Netflixの成長戦略は、新たな段階へ:要点まとめ

Netflixは巨大だ。そして同社はついに、どれだけ巨大かを示す(会員数以外の)いくつかの数値を公表した。しかし、Netflixの第4四半期決算報告からは、数字以外のものも読み取れる。同社が投資家に成長の見込みをどう考えてほしいのかや、ライバルのストリーミングサービスとどう戦うつもりなのか。そして、そもそもなぜ数値を公表したのかも。

重要な数値

  • 1億3900万:有料会員数。2019年は全世界で2900万人が新たに加入する見込み。
  • 10%:同社の推定によれば、Netflixは米国のスクリーン視聴時間の約10%を占める。
  • 8000万世帯:サンドラ・ブロック主演のオリジナルホラー映画『バード・ボックス(Bird Box)』を公開から4週間以内に70%以上再生する会員アカウントの数。

成長の新たな指標?

Netflixが答えるべき最大の疑問は、いずれ全世界の会員数を2億人、3億人、あるいはそれ以上にまで伸ばせるのかどうかだ。同社はこれまでのところ好調で、四半期決算のたびにウォール街の予測を上回る会員数の増加をみせてきた。しかし、もし新規会員登録数が伸び悩みはじめたら、別の形で成長を示す必要がある。

今回Netflixが新たに公開したデータには、そういった意味があるのだ。同社によれば、Netflixは現在、米国のテレビ視聴時間の10%を占める。この数値は以下のように算出された。同社によると、米国のテレビスクリーンでNetflixがストリーミング視聴される時間は、平均で1日に1億時間。対して、米国のテレビスクリーン視聴時間は、1日あたり推定約10億時間だ(1億2000万世帯が2台のテレビで4時間ずつ視聴、これにホテル、バー、各種公共スペースでの視聴を加算)。

Netflixが米国のテレビスクリーン視聴時間のわずか10%を占めるにすぎないとしたら、言うまでもなく、テレビスクリーンへの番組配信大手として、成長の余地は大いにある。Netflixの米国における今後の会員増加と、同社がどれだけユーザーの視聴時間を強調するか、両者の関係に注目だ。

ライバルは……フォートナイト?

株主への書簡のなかで、NetflixのCEOリード・ヘースティングス氏は、「我々はHBOよりも(シューティングゲームの)フォートナイト(Fortnite)と競合し、敗れた」と述べた。これは冴えた広報戦略だ。Netflixを他のテレビネットワークと比較するのはやめて、別形態のメディアと競合するひとつの独立のメディアとして考えよう、というメッセージが込められている。ヘースティングス氏は過去に、Netflixの最大のライバルは別のネットワークではなく睡眠だ、とも語っている。

こうした姿勢は、Netflixにいくつもの恩恵をもたらす。戦略的には、自社をテレビネットワーク以上の何かと位置付けることができる。また、迫りくるライバルにどう対抗するかといった質問をはねつけるのにも役立つ(同じ書簡でヘースティングス氏は、「我々はDisney+やAmazonなどではなく、会員の利用体験をどう向上できるかに注目している」とも述べている)。さらに、前のめりなコンテンツ戦略の長期的な持続可能性について、見通しを述べることも先送りにできる(とはいえ、利用料を値上げしておいて損はないだろう)。Netflixが人々の時間を勝ち取ろうとしているのは確かだが、これに関しては従来のテレビネットワークや映画館、テレビゲームも同じことだ。ヘースティングス氏がNetflixの競争相手として名指ししようがしまいが関係ない。

ディズニーが映画やテレビ番組を引き揚げる? 問題ない。

ディズニー、ワーナーメディア(WarnerMedia)、NBCユニバーサル(NBCUniversal)といったメディア大手が独自の動画ストリーミングサービス開始に向けて動いているなか、業界が注目するのは、これらの巨大企業がNetflixへの映画やテレビ番組のライセンシングをどうするかだ(そのなかには、『ジ・オフィス[The Office]』や『フレンズ[Friends]』など、現在Netflixで人気を博している作品も含まれる)。

ディズニーはすでに、現在のライセンス契約が終了した時点で、マーベル作品や『スター・ウォーズ(StarWars)』シリーズをNetflixから引き揚げる予定だとしている。一方で、ディズニーは最近、1億ドル(約109億円)のライセンス料と引き換えに、『フレンズ』を今年いっぱい非独占的にNetflixに残す契約にも合意した。

Netflixは、競争の激化に対する懸念はないとしている。同社はすでに大量のオリジナル番組を制作しており、それらは有期ライセンス契約の他社作品を上回るパフォーマンスを見せているというのが、その理由だ。

「たとえば、我々が台本なしのリアリティショーのジャンルでオリジナル作品を制作しはじめたのは、わずか2年前だ。しかし現在、『KONMARI~人生がときめく片づけの魔法~』などのNetflixオリジナル番組が、Netflixにあるリアリティショージャンル全体の過半数を占めるまでになった。この間、リアリティショージャンル全体の視聴時間も大幅に増加している」と、ヘースティングス氏はいう。「制作会社やネットワークにライセンス販売の意思があるなら、我々は喜んで他社制作の番組に市場の最高値をつける。だが、他社が独自サービスで作品を独占配信するなら、我々は質の高いオリジナルコンテンツで、会員を満足させるまでだ」。

(ここで注意すべきは、Netflixのライブラリーに他社ライセンスのリアリティショーがどれだけ存在しているのかが不明瞭なことだ。これにより、Netflixの公表する視聴データは、オリジナル作品に偏っている可能性がある。とはいえ、ヘースティングス氏の主張はおおむね事実を反映している)

Netflixが視聴データを公表する理由

Netflixによれば、サンドラ・ブロック主演のホラー映画『バード・ボックス』を公開から4週間以内に70%以上再生する会員は8000万世帯にのぼる。加えて、『YOU-君がすべて-』(当初はテレビネットワークのライフタイム[Lifetime]で放送予定だったが、Netflixが著作権を獲得)と『セックス・エデュケーション[Sex Education]』も、公開から4週間以内に4000万世帯に視聴される見込みだ(ここでのNetflixの視聴の定義は、会員世帯またはアカウントが1エピソードの70%以上を視聴すること)。

こうした数値は大したものだが、独自に検証するのは困難だ。だが、Netflixは気にしない。同社がこうしたデータを公表する主な理由は、監督、俳優、プロデューサーといったクリエーターたちに、Netflixで膨大なオーディエンスが獲得できると知らせることだからだ。要するに、ハリウッドへの波及効果を見込んでいるのだ。

Sahil Patel(原文 / 訳:ガリレオ)