがこのビジョンの一部であることは間違いない。コンデナストエンターテインメント(Condé Nast Entertainment)はすでに年間4000本以上の動画を制作し、月間ビューは平均で10億を超える(カッツェフ氏によると、その大半はYouTube経由という)。目下の課題は、この大量のビューをフランチャイズ化することだ。

今回、Digiday Podcastが行ったインタビュー取材で、コンデナストエンターテインメントのオレン・カッツェフ氏は「活字以外でのより永続的なIP(知的財産)の収益化では、まだ大きな成果を出していない」と述べている。「それはさして驚くべきことではなく、誰かを責めるべきことでもない。あまりにも長い年月、雑誌は最重要のIPだった。メディア業界では多くの統合が進んでいる。目的はさまざまだが、そのひとつはIPを獲得する機会、あるいは長尺のコンテンツでIPを収益化する機会だ。ディズニー(Disney)もHBO Max(HBOマックス)もNetflix(ネットフリックス)も、今年、長尺の動画に1000億ドル(約10.9兆円)を投じているが、我々の取り組みはまだその上っ面をひっかいた程度にすぎない」。

インタビューの内容を分かりやすくまとめて以下に紹介する。

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Facebookは正直しんどい

「Facebookでの実験は継続する。だが、重点的に投資するとまでは言わない。投資利益や収益性が真実伸びるプラットフォームであれば多額の予算を投じるが、Facebookはまだその域に達していない。このことについては彼らとも正直に話している。Facebookがオーディエンスの存在を示してくれるなら、そしておそらく存在するとは思うのだが、Facebookへの投資をぜひとも増やしたい。テストでは、コンテンツに数百万ビューが集まることもあるのだが、このビューをマネタイズできないなら、それはカロリーこそ高いが栄養価の低い食品のようなものだ」。

YouTubeは結構イケてる

「皆、あらゆるプラットフォームを調べ、ROIの機会を調べる。YouTube向けのコンテンツに投資していた時期は、それがもっとも収益化しやすいプラットフォームだった。今年、我々はグローバルカンパニーを宣言した。現在では、コンテンツをグローバルに制作する機会があり、米国外でこのコンテンツを収益化する機会がある。我々がYouTubeで獲得するビューの多くも米国以外で獲得している。ただし、YouTubeがすべてではない。我々の長期的な戦略がすべてYouTube頼みだとは言わない。それでも、他社が成功できないところでコンデナストが成功しているとしたら、その理由の一部は、YouTubeがなかなかに高い水準で収益化する機会を提供しているからだ。機会を求めてビューを追いかけ、あるいはFacebookを追いかけたものがあったし、なかにはそのせいで痛い目をみるものもあった」。

動画フランチャイズで成功してるのは?

「まっさきに思いついた会社を挙げるなら、それはコンプレックス(Complex)だ。彼らの一番のヒット作は『ホットワン(Hot Ones)』だが、笑える番組で、とにかくおもしろい。いまでは誰もが見たがるフランチャイズ番組だ。皆、この番組の形式を知っているし、いまではすっかりおなじみだし、屋外広告も出している。最後に聞いた話だと、激辛ソースの販売で少なくとも1000万ドル(約10.9億円)を稼いだというからすごい。しかし納得のいく話ではある。そうだろう? なにしろeコマースにぴったりの番組なのだから。eコマースが自然な形で動画プロセス全体の一部となっており、それは評価に値すると思う」。

Pierre Bienaimé(原文 / 訳:英じゅんこ)