[ DIGIDAY+ 限定記事 ]ニュースパブリッシャーは、もっと長期にわたって価値を提供し続けられる「エバーグリーン」コンテンツに投資しつつあるという。米DIGIDAYが2月に行った調査では、調査対象となったニュースパブリッシャーの幹部のうち68%が、2019年にはもっと多くのエバーグリーンコンテンツを制作する意向だと回答した。
[ DIGIDAY+ 限定記事 ]ニュースパブリッシャーの運営は容易ではない。コンテンツは制作費用が高くついたり、マネタイズが困難だったりする場合もある。ニュースのサイクルがかつてないほど速くなるなかで、コンテンツの寿命が数時間や数分だけのことも多い。
そうした問題の埋め合わせをしようとして、ニュースパブリッシャーは、代わりに、もっと長期にわたって価値を提供し続けられる「エバーグリーン」コンテンツに投資しつつあるという。検索やソーシャルチャンネルから、もっと着実なトラフィックの流れを引きつけ、広告主の要求をもっとよく満たすことができれば、と期待してのことだ。
米DIGIDAYが2月に行った調査では、調査対象となったニュースパブリッシャーの幹部のうち68%が、2019年にはもっと多くのエバーグリーンコンテンツを制作する意向だと回答した。
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エバーグリーンの魅力
エバーグリーンコンテンツは、必ずしもニュースパブリッシャーがもっとも得意とすることやもっとも知識があることではないが、独自の魅力がある。ニュース速報はすぐに多くのビューを獲得できるが、無価値になるのも速い。寿命が長いコンテンツは、繰り返しのソーシャル配信と、当然ながら検索クエリによく適している。
だが、長期的に魅力があるコンテンツを制作するからといって、ニュースパブリッシャーが方向転換してニュース離れする計画であるわけではない。それよりも、エバーグリーンコンテンツを増やせば、トラフィックが徐々に増え、予測がつきにくいニュースの取材を強化できると期待している。制作するエバーグリーンコンテンツを増やす計画だと回答したニュースパブリッシャーのうち79%は、2019年に編集記事全体をまだ増やす見込みだと述べた。
パブリッシャーから見て、エバーグリーンコンテンツには別の魅力もある。広告主にとって、より好都合なことが多いのだ。ブランドセーフティの面で懸念が根強く残り、広告主はニュースでデリケートな問題や軋轢を生む問題を完全に避けたいという高まる欲求を表明しており、パブリッシャーは現実的なニュースコンテンツのマネタイズが従来よりも困難になりつつあると述べている。アドバイヤー自身、顧客がますます、メディアプランでニュースサイトを完全に抜くよう求めていると報告している。DIGIDAYの調査では、43%のメディアバイヤーが、ニュース関連コンテンツの隣に広告を掲載するのを避けていることがわかった。
コマース収益にも好影響
プラットフォーム担当責任者のエレン・スチュワード氏によると、LGBTサイトのピンクニュース(PinkNews)は、よりロングテール型コンテンツの制作をすることで、単にプログラマティックに販売するだけの場合よりも、より積極的に計画し、潜在的な広告主と深い関係を築くことができるのに気づいたという。「エバーグリーン特集の予定表を持って広告主のところに行くことができる。そこから、そのどれかについて提携したり、もっとクリエイティブなソリューションで協働したりしたいか尋ねることができる」。
コマースで収益を得ようと努めるそうしたパブリッシャーにとって、エバーグリーンコンテンツは複数の目的に役立ちうる。「ガイド」と製品レビューを購入することは、オーディエンスとコマースによる収益を生み出しながら、場合によってはそのプロセスで広告収益への依存度を下げるのに効果的だとわかる可能性がある。ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)やインサイダー(INSIDER)、ニューヨーク・マガジン(New York Magazine)のような大手ニュースパブリッシャーはいずれも最近、それぞれワイヤカッター(The Wirecutter)、インサイダーピックス(Insider Picks)、ストラテジスト(The Strategist)とともに、エバーグリーンコンテンツを利用したアフィリエイトコマースに進出してきた。
2018年秋に米DIGIDAYがパブリッシャーの収益を調べたところ、35%のパブリッシャーが現在、主にアフィリエイトリンクを通じてeコマース収益を上げていることがわかった。また、eコマースから収益を上げているパブリッシャーのうち62%は、過去1年間にそうした収益が増えたと回答した。
異なるアプローチにも
ほかのパブリッシャーは、エバーグリーンコンテンツは現実的なニュースよりも頻繁に再浮上する可能性があると述べた。「特定の教訓を浮き彫りにし、ニュースとなった出来事に結びついたエバーグリーンコンテンツや見出しを追加すると、記事の差別化に役立った」と語るのは、インク(Inc.)とファストカンパニー(Fast Company)の親会社であるマンスエトベンチャーズ(Mansueto Ventures)のデジタル成長担当バイスプレジデントを務めるアリソン・ファッス氏だ。多くのパブリッシャーが同じ話について報じているので、目立つのが難しい場合もある。異なるアプローチを採ることで、インクとファストカンパニーはまだ速報を報じる一方で、速報からもっと価値を引き出すことができる、とファッス氏は語った。
Mark Weiss(原文 / 訳:ガリレオ)