英経済紙「フィナンシャル・タイムズ(Financial Times:FT)」は、図表やグラフィックの意外な発表の場を見つけた。インスタグラムだ。1年前、FTのインスタグラムアカウントのフォロワー数は4万人だった。現在、その数は28万6000人を超え、さらに1日に数千人単位で増え続けていると、FTは述べている。
英経済紙「フィナンシャル・タイムズ(Financial Times:FT)」は、図表やグラフィックの意外な発表の場を見つけた。インスタグラムだ。
1年前、FTのインスタグラムアカウントのフォロワー数は4万人だった。現在、その数は28万6000人を超え、さらに1日に数千人単位で増え続けていると、FTは述べている。
「我々にとって重要な課題は、単にほかのパブリッシャーと同じことをして参入するのではなく、独自の声とアイデンティティーを示すことだ」と、FTのソーシャルメディアジャーナリスト、ジェイク・グローバム氏は語る。同氏は、多くのパブリッシャーが同じニュース通信社から画像を入手していると指摘した。「だからこそ我々は、米国債と英国債のパフォーマンス動向を示すグラフのような、インスタグラムに必ずしもなじまないものを投稿するのだ」。
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1日に1~4件の画像を投稿
たとえば、10月20日から21日にかけて、FTはインスタグラムにグラフ2点とグラフィック1点を投稿した。新規株式公開(IPO)以来の最高値に達したマイクロソフト(Microsoft)の株価に関する投稿は、インスタグラムでこの日もっとも多くの「いいね!」1400件を獲得。また、歴代の米大統領選に討論会が及ぼした影響に関するグラフと、火星探査機「スキャパレリ(Schiaparelli)」のミッションの経緯を説明するインフォグラフィックも投稿した。これらは、紙面から転載したグラフや、ソーシャルメディア専用の制作物などさまざまで、背景を黒にするなど、配色が変更されている。
インスタグラムはその用途の広さを証明した。マイケル・ブルームバーグ氏が大統領選に立候補すると発表したときのようなニュース速報にも使われる。同様に、インスタグラム専用に制作された記事、たとえばロンドン金融地区周辺の人々(デリのオーナー、ニューススタンドを営む夫婦、教師、仕立職人など)に関する記事にも有効だ。
グローバム氏は、ロンドンのソーシャルメディアスタッフ3人と連携し、通常であれば1日に1~4件の画像を投稿する。以前の投稿ペースははるかに散発的だった。
さまざまなスタイルの投稿
FTはまた、インスタグラムによく合う典型的な画像も活用している。毎日、紙面の写真ダイアリーから転載投稿しており、たとえばオーロラの画像には「いいね」が2000件集まった。
英国のEU離脱(ブレグジット)の是非を問う国民投票と、離脱の実施方法に関する英国政府の最近の発表が、英国経済の信頼感に与えた影響を測定するにはどんな方法がベストか? このグラフは最良のガイドになるかもしれない。ここで比較されているのは、米国の投資家が米国と英国の長期国債をそれぞれ購入していたら得ていた利子の総額だ(英国国債が青、米国国債が赤)。長期国債は、長期的な経済力に大きく左右される。さらに詳しい記事はこちらを参照してほしい。
インスタグラムはトラフィックを争うものではないが、FTはインスタグラムのプロフィールを定期的に更新し、宣伝したいプロジェクトへのリンクを差し替えている。現在のリンク先は、米大統領選挙の予測となっている。過去のリンクには、英国の年金に関する記事や、米国選挙の世論調査に関する記事などがあった。
「ストーリーズ」の完了率は50%
これまでにFTが作ったインスタグラムの「ストーリーズ」は14本で、静止画像やスライドが中心だが、いまは字幕つき動画クリップの活用も増えている。ビットコイン、ブロックチェーン、利率に関する議論、米大統領選の討論会の予告とハイライトなどに関するストーリーズを実施してきた。インスタグラムには重いテーマだが、10本あまりの動画からなるストーリーズが、平均の完了率50%と、FTのほかのソーシャル動画に比べて高い完了率になっている。
「ほかのソーシャル動画には、何に関する動画なのかがわかるリード画像がある。インスタグラムのストーリーズは、ブランドのロゴが見えるだけだ」と、グローバム氏は語る。「大統領選討論会の予告のストーリーでは、最初の動画から2本目への落差が非常に大きかった。みな選挙にうんざりしていたに違いない」。
Lucinda Southern (原文 / 訳:ガリレオ)
Images: courtesy of the FT, via Instagram.