ナイジェリアはアフリカ諸国のなかでもとりわけ人口が多く、平均年齢の若さでもトップクラスだ。そこで、米ニューステレビ局CNNの国際向けチャンネル「CNNインターナショナル」は、アフリカにおける取り組みの焦点をナイジェリアに定め、同国最大の都市ラゴスに初のデジタル支局を開設した。
支局の運営を指揮するのは、ナイジェリア生まれのステファニー・バサリ氏だ。同氏は6週間前、アフリカのスーパーバイジング・プロデューサーに任命され、CNNの編集方針を推進している。いっぽうCNNは、現地のオーディエンスに向けたコンテンツの制作と、アフリカ大陸全体への訴求に注力している。

ステファニー・バサリ氏
ナイジェリアはアフリカ諸国のなかでもとりわけ人口が多く、平均年齢の若さでもトップクラスだ。そこで、米ニューステレビ局CNNの国際向けチャンネル「CNNインターナショナル」は、アフリカにおける取り組みの焦点をナイジェリアに定め、同国最大の都市ラゴスに初のデジタル支局を開設した。
支局の運営を指揮するのは、ナイジェリア生まれのステファニー・バサリ氏だ。同氏は6週間前、アフリカのスーパーバイジング・プロデューサーに任命され、CNNの編集方針を推進している。いっぽうCNNは、現地のオーディエンスに向けたコンテンツの制作と、アフリカ大陸全体への訴求に注力している。
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ソーシャル面では、CNNは3本のテレビ番組「インサイド・アフリカ(Inside Africa)」「アフリカの声(African Voices)」「マーケットプレイス・アフリカ(Marketplace Africa)」それぞれに対応していた3つのFacebookページをすでに廃止。単一のFacebookページ「CNNアフリカ」を開設した。新設されたページは数週間で25万フォロワーを獲得し、8月第3週も1万人が加わった。
英語によるFacebookページをひとつだけ作ってアフリカ全54カ国に訴求するというやり方は、同大陸で数千言語が話されていることを考えれば合理的でない印象を受けるかもしれない。しかし、大半の国で第1言語や第2言語として英語が使われていることから、バサリ氏は障害だとは考えていない。また、フランス語も多くの人々に使われているので、ゆくゆくはコンテンツをフランス語にも拡大したいと考えている。
ニュースは普遍的な内容で
バサリ氏がニュースに求めているのは、ニッチになりすぎず、グローバルな反響を得られるコンテンツだ。「ニュースは普遍的な内容にする必要がある。なぜなら、アフリカに関する報道は、否定的になりやすいからだ。確かに、ナイジェリアなどの国々は問題を抱えているが、国民は若くて活力があり、世界中の人々と同じように意欲と関心を持っている」と語る。
2014年にナイジェリア人の女子生徒276人が誘拐されたとき、この事件は全世界で報じられ、「#bringbackourgirls」(少女たちを取り戻す)というハッシュタグが急上昇した。事件があった4月、バサリ氏と、CNNの同僚記者であるニマ・エルバジア氏は、誘拐された生徒たちの生存を証明する動画を入手してスクープした。その報道は、両氏が問題の動画を生徒の親たちにはじめて見せたときの様子を伝えていた。
この報道は国際的に大きな注目を集めたが、両氏はさらにFacebookのライブ動画で、この報道に関する質問に答えた。ナイジェリアで撮影されたこのライブ動画は6万6000回再生され、2万5000件のコメントを集めた。
モバイル視聴が一般的なアフリカ
ほかにも、CNNナイジェリア発で、世界的に注目を集めて成功したニュースがある。こちらは明るい話題を伝える報道だ。正式トレーニングを受けることなくYouTube動画だけで独学した、リオ五輪やり投げの銀メダリストを取り上げた「ジュリアス・イェゴ選手はどうやってYouTubeでオリンピックメダリストとなったか」という記事だ。
バサリ氏は、編集戦略に必要な情報を収集するため、ソーシャルプラットフォーム上で人気の話題を詳細に観察している。Twitterでは、2015年にハッシュタグ「#IfAfricaWasABar(もしアフリカが1軒のバーだったなら)」で交わされた会話など、アフリカ人のユーモア感覚とコミュニティ意識を浮き彫りにする話題がトレンドになっている。バサリ氏によると、この2つのセンスはCNNが活用したいと考えているものだという。
アフリカではメディアがもっぱらモバイルで視聴されていることもあって、Facebookやインスタグラム、Twitter向けの、短くて勢いのあるコンテンツの制作が中心となる。バサリ氏によると、アフリカにおける「CNNデジタル」へのトラフィックは、70%近くがモバイルのウェブとアプリに由来。また、全ページビューも70%がモバイルからのものだという。「アフリカ大陸は固定回線とブロードバンドをスキップした。同様に、デスクトップも迂回している」とバサリ氏は指摘する。
直接スタッフからSNS共有
Facebookのライブ動画もまた、バサリ氏がナイジェリアから制作することが増えるツールになるだろう。「ポケモンGO」の大人気がナイジェリアにも及んだことから、バサリ氏はラゴス近辺でプレイしていた2人組に密着し、ライブ動画でストリーミング配信した。しかし、回線問題が配信の妨げになり、この動画の再生回数はそれほど伸びていない。この問題は、Facebookのライブ動画を多数配信するうえで障害になる可能性がある。
CNNインターナショナルは当面の計画として、フリーランサーのネットワークを構築しようとしているが、自社の編集リソース活用を拡大することも可能だ。後者の理想的な形は、現場に出ている特派員やテレビプロデューサーたちから、インスタグラム向けに画像や動画を提供してもらうというものだ。
「我々は、インスタグラムに関しては恵まれている。というのも、アフリカ中心のプライムタイムの大きな番組が5本あり、芸術や文化、ビジネスやテクノロジーを取り上げているからだ」と、バサリ氏は語る。「そこで戦略は、CNNのテレビプロデューサーたちに、驚くようなものに出会ったら画像を送ってもらうというものだ。私自身、ラゴスの魚市場で今まで見たこともない巨大なエビの動画を撮影した。これは4000回再生された」。
Jessica Davies (原文 / 訳:ガリレオ)
Photo Credit: Twitter / CNN Africa