ビジネス動画ネットのチェダー(Cheddar)は2018年に、米国と世界のニュースを主に扱うふたつめのチャンネルを立ち上げることを計画している。今年の年商予想は1100万ドル(約12億円)というチェダーは、2018年以降のさらなる拡大を目指し、このチャンネルをはじめとするさまざまな展開を計画中だ。
ビジネス動画ネットのチェダー(Cheddar)は2018年に、米国と世界のニュースを主に扱うふたつめのチャンネルを立ち上げることを計画している。今年の年商予想は1100万ドル(約12億円)というチェダーは、2018年以降のさらなる拡大を目指し、このチャンネルをはじめとするさまざまな展開を計画中だ。
新チャンネルの名前は「チェダー・ビッグ・ニュース」。CNNの「ヘッドライン・ニュース」に倣ってその日のトップニュースを中心に扱うが、「地方ニュースのスタイルと姿勢」で報じていくと、CEOのジョン・スタインバーグ氏は語る。つまりチェダー・ビッグ・ニュースでは、米国大統領などの大きな出来事に関する最新ニュースに加えて、「ヘラジカが脱走か?」といったニュースや天気情報も伝える、と同氏は説明した。
「トランプ氏の動向は伝えるが、それについて5時間に渡ってパネリストが議論するようなことはしない」と、スタインバーグ氏。「知っておく必要があることをすべて伝えるが、そのうえで少し息抜きもあるようなニュースをやりたい」。
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2017年の売上は好調
計画では、チェダー・ビッグ・ニュースは2018年第1四半期末までにローンチする。スタインバーグ氏によると、受託放送契約の候補についてはまだ話し合い中で、配信パートナーとの独占的な限定放送の形を取り入れる可能性もあるという。ライブ放送は毎日午前6時から午後10時までで、残りの時間帯は、再放送などの出来合いの番組で埋める。
スタインバーグ氏は以前、チェダーの2017年売上は広告関連を中心に1000万ドル(約11億円)になりそうだと語っていたが、現在は、最大で1100万ドルだとしている。
チェダーは、ネイティブ広告の継続的なスポンサー契約を販売しており、スタインバーグ氏によると、スポンサー契約の価格は1カ月あたり10万ドル(約1100万円)からだ。レベルと価格帯が上がると、スポンサーの特別番組をチェダーが制作する。トレードステーション(TradeStation)の「ザ・ロング・ア・ザ・ンドショート(The Long and the Short)」や、アメリカン・エキスプレスの「ディス・チェンジス・シングス(This Changes Things)」のような番組だ。
チェダーによると、スポンサー契約数は現在、5~6件ほど。ほかに、ダンキンドーナツ(Dunkin’ Donuts)、HP、フィデリティ・インベストメンツ(Fidelity Investments)などがクライアントに名を連ねている。
スキニーバンドルに注力
スキニーバンドル(視聴できる番組数を減らして安く提供するプラン)のストリーミングも、チェダーが力を入れている主要分野だ。すでにディッシュ・ネットワーク(Dish Network)の「スリングTV(Sling TV)」のベースパッケージで配信しており、2018年も積極的な配信拡大を計画している。
「来年の中旬までに、米国で利用できるあらゆるOTTバンドルに加わるつもりだ」と、スタインバーグ氏は述べる。「現時点でほぼすべての契約にサインしており、残りについても(ディストリビューターと)交渉を進めている)」。
測定可能なすべてのプラットフォームを合わせると、チェダーの月間視聴数は現在、2億件あるとスタインバーグ氏は述べる。チェダーやライバルであるCNBCが視聴測定に使っている、マーケティングと測定の会社、コージェント・レポーツ(Cogent Reports)による最近の調査によると、8月は、Facebook、Twitter、スリングTV、プルートTV(Pluto TV)などすべてのプラットフォームを合わせると、1時間あたり20万~30万人が視聴していた。
スタインバーグ氏によれば、チェダーの配信関係の売上は以前から、スポンサー契約とインテグレーションによるものだけだ。スキニーバンドルの基本チャネルに入れる場合も、チェダーはキャリッジ料を課さない。代わりに、チャンネルの広告インベントリー(在庫)の50%を取っている。
「どのみち、いまは大半のキャリッジ料がゼロに向かっている」と、スタインバーグ氏は述べる。「ディストリビューターは、こうしたチャネルに料金を支払うことにうんざりしているので、これには絶大な効果がある」。
楽観的な将来見通し
チェダーは90人の従業員がおり、毎月の営業経費は100万ドル(約1億1000万円)。ニューヨーク証券取引所のフロアのほか、マンハッタンのフラットアイアン・ビルディング、ニューヨーク州ハンプトンズ、ロサンゼルスと、4カ所にスタジオがある。さらに先日、コワーキングスペースのウィーワーク(WeWork)と提携して、ロサンゼルスとワシントンD.C.にスタジオを開設した。「AXIOS(アクシオス)」によると、両社はこれから1年で、5~10カ所にさらにスタジオを開設するという。
チェダーはこれまでに、AT&T、Amazon、コムキャスト・ベンチャーズ(Comcast Ventures)などから総額3200万ドル(約35億円)を調達している。スタインバーグ氏によると、現在、現金とインボイスを合わせて2700万ドル(約30億円)が銀行にある。
スタインバーグ氏は会社の将来見通しについて非常に楽観的で、年商を数年で1億ドル(約110億円)に増やすことを目論んでいる。
「たくさんのプラットフォームがコンテンツのために小切手を切るようになってきており、我々はそのすべてに声をかけている。ブランドが強くなってきていることを私が注目しているのはそのためだ」と、スタインバーグ氏は述べる。「我々は、コンテンツのライセンス供与と販売のビジネスをやっていくが、これはViceと同じだ。コンテンツを入手しようというすべてのプラットフォームに、うちと契約を結びにきてほしい。現在のネットワークよりも安くしたいと考えている」。
Sahil Patel (原文 / 訳:ガリレオ)