インフルエンサーの偽証、カンヌでも厳しい意見

インフルエンサーに対するバックラッシュは、フランスでも起きている。

カンヌライオンズの初日から数日のあいだに、インフルエンサーやインフルエンサーマーケティングに対する厳しい言葉が最高マーケティング責任者たちから浴びせられた。

ユニリーバの決意

最初に口火を切ったのが、ユニリーバ(Unilever)の最高マーケティング責任者のキース・ウィード氏だ。彼は6月18日に、ユニリーバはフォロワーをお金で購入するようなインフルエンサーは起用しないと宣言した。そして、ユニリーバのブランド群は、ボットなどを使った偽のフォロワー獲得といった偽証行為を働いているインフルエンサーたちを、その起用リストから根絶するため積極的に取り締まるとも述べた。

ウィード氏はまた、こういった詐欺行為を根絶すると確約するベンダーとの関係を優先するとも宣言している。

さらにウィード氏は、世界広告主連盟、インスタグラム(Instagram)、そしてエデルマン(Edelman)の最高責任者であるリチャード・エデルマン氏を招集したミーティングを開催し、インフルエンサー業界に透明性をもたらすためのプロジェクトに取り組むという。

「我々のデジタルエコシステムやさらに広範な社会における信頼を再構築する必要があると、私は2月に述べた。信頼性と透明性をインフルエンサー分野において増すことが、それを達成する方法のひとつだ。責任あるコンテンツ、責任あるプラットフォーム、そして責任あるインフラストラクチャーを通して、これに対処する必要がある」と、ウィード氏は言う。

再編成がトレンド

HPのメディア部門グローバル責任者であるダン・サルツマン氏は、ウィード氏が述べている方法論と同意している。HPもゲーミングビジネスにおいてインフルエンサーを起用。そして、インフルエンサーに対するバックラッシュは不可避であったと、彼は語る。「マーケティングの各カテゴリーが、順番に審判の日を通過している。3年前であればインフルエンサーマーケティングはスケールという面で成長していた。いまでは批判的な目で見られている。これは自然な再編成だ」。

今年はまた、マーケティング各分野の再編成がトレンドとなっているようだ。トップのマーケターたちは、プラットフォームの巨大な力に対して抵抗しつつあり、彼らの予算がどこに一体使われているのか、疑問の視線を向けている。またエージェンシー、そしてプラットフォームからコントロール力を自分たちへ取り戻そうとしている。

カンヌライオンズで、エコノミスト(The Economist)が18日に主催した「ウェークアップ・ウィズ・ザ・エコノミスト(Wake Up with The Economist)」というイベントでは、イーベイ(eBay)の最高マーケティング責任者であるゴダート・ヴァン・デデム氏が、「インフルエンサーに対して費やしていた支出」をイーベイ上の売り手ユーザーたちへとシフトすることを試すと発言している。彼によると、インフルエンサーよりも売り手ユーザーの方が優先されるべきであり、イーベイのブランドにとって、より真実味があるとのことだ。「投稿するためにお金を支払っているインフルエンサーよりも、売り手ユーザーたちに発言力を与えたいと思っている」と、彼は言う。

重要なのは創造性

サムスン(Samsung)の最高マーケティング責任者であるマーク・マシュー氏は、最近広告にユーチューバーであるキャセイ・ネイスタットを起用した。だが、彼によると、それはキャセイが持つインフルエンス(影響力)ではなく、キャセイのクリエイティビティが理由だという。「ただインフルエンサーを使うということはしたくない。実際に我々のプロダクトを使う人たちを使ってマーケティングしたい」。また、ディアジオ(Diageo)の最高マーケティング責任者であるシル・サーラー氏は、ディアジオは有名人を起用することはあるが、フォロワーを購入するといった行為を行っているかもしれないインフルエンサー契約については今後、批判的に見ていくと述べている。

インスタグラムで数年前に爆発的に成長したインフルエンサーマーケティングは、広告よりもリアルに感じられると考えるマーケターたちの存在で人気を得た。インスタグラムは、いわゆるソーシャルのスターが好んで使っているプラットフォームだ。しかし、そこでの真実味をでっち上げることができる。偽証行為対策を提供する企業スウェイ・オプス(Sway Ops)によると、インスタグラム上で #sponsored や #ad とタグ付けされている投稿1日分を取り上げてみても、その半分以上は偽のエンゲージメントを抱えていると言う。11万8007のコメントを対象にスウェイ・オプスは調査を行った結果、ボットでないフォロワーによるものは2万942しか存在しなかった。

カンヌライオンズがはじめてソーシャルインフルエンサーのライオンズ部門を設立した年に、こうしたバックラッシュが噴出しているのは皮肉だ。カンヌ主催側の説明によると、これらの部門は「クリエイティブなソーシャル思考を祝う」ために設立されたとのことだ。

Shareen Pathak(原文 / 訳:塚本 紺)