「 漫画アプリ の広告マネタイズ、成功の鍵は顧客体験 」:NHN comico 浜野美穂子氏 × AppLovin サニー・バシン氏

いまや群雄割拠の漫画アプリ業界。生き残りの鍵は、目の前の利益ではなく顧客体験を優先する姿勢にあるようだ。

リリースから7年、NHN comicoが運営する漫画アプリのcomico(コミコ)は、カラーかつ縦スクロールという、スマートフォンに最適化されたUIを早期から導入し、ファンを増やしてきた。現在、同サービスの世界累計ダウンロード数は3500万件。これまでに発表された作品には、映画やアニメ化されたものも少なくない。そんなcomicoのマネタイズの柱は、コンテンツ課金と月額課金、そして広告だ。直近では、アプリ内広告の収益増に積極的に取り組んでいるという。

「漫画アプリはUI・UXが非常に重要だ。そのため、広告の収益増を狙う際も、単価の向上やインプレッション欠損を減らすような運用や体制構築が重要になる」。こう語るのは、NHN comicoのサービス開発室に所属する浜野美穂子氏。同氏は、comicoのサービス開始時にはマーケティング担当として活躍し、現在は広告事業に立ち上げから携わってきた人物だ。そんな浜野氏が、現在アプリ内広告収益増の一翼を担う存在として期待しているのが、アプリ内ビディング機能を搭載したメディエーションツール MAX(マックス)

同サービスを提供するAppLovinのManager, Business Developmentのサニー・バシン氏は「MAXは、無闇に広告枠やアドネットワークを増やすことなく、効率的に収益増加をサポートできる」と語る。同氏はこれまで約3年にわたり、comicoの広告事業をサポートしてきたという。本企画では、浜野氏とバシン氏の対談から、comicoの成長戦略とアプリ内広告の最新トレンドを探る。

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サニー・バシン氏(以下、バシン):comicoさんのサービス成長の原動力は何だとお考えでしょう?

浜野美穂子氏(以下、浜野):いくつかありますが、ひとつはスマートフォンに最適化された、カラーで縦スクロールのUIを、はやくから採用したことが挙げられると思います。また、ユーザー増の起爆剤となったのが、2014〜2015年に出稿したテレビCMです。これは、アイドルグループの『ももいろクローバーZ』を起用した、かなり大規模なプロモーションでした。

バシン:『傷だらけの悪魔』や『ReLIFE(リライフ)』など、映画化やアニメ化されたオリジナル漫画作品が数多くありますよね。

浜野:はい。私たちが提供しているコンテンツを大きく分けると、漫画とノベルに分けられます。それぞれ、「公式作品」と呼ばれる、comicoが契約した作家さんによるオリジナル作品と、ユーザーがcomicoの投稿機能を利用して発表する「チャレンジ作品」があります。また、これに加えて「単行本」という、出版社さんから提供いただく作品も扱っています。

漫画もノベルもそうですが、私たちはカラーかつ縦スクロールのUIをスタートしたのがはやかった。なので、公式作品に関していうと、弊社が抱えている作家さんや編集スタッフに、多くのノウハウが蓄積されている。それが、顧客体験を考えたコンテンツ作りの肝になり、成長に貢献しているのだと考えています。なお、現在社内には編集スタッフが大体10〜12人いて、およそ100人の作家さんを担当する体制でコンテンツを製作しています。

『傷だらけの悪魔』の冒頭

『傷だらけの悪魔』の冒頭

  

カラー・縦スクロールは、スマホの小さな画面で読むのに適している。

カラー・縦スクロールは、スマホの小さな画面で読むのに適している。

comicoのマネタイズ戦略

バシン:そんなcomicoさんですが、コンテンツ課金と広告、そして2019年にスタートした月額課金プランという3つの柱でマネタイズを行なっていますね。

浜野:はい。現在はコンテンツ課金の比率がもっとも高く、それに次いで広告、月額課金プランという形になります。

バシン:社内では、今後はここを強化していこうといった共通認識はありますか?

浜野:広告への期待は高まっています。なぜなら、広告はそもそも利益率が高い。「もっと広告を強化して欲しい」という声は、社内でもよく聞こえてきますね。御社に日々ご協力いただいているのも、そういった背景があります。

バシン:なるほど。comicoさんは2016年から広告事業をスタートしていますが、現在の広告配信の仕方に至るまで、どのような試行錯誤があったのでしょうか?

