BuzzFeed News 編集長 ベン・スミス氏:「どの企業もビジネスモデルを多角化する必要がある」

政治メディア「ポリティコ(Politico)」の元スター記者だったベン・スミス氏が、BuzzFeed Newsの編集長として招聘されたのは2011年のことだ。当時のBuzzFeedはまだ、バイラルメディアとしてのイメージが強く、BuzzFeed NewsはBuzzFeedに内包される、1セクションでしかなかった。

しかし、その後、BuzzFeed Newsはドナルド・トランプ大統領の機密文書や俳優ケビン・スペイシーのセクシャルハラスメント問題など、さまさまなスクープをものにする。そのおかげで、数々のジャーナリズム関連の賞も獲得した。そして、2018年7月、BuzzFeed NewsはBuzzFeed本体とは切り離された、スタンドアローンなサイトとしてリローンチされた。

米DIGIDAYでは、この機会に改めて、スミス氏にインタビューを実施。Facebookとニュースの関係、BuzzFeedとBuzzFeed Newsとの関係などについて、さまざまな意見を聞いた。内容を以下にまとめる。

――いまはニュースのサイクルがものすごいことになっている。Netflix(ネットフリックス)のようなディストリビューターがニュース番組に資金を投じる一方で、Facebookは配信から離れ、人々はジャーナリストに背を向けている。この現状をどう見ているのか?

ニュースにとって、とても良い時代にいると思う。この1年間で、ニュースがすばらしいビジネスであることがいっそうはっきりとしたと考えている。本当に新しいと思う形でみなさんやジャーナリストがやっている仕事を、実は高く評価しているオーディエンスがとても増えている。やかましいエコシステムを突っ切るオリジナルな報道をやるチャンスがある。また、新しい種類の放送に関してもチャンスがある。ニュースと配信の面では素晴らしい1年だ。収益化策の拡大にも我々はとても力をいれてきた。人々がニュースにお金を出しはじめているのはとても励みになる。この点も必ず実験をはじめるつもりだ

――BuzzFeedはFacebookで大きくなった。それは結局、BuzzFeed Newsにとってプラスだったのか、マイナスだったのか?

こうした新しいデジタルツールが、新しい報道機関、新しい声、既存ジャーナリズムへの挑戦に扉を開いたのは確かだが、一方であまりに多くの課題がいつまでも続いている。保守派のコメンテーターを右派、メインストリームのニュースを左派と位置付ける、保守派やFOXニュース(Fox News)によるプロセスが本当に長く続いている。これは現実ではない。イデオロギーではなく、報道において厳格な我々のようなところには、Facebookは有益だ。

――Facebookは極右パブリッシャーを相手にすることで、そのトリックに引っかかっているのだろうか?

わからない。こうしたプラットフォームの経営層は、こうしたダイナミクスがはじめてな人が多いのだろう。彼らの仕事を妬んではいない。とんでもなく難しい判断だと思う。有害ではない空間を作る必要があるのが明らかな一方で、言論を制限する強力なツールを作れば、いずれ連邦政府の手に渡ってしまうことを避けられないというのも事実だ。アレックス・ジョーンズ氏(陰謀論者として知られるラジオ番組司会者)のケースは難しい問題だと思っていないが、なかには本当の難問もある。こうした非常に複雑な扉を開いていっているのだということを、経営陣はきちんと自覚し、わかっていると思う。

――Facebookのニュースパートナーシップのトップであるキャンベル・ブラウン氏が先日、Facebookはパブリッシャーのことは気にかけていないとオーストラリアのニュースメディア幹部らに語ったと言われている。どう受け止めたか?

その場にはいなかったが、一般論として、彼女が率直に語っているのは健全なことだと思う。我々を喜ばせるのが仕事だという人よりもいい。

――Facebookがニュース優先をやめるなか、BuzzFeed Newsはプラットフォームへのアプローチをどのように変えてきたのか。

2013年時点で、我々はFacebookにとても依存していた。現在、依存はかなり減っている。我々の戦略は、すべてのプラットフォームにおいて質の高いニュースを考え出すというものだ。それで必ず大きく変わったとは思っていない。Netflixは現在、我々にとって実際に重要なプラットフォームだ。我々は、ソーシャル動画やよりプレミアムな動画からは離れた。

――あなたは2011年にBuzzFeed Newsに入ったが、BuzzFeed Newsは相変わらず、コンテンツがそこまで本格的ではない親ブランドの観点で説明される。いまだにそのような連想がされることに困ってはいないか?

報道に関しては、大事なのは抽象的なブランド測定ではなく、成功するかどうか、人々を牢から開放するどうかだ。結局のところ、そうなるかは記事に説得力があるかどうかにかっている。なので、このことで眠れなかったということはない。我々は常に、この愛されている大きなブランドと結びつけられているという事実とバランスをとってきた。BuzzFeedというブランドは信頼を求めるものではない。共感できるもの、面白いものだというブランドだ。基本的に、私はニュースが報じることを信頼する。ニュースとは継続的なプロセスなのだ。

――オーディエンスに関して、人々が驚くような話はあるか?

はっきりしているのは、我々のオーディエンスはミレニアル世代が中心だということだ。この世代は、戦争やカトリック教会における虐待に大いに関心があることがわかっている。下の世代は関心が続かないと、どの世代も考えているが、本当はそうではない。その一方で、ミレニアル世代よりも上の世代や若い保守層にも多くリーチしている。記事でいえば、政治とドナルド・トランプ氏に関する記事を書くと、これは自分の既存の考え方を支持するものなのだろうかと、ほとんどの人が期待する。一方で、そこから外れ、カトリックの孤児院におけるこの死亡記事(BuzzFeed Newsが8月27日に掲載)のようなものになると、二極化はなくなる。

――最初は、誰もがソーシャル動画をやっていたが、その後、パブリッシャーが方針を転換し、より長い動画をやるようになった。1年以内にまた戦術を変えることにはならないと言えるだろうか?

我々がやっているニュース番組――現在3本ある――は、我々のジャーナリズムの拡声器であり、より広いオーディエンスを集める。いまの番組のことはとても誇らしく思っている。プラットフォームが望むものであると同時に、視聴者が望むものでもあるのだ。状況が変わらないという確信に関する質問だったと思うが、発達しきったメディア企業と、我々のようなメディアとテクノロジーのハイブリッド企業を見れば、ひとつの特効薬があるというものではないことがわかるはずだ。どの企業もビジネスモデルを多角化する必要がある。

Lucia Moses (原文 / 訳:ガリレオ)