スポーツ動画配信「スポーツHQ」に注力する、CBSの狙い

CBSの製作部門、CBSスポーツ(CBS Sports)が、24時間のストリーミングチャンネル「CBS スポーツHQ(CBS Sports HQ)」に力を入れている。2018年のスーパーボウルに合わせてストリーミングを開始し、コネチカット州にスタジオも新設した。

2月に始動したCBS スポーツHQは、コンピューター、モバイル端末、コネクテッドTVで視聴できる、広告付きの無料ストリーミングチャンネルだ。CBSにとって、ふたつ目の無料ストリーミングチャンネルで、ひとつ目は4年前に立ち上げられたニュースチャンネル「CBSN」だ(2018年秋、みっつ目のチャンネル「ETライブ[ET Live]」も始動した)。スポーツHQは、スポーツニュースと分析に特化している。CBSスポーツは、NFLやカレッジフットボールの放映権を持つが、スポーツイベントや試合のライブ配信は行わない。CBSNと同様、ケーブルテレビの契約を解除したオーディエンス、OTT(オーバーザトップ)環境で長尺番組を見ることが多いオーディエンスに、ニュース番組のブランドを提供することが狙いだ。

CBSスポーツは10月、コネチカット州スタンフォードに全長2500フィート(約762メートル)の製作スタジオを新設。フロリダ州フォートローダーデールの施設に次ぐ、スポーツHQ専用スタジオだ。

「CBSにとって大きな投資であり、大きな事業だ」と、CBSスポーツデジタル(CBS Sports Digital)のエグゼクティブバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー、ジェフ・ガーチュラ氏は話す。「現在、スタンフォードとフォートローダーデールの2カ所で日常業務を行っている。チャンネルの規模を拡大し、主要イベントを大々的に報じる助けになるはずだ」。

スーパーボウルも配信

CBSが2月に放映しているスーパーボウルも主要イベントのひとつ。CBSスポーツはアトランタにクルーを送り込み、スポーツHQのライブ番組やオンデマンド番組を製作する予定だ。スポーツHQでは討論や「ホットテイク」の代わりに、より深い分析やデータの比較を重視する。

「スーパーボウルに向けて、アトランタの現場から幅広い配信を行う予定だ」と、ガーチュラ氏は話す。「我々がスーパーボウルの権利を持っている理由のひとつは、新しいフランチャイズや商品を構築することで、これもその一環だ。また、スーパーボウルのライブ配信も予定しているため、(ライブ配信の)オーディエンスをスポーツHQに呼び込む方法を考えなければならない」。

スポーツHQは現在、1日平均10時間のライブ番組を配信している。ガーチュラ氏は1日当たりのオーディエンス数を明かしていないものの、オーディエンスの増加ペースは、姉妹チャンネルCBSNより速いと述べている。CBSNは4年目の2018年、1カ月のストリーミング回数が100万に到達した。ガーチュラ氏によれば、スポーツHQのオーディエンスの50%はモバイル端末でコンテンツを見ており、試合前、試合後のウィンドウを開くのが一般的だという。視聴時間がもっとも長いのは、やはりコネクテッドTVで、ユーザーは1回平均33分近くをスポーツHQで過ごしている。

スポーツHQの利点

ガーチュラ氏は収益も明かしていないが、広告主はスポーツHQに強い関心を寄せていると述べている。CBSスポーツの従来型テレビ広告、デジタル広告のインベントリー(在庫)とパッケージ化されているのが大きい。

スポーツHQの利点は、コスト効率が良いことだと、ガーチュラ氏は話す。そうは言っても、CBSスポーツによると、スポーツHQはフロリダとコネチカットのスタジオでストリーミングチャンネルの番組制作に専念しており、日々番組に関する重要なオペレーションを続けているという。

しかも、OTTのオーディエンスは増加しており、広告付き無料ストリーミングの利用も増えている。そのため、スポーツHQにはスポーツニュースチャンネルとしての地位を築くチャンスがある。

「CBSには先行者利益があり、『Netflix(ネットフリックス)独占』のSVOD体験とニュース、スポーツ、セレブリティーニュースを同時に求めているオーディエンスを獲得できる」と、TV(R)EVの共同創業者アラン・ウォルク氏は分析する。「もしそうした人々の人気サイトになったら、彼らは好調で、有利な立場にあるということだ」。

チャンネル切り替えのように

スポーツHQは、CBSが所有、運営するOTTチャンネルネットワークの一部として存在する。ユーザーはスポーツHQ独自のサイトやアプリから直接アクセスできるほか、CBSオールアクセス(CBS All Access)のサブスクリプションストリーミングサービスにも含まれている。オールアクセスのプランに加入すれば、CBSの地元局による生放送(スポーツ中継を含む)、「スタートレック:ディスカバリー(Star Trek: Discovery)」、近日公開の「トワイライト・ゾーン(Twilight Zone)」リメイク版といった有名なオリジナル番組、CBSのオンデマンドテレビ番組を視聴できる。

CBSニュースデジタル(CBS News Digital)のエグゼクティブバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー、クリスティー・タナー氏によれば、CBSが想定しているのは、オールアクセスのプランに加入し、さまざまなチャンネルの番組を見続けるユーザーだという。

「我々はストリーミングを切り替えるユーザーを視野に入れている。フットボールの試合のようなライブ番組を見たあと、CBSNでニュースをチェックするユーザーだ」と、タナー氏は話す。「オーディエンスがチャンネルを切り替えられるエコシステムを構築することで、我々の戦略は一段高いレベルに上がる。チャンネルを切り替えるというのは古い表現だが、我々はそのような見方をしている」。

Sahil Patel(原文 / 訳:ガリレオ)