浜野:広告事業をスタートしたばかりのときは、当然私たちにはノウハウがありませんでした。そこで、AppLovinさんのようなパートナー企業の方にお会いして、トレンドを教えてもらいました。御社とお付き合いするようになったのも、その頃ですよね。サニーさんからの一本の営業メールからはじまったのを覚えています。

実際サニーさんにお会いしてみると、提案の仕方がいわゆる営業トークという形ではなく、実際にこうした成功事例があるので、試してはどうでしょうかと、非常にファクトベースにトレンドを教えていただきました。しかも、アドバイスに従うと結果が付いてきたので、当時から信頼を寄せています。

「とにかく人と会って、トレンドやノウハウを吸収した」と語る浜野氏。

「とにかく人と会って、トレンドやノウハウを吸収した」と語る浜野氏。

優先すべきは顧客体験

バシン:ありがとうございます。ファクトベースが大事なのはもちろん、クライアント企業さんのなかには、広告配信によってUI・UXを損なうことを懸念する方も少なくありません。ご提案させていただく際は、その辺を強く意識しています。

浜野:弊社でも、広告でのマネタイズをスタートする際は、後ろ向きな声が数多く聞こえてきました。また、広告は基本的に、外部への誘導です。つまり、アプリからの離脱に繋がってしまう。継続率をとても大事にしているなかで、ほかのアプリやサービスを紹介する出口をつくるのはどうなのか、という議論がありました。ただ、まずはやってみないと分からないということで、開発チームと二人三脚でスタートし、広告事業はいまやcomicoの収益の要になっています。

バシン:comicoさんのアプリでは、約15秒〜30秒程度の動画リワード広告を視聴する代わりに、アプリ内で使用可能なポイントを獲得できるのですが、こちらが良い具合に制限されていて、もっと広告を視聴したいと思わせてくれます。また、通常「無料レンタル券」を消費しないと読めない漫画が、広告動画を視聴すれば読むことができるところに、親切さというか、comicoさんの優しさを感じますね。

加えて、その掲出頻度に関しても、UI・UXを損なわない形で調整できている。よくアプリ広告でありがちな、常に動いているネイティブ動画がスクロールするたびに掲出される、といったことがありません。

浜野:やはり顧客体験を阻害しない広告配信は、社内でもかなり重要視しています。枠をひたすら増やしていくというような、顧客体験の質を損なう可能性のある方策ではなく、どうやったら単価を向上できるのか、インプレッション欠損のない状況で広告配信を行えるかを、日々考えています。特に動画リワード広告は、御社が強みとされている領域ですので、AppLovinさんのアドネットワークを配信したり、サニーさんにアドバイスを参考に精度を高めています。

バシン:光栄です。

浜野:御社のメディエーションツール、MAXを導入する前、弊社ではSSPさんだけではなく、自社のアドサーバーを使って広告配信を行なっていました。それについてもサニーさんにはかなりご相談させていただきましたね。

バシン:もともと、SSPはワンSDKで複数のネットワークを配信できる点が強みです。しかし、その分SSP側の取り分が発生する。それをうまくcomicoさんの収益に還元するための方策として、自社サーバーで配信することをお勧めしました。当時から、comicoさんはAppLovinのアドネットワークを配信されてましたが、我々はその収益化だけでなく、アプリの包括的な成長にコミットできるよう、サポートしていきたいと考えています。

MAX導入までとその成果

浜野:現在はMAXも非常に重宝しています。2019年12月に導入してから、ARPDAU(DAUあたりの収益)が平均で11%ほど向上しました。

バシン:MAXは、アプリ内ビディングという、ひとつのインプレッションに対して競り合って、できるだけ高い広告を配信するという最新機能を、国内では早期に搭載していました。しかし、現状はまだ馴染みがないお客さまが多い。なのでcomicoさんにも、丁寧な提案を心掛けました。

comicoさんの場合、新型コロナ禍による出稿減にもあまり影響を受けず、ARPDAUが向上し、その後も伸び率が維持されている。これは、MAXのアプリ内ビディングがうまく機能していて、落ち込んでいるネットワークがあっても、きちんとほかのネットワークで補い合うことができているからだと思います。

浜野:インプレッションの向上も見られました。この辺りは、ご提案の際にもお伝えいただいたレイテンシーの改善であったり、その辺が効いているのかなと思いますが、いかがでしょう?

バシン:そうですね。MAXはアプリ内ビッディングを前提としてデザインされたツールです。現状、コミコさん含め導入いただいている各社の収益のうち、約40〜60%がアプリ内ビッディングからのものになっています。

アプリ内ビッディングの割合が多くなると、ウォーターフォール側をシンプルにでき、その結果レイテンシーが削減できます。レイテンシーの削減によって、タイムアウトによるインプレッションロスが減り、ユーザーに対して、より多くのインプレッションを届けることが可能になります。

MAXを導入すれば、アドネットワークを追加で増やしても、リクエストに時間がかかり過ぎて、広告がすぐに表示されないということはほとんどありません。これまで損失していた機会の収益化に、貢献できていると思います。

浜野:なるほど。加えて、ABテストがしやすいというのも、MAXの魅力のひとつだと思います。私たちも、新しいアドネットワークを追加する際、レイテンシーやアプリとアドネットワークの持っている案件の相性を見極めるために活用しています。リスクをかなり軽減した状態で実施できるのが良いですよね。

バシン:ありがとうございます。MAXのABテスト機能をを活用すれば、自動的にユーザーを半分に分け、ふたつの広告配信設定を同時にテストすることが可能です。また、他社のサービスでは、新しいプレースメントを発行しなければならないケースが多く、運用が煩雑になりやすい。ですがMAXの場合、管理画面のボタンひとつでそれも完了しますし、すぐにABテストが実施できる。

かつ、結果もリアルタイムで確認可能です。他社サービスだと、設定からテスト実施、結果確認、設定の反映までが1回のテストで1週間程度かかるところを、MAXの場合はボリュームがあるアプリであれば数時間で1回のテストサイクルを回せます。

また、ABテストの運用を我々が担当するというのも、他社との大きな違いです。なので、御社にこのネットワークでABテストをしてみませんか? というような提案を行う際には、弊社でABテストを設定し、結果だけを浜野さんにお伝えする形でなるべく運用負荷がかからず、収益を改善し続けれるようにサポートしています。

「MAXを活用すれば、効率的にABテストを実行できる」と強調するバシン氏。

「MAXを活用すれば、効率的にABテストを実行できる」と強調するバシン氏。

オリジナル作品で差別化

浜野:結果を確認する際も、アドバンスドレポートが非常に見やすいのでありがたいです。シンプルですが、見たいツボが押さえられている。わざわざABテストの結果を社内で共有するための資料も作る必要がない。

バシン:貴重なお言葉ありがとうございます。それでは最後に、comicoさんの今後の展開についてお伺いできますか? 現在、御社はグローバル展開を積極的に行なっていますが、新たに進出を予定されている地域などありますか?

浜野:グローバルな動きとしては、現在US版のリリースを予定しています。なお、このUS版にはMAXを導入済みです。グローバルですと、ほかに台湾でも展開しているのですが、日本、US、台湾となるとオペレーションが複雑化する可能性があるので、そこをMAXでいかにシンプルにするかを考えています。

バシン:今後が楽しみですね。国内の漫画アプリ市場についてはいかがでしょう? 生き残りのポイントなどあれば、是非お伺いしたいと思います。

浜野:漫画アプリは、すでに大手出版社さんなど、数多くのプレイヤーが参入している分野なので、これ以上競合が増えること考えにくいかなと思っています。とはいえ、競合が多いのは事実ですので、そんななか差別化を行うには、やはりそれぞれのアプリ独自のオリジナル作品が鍵になっていくと考えています。

   

Hamanosan▼浜野 美穂子 
NHN comico サービス開発室

 

2008年NHN Japan株式会社(現LINE株式会社)入社。 PCオンラインサービスの「ハンゲーム」やアプリゲームのプロモーションを担当。 comico立ち上げからマーケティングを担当し、現在は広告事業をメイン業務として推進する。

   

   

Sunnysan▼サニー・バシン
AppLovin Manager, Business Development

 

新卒時、スタートアップスタジオのBEENOSにて、国内外のスタートアップへの投資を経験。退職後はヘルスケアアプリで起業してダイエットアプリを運営。その後、AppLovinに入社してからアプリのマネタイズとマーケティング面でクライアントのビジネス拡大を支援。

   

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Written by DIGIDAY Brand STUDIO