CNNは11月2日、CNNアンダースコアード(CNN Underscored)というオンラインシッピングガイドのサイトを公開した。収益源を求めてEC事業に参入する新たなパブリッシャーとなる。CNNの名前は使うものの、運用体制やサイトのロゴなどは区別し、EC事業としての独自性を出していく考えだ。
米ニュース専門放送局CNNは、11月2日、「CNNアンダースコアード(CNN Underscored)」というオンラインシッピングガイドのサイトを公開した。ほかのパブリッシャーにならって、eコマース事業に参入する新たなプレイヤーだ。CNN.com/underscoredサイトでは、ライフスタイル、テクノロジー、ヘルスケア、旅行のカテゴリーでおすすめの製品やサービスを紹介。多くのパブリッシャーのECサイトと同様に、読者がショッピングサイトのリンクをクリックし、商品を購入するとCNNに収益が入るモデルだ。
11月2日のローンチ時点で、約20のポストが用意されていた。今後は、2人のフルタイムライターが毎月40件の投稿を制作する予定だ。投稿数としては、1日に何度もeコマースに関連する投稿をするビジネスインサイダー(Business Insider)と、商品レビューを徹底的に調査したうえで不定期に記事を上げるガジェット推薦サイトのワイヤカッター(The Wirecutter)の中間あたりに位置する。
ブランド価値を利用
「掲載するアイテムは、調査や研究結果、消費者のランキングやレビューなどに基づいて選ぶ」と、CNNデジタルワールドワイド(CNN Digital Worldwide)事業開発部門のバイスプレジデントであるクリスティ・ハルフォード氏は話す。たとえば、ピュアグリーン(Pure Green)マットレス[価格:1199ドル(約13万円)]は、アメリカで代表的な消費財の比較評価レポートであるコンシューマーレポート(Consumer Report)でトップの評価を得た商品だ。また、Amazonの売れ筋ランキングトップにランクインしたスリープマスター(Sleep Master)のアイマスク[価格:25.90ドル(約2900円)]は、同サイトで消費者から何千件もの星4つの評価を得ている。
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報道機関各社はデジタル広告での収益化に苦戦し、こぞってeコマース事業に新たな収益源を求めている。ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)は、1年前にワイヤカッターを3000万ドル(約31億円)で買収することを発表し、ニュースパブリッシャーとしての先陣を切ったと言える。
CNNは、当初CNNとはまったく関連性のない新しい名称で立ち上げることを検討していたが、最終的にはCNNというブランド知名度の高さを利用したいと考えたという。ハルフォード氏は、CNNブランドとのコネクションを持ちたいと同時に、報道とは区別したいという想いがあると語る。
報道とは完全独立
CNNブランドを利用はするものの、運用体制やサイトの外観は、CNNからは独立したものだ。CNNアンダースコアードのロゴは白黒基調にし、CNNのロゴとして知られる赤と白のものとは区別する。サイトのトップには、CNNアンダースコアードがCNN編集部からは独立しており、また売上の一部をCNNが得ることも明記されている。
さらに、運用体制も報道サイドのオペーレーショントとは切り離している。現在はまだ一部兼業だが、今後専属スタッフを配置し、ハルフォード氏率いるネットワーク事業開発チームの管轄に置く予定だ。ハルフォード氏は、CNNアンダースコアードの内容が、ニュース記事として取り上げられることは原則ないだろうと述べる。
また、SNSでも報道サイドとは異なるハンドル名とアカウントを使用する予定だ。ときには報道側のSNSで宣伝されることもあるだろうが、編集記事とは別のラベル付けにする。
「もっとも重要なのはCNNブランド。もしユーザーが報道かeコマースか混乱することがあれば、我々は読者を失うことになる。それでは、ブランドを傷付けることにしかならない」。
LUCIA MOSES(原文 / 訳:SI Japan)
Image courtesy of CNN Underscored Facebook